前回の「日本的大人」か、「西洋的大人」か?というエントリーに続いて、今回は、ヨーロッパというかオランダの教育システムの話です。

先週、SLOという、オランダにおける教育カリキュラムや生徒に向けてのキャリアカウンセリングなどの方法を学校に提案したり、学校の先生に対しての研修などを行なっている機関を訪問しました。

そこで感じた日本との大きな違いは、教育システムの差でした。

前回、目指す大人像が日本と西洋では違うのではないか? そもそも「子育てのスタンダード」が世界には沢山あるのでは?ということを書いたのですが、オランダは学校教育のシステムも、日本とは違うのです。いわば「教育のスタンダードが違う」とでも言いましょうか。

根本的に教育のシステムが違うのです。

実は、移住前からオランダの教育システムはいろいろ調べて当然知ってはいたし、こちらに来てからも、再三、聞いてはいたのですが、その内容があまりにも複雑で、イマイチ、ピンと来ていませんでした。

しかし、今回、その専門家の話を聞くことができて、改めて、日本との大きな違いを認識したのです。

 

■小学校卒業時に、とりあえず方向性を決める

そのシステムはかなり複雑です。なので特にオランダの教育システムの細かいことを、ここで書いてもみなさんには、あまり有益な情報ではないと思ので細かくは書きませんが、もし詳細を知りたい人がいたら、こちらのリンクをご覧ください。(これを見ても複雑ですが。。。)

で、オランダでは、ざっくり言うと、小学校卒業時に次にどのような学校に行くか?によって将来進む道が変わって来ます。これは、単純に日本のように偏差値的なレベルの差で進学先が変わる、ということを言っているのではなく、システムそのものにより、進む学校によって将来の道が変わってくるようになっているのです。中等教育が4年制なのか、5年制なのか、6年制なのか?と言った違いです。

この違いは、将来、どういう学問をしていきたいのか?(あるいは学問はあんまり興味がないので、職人的な道に進みたいなど)によって変わります。もちろん、小学校時代の成績(これも日本的な意味での成績ではなく、適正があるのか? 好きなのか? モチベーションがあるのか?なども含まれるので、もう少しトータル的な意味での成績、と言うより、まさに適正か?)も考慮されますし、先生の推薦なども大きなファクターとなるようです。

しかし、仮に4年制に進んだとしても、途中で5年制に進路を変えることもできますし、5年制からは6年制に変えることもできます。(それぞれ、余計に1年多くかかりますが)

多分、このへんから、完全に何がなんだか分からない状態だと思いますが、、、。

で、この先、さらに大学、高等専門大学などなどがあり、どの中等教育を卒業したかによって、進路も変わります。また逆に大学同士であればレベルの差がなかったり(どんな学科が強いとか、弱いとかはありますが)と、日本の偏差値的な指標に慣れてしまっていると、完璧に、もうなんだか分からないのです。

ただ、これらは、全て将来どんな道に進みたいのか?という進路に基づいて設計されており、さらにいうと、どんな道に進もうが、偏差値的なレベルの差はというか、上とか下とかはありません。

 

■偏差値以外の指標を持っているか?

日本だともしかしたら企業でさえも、一律の序列があり、上から下までズラッと並べて考えることもありますよね。(週刊誌などによる「〇〇な会社ランキング」とか)こちらでは、会社はもちろん、職業に対しても上とか下とかはないとされています。(厳密に言えば、個人的に考えている人はいるかもしれませんが)

そういえば、どこの企業においても、企業内はかなりフラットでヒエラルキーがない、のがオランダの企業の特徴でもあります。

そういう意味で、全体がかなりフラットだし、人と比べたりも決してしないし、学歴とかもあまり重要ではないのです。(ただし、この点はもしかしたら、個人的に知らないだけかもしれません)

なので、日本ほどの受験戦争的なものもないし、いい大学に入るのが人生の最高の目標になったりもしません。

逆にこうした状態になるのは、やはり(教育)システムがさせているのだと感じます。日本のような偏差値重視、入試が一番大事、みたいな教育システムだと、どうしても人と競ったり、「やりたいこと」を重視するより、「人より上に行くこと」「とりあえずいいところに入学する」みたいなことを重視せざる得ないのかな?と思います。

なので、ここで言いたいのは「競争が悪い」というのではなく、「システムが違うと、全く変わる現実がある」、ということです。

そういう意味では前回と同じで、教育のスタンダードさえも、世界にはいっぱいあって、もしかしたら、そういうことを知っているだけで、広い視野が持てるようになったり、違った考え方ができるようになったりするのか?と思ったのです。

 

ということで、逆にオランダの場合は、割と小さいうちから自分のやりたいことをハッキリさせないといけないし、自己責任を否が応でも理解させられます。そういう意味では、日本より厳しいのかもしれません。

小学校時代は、全く宿題も出ず、「バカ小学生丸出し」で楽しく過ごせますが、中等教育以後は、宿題もたっぷり出るし、なかなか厨二病とかになる暇もないようです。

シンガポールや、韓国(最近では中国も)のように激しい受験戦争がある国があったり、フィンランドのように科目を廃止して、自分で学ぶことを決めていく国もあります。

今の子どもたちは、今の大人たち以上にグローバルな世界で生きて行くことになるのですから、日本のスタンダードだけで考えなくても良いかもしれません。

しかも、そう考えると、ちょっと楽になるかもしれませんよね?? 自分自身も、こういう世界のこと、当事者の学生時代とか、もっと早く知って起きたかったなあ、と思う次第です。

Elaine with Grey Cats