オランダの6月末は、日本で言えば、3月末。学校関係は、夏休み前の最後のテストがあったり、学年最後の行事があったりと、なかなかに忙しい時期です。

もっとも、これが終わればもう夏休み。

陽も、一年で一番長い時期で、今年は天気も良い日が続き、最高のシーズンを迎えています。

そんな中、先週、次男の学校の先生の家庭訪問があり、なんと通知表を渡されたのです。

 

■先生たちの手厚いケア

そもそも家庭訪問があったことも、ちょっとびっくりでした。次男の通う学校は、4歳児以前の子どもたちが通う、いわばプレズクールのような学校です。オランダでは4歳から、いわゆる小学校が始まりますが、それ以前は日本と同じで基本的には自由。働いている親の子どもは、デイケアと言う、日本でいう保育園的なところに行く子もいますし、うちのようなプレスクール、日本で言うところの幼稚園みたいなところに行く子もいます。

ただ、プレスクール(=日本的幼稚園)と言っても、週二回、一回2時間が標準的です。そんなに多くはないのです。ただ我が家の場合は、次男も4歳になったら地元の現地校に通うため、オランダ語の問題があります。

そのために、市やプレスクールを管轄する機関、保健所などと相談して、週四回に増やしてもらっています。

で、そのプレスクール。やっていることは、日本の幼稚園と特に変わったことはなく、別に特別なことはしていません。あえて言うと、1クラス8人前後の園児に対して、先生が常に2人。その他に、そのプレスクールを管轄する組織から、かなり頻繁に先生がきていたり、先生の研修が多いこと、ぐらいでしょうか。いずれにせよ次男は、とても楽しいようで、プレスクールが大好きです。

明るい家庭的な雰囲気で、先生の目が子どもたちに、非常によく行き届いてる感じていました。

そんな学校の先生が、学期末に家庭訪問にくる、ということになったのですが、驚いたのは、通知表を持って来てくれたことです。

 

■幼稚園に通知表?

そもそも、やはり通知表があること自体、結構びっくりしたのですが、その中身も非常に工夫されているように感じて、びっくりしました。

オランダのプレスクールの通知表における根本的な思想は、小学校のものと変わらないと思いました。

まず、他人との比較ではなく、本人のことを客観的に見つめていること、そして、評価もテストの点数とかではなく、本人の資質を評価していること、などです。

具体的にいくつか挙げてみます。うちの次男は、パズルが好きなのですが、プレスクールでもパズルに没頭しているようです。そうした姿を良く観察しており、「好きなことしていると、かなり集中している。集中力が高いので、さらに高いレベルのパズルに挑戦しようとしている。集中して遊ぶことができている」「オランダ語に関しては、ほとんど理解している。ただし、間違うことが怖くて、まだ発言することができていない。おそらく今後半年で、口から出てくるようになるだろう」「人の話をきちんと聞くことができており、他の子とも少しづつ交流することができている。」などなどと言った、細かい評価が13項目に渡ってされていました。

そして、その年齢でできていると良いとされることに対して、どのくらい到達しているのか?ということが、グラフで表されています。

おそらく、これらはこのプレスクールオリジナルの評価システムではなく、少なくともこの学校を管理運営している組織(市のもとで)のものだと思うので、長年の歴史と、ある程度の量や、過去のデータなども蓄積されており、どんどん改良されてきたシステムだと思います。

システムとしても、個人に非常に目が行き届くことになっており、また実際の書かれていたことも、本当に良くみてくれているなあ、と感じました。

ちなみに、オランダで良く言われるのは、小学校からの教育費が無料なのに対して、一番費用がかかる、とされているのが就学前の学校や保育園、デイケアなどの保育料。

その家庭の収入によって払う金額が違うので、保育料に関しては一概に「いくら」は言えないのですが、とは言え、日本と比べたら破格に安いことは間違いありません。

※保育料に関しては、通う形態や、どこに通うか?によって、大きく異なるようで、必ずしも「日本よりは安い」ということは言えない、という指摘を受けましたので、ここに追記訂正しておきます。

そして、もう一点、日本との違いを挙げるとすると、保育士や学校の先生自身が、ワークシェアリングしているケースが多いことです。特に、先生たちにとっての利点を挙げるとすると、やっぱり子どもたちに対して、接し方に余裕が生まれているように感じます。

親だって、毎日毎日、24時間一緒の子どもにギャーギャー騒がれていると頭にきますが、久しぶりに顔を合わせた子どもがギャーギャー騒いでいても、むしろ「元気でいいぞ!」と思ったりする余裕がありますよね。この余裕は意外と大きなメリットがあると思っています。

 

ということで、その子が持っている資質を発見したり、伸ばそうとしてくれる感じが伝わってくる、家庭訪問&通知表でした。

現在、3歳の次男もざっくり、あと半年で小学校に入学するので、プレスクールでは最後の年度末を迎えたことになるのですが、次男は2歳でオランダにきているので、すでに日本対応型ではありません。

長男のような、典型的な日本のバカ小学生男子に育つことを期待しているのですが。。。そこは長男の弟育成に期待しようかな、と思う、すでに気分は夏休みモード満点の今日この頃です。

ちなみに、最近発売された「18時に帰る」には、この次男のプレスクールの先生たちも載っています。

Leonid Mamchenkov