新年なので2020年代の教育/社会をヨーロッパと日本の違いから予測してみた
2020年、明けましておめでとうございます。今年もみなさんにとって幸せ溢れる年になることを願っております。
今年もすっかり恒例になりましたが、日本で年末年始を過ごしています。そしてその間、都心から地方まで様々な地域まで足を伸ばしています。我が家の海外移住も今年で5年目。子ども達はすっかりオランダ人化しており、我々も、少しオランダ流に馴染みつつあるかと思います。
ということで日本に来るたびに「外国人目線」が強まってきており、そんな外国人化してきた子ども目線で見ると、年末年始のジャパンはかなり楽しいらしく、ジャパン大好き人間になっています。
じいじ、ばあばにちやほやされて、久しぶりの友達ともあって、美味しいものをたくさん食べて(ちなみに、子どもにとってみると「お菓子」も日本のほうがめちゃくちゃ美味しいらしい)プレゼントやお年玉や、お土産をたくさんもらって、初詣行って、温泉行って、とそりゃあ楽しいでしょうという感じです。
一方、大人目線で見ると帰国するたびに、疲弊しているなあと感じる地方では、やっぱり高齢者が多いなあとか子ども少ないなあとか思います。で、これが都心だとみんなギスギスしてる?疲れてる?のかな?電車の席は殺伐とした奪い合いだし、絶対譲らないし…な印象が強まっています。
2020年代に日本のシステムは崩壊する?
さて今回は、そんなことを感じつつもオランダとの違いを念頭に、今年&今後、どうなっていくのかな?という年頭らしい内容を書いてみようと思います。というのは、オランダとはやっぱり差がますます広がっているなあと感じるからです。
ちなみにここで一応断っておきたいのは、「オランダの方がいいぞ!」「日本はアカンことになっているぞ!」ということではありません。あくまでも、両方を知っている目から見ての違いや、変化を挙げてみる、ということです。そこのところはお手柔らかに。あくまでも個人の独断と偏見に満ち溢れたブログなので。。。
で、さっそくですがこの10年で大きく変わるだろうなあと感じるのが、いわゆる大企業や行政を筆頭とした「日本型システム」。ここでは「新卒一斉採用」「年功序列」「終身雇用」の3つをイメージしています。これらについては経団連の会長や、トヨタなどがハッキリと「もうもたない」と言っています。
これを聞くと、「あら、パパのお仕事大丈夫かしら?」という心配もあるかと思いますが、(逆にチャンスもあるはず!)影響は、この「パパのお仕事」に限りません。こういう大企業への入社を目指す大学では、その存在意義や、場合によって教育そのものも変わるのではないでしょうか? 大企業への入社することが、目的になっているかのような今の日本の大学も変わらざる得ないのではないでしょうか。
もっともオランダと比べると日本は、社会と教育の分断が大きいなあと思うのですが、これを契機に、もっと密接なものになるかもししれないなあ、とか、もっと「学び」の原点に戻ってもいいかな?と思ったりもします。
オランダでは、社会と教育は繋がっているもの、という前提のもと教育制度やその内容が考えられています。よく考えれば、そんなことは当たり前なんですが…。この辺は、日本とオランダの違いでもあります。
ま、いずれにせよ、20年代にはこのあたり大きく変わるのではないか?と思います。だいたい「副業解禁」も、もしかしたら本業だけでは生活を維持していくための、あるいは年功序列を前提とした給料が、もう払えない会社側の意向を汲んでいるものだという見方もありますしね。そうなると、住宅ローン自体の仕組みも変わらないとならなくなって、生活をどうやって設計していくか?とかとか、結構大変な問題に直面しているのではないか?と思います。
オランダとか海外だと、だいたい新卒一斉採用が存在しないので、そもそも「職に就く」というのは大変なことです。「新卒」には一切の価値がない、と判断されているのですから。だから、逆に「新卒」に価値があった日本は、世界的に見るとちょっと特異な状況でした。
でも、そもそもこういう大企業や行政をトップとした、いわゆる大企業正規サラリーマン=「大企業型」(所得は多いものの、長時間労働や通勤時間が長く、地域社会につながりが薄い人)って、日本全体の26%くらいなんだそうです。日本だと、ここに属している人の声が大きかったり、情報発信する術をもっていたり、ニュースだってこの人たち向けを中心に編成されているから、日本全員が、「新卒一斉採用」「年功序列」「終身雇用」の3つが変わることで影響を受ける「大企業型」と思われがちですが、そもそもここに影響を受ける人は26%です。
残りの74%はすでに、2000 年代以降、大きな変化が起こっているそうです。あ、ちなみにここは36%の「地元型」(地元の学校を卒業して、農業や自営業、地方公務員、建設業などで働いている人で所得は比較的少ないものの地域コミュニティーを担い、持ち家や田んぼがあったり人間関係が豊か)、38%が「残余型」(所得も低く人間関係も希薄。都市部の非正規労働者などがその代表例)で、すでに大変革が起こっており、その結果、貧富の差もかなりある状態になっているそうです。
20年代に入り、ついに残りの26%であった「大企業型」にも大きな変革が起こるのでは?と思います。
まあ、そう考えると教育だってそもそももっと多様性があってよいし、大人になったときに目指す方向だってもっともっと多様であるべきでなのです。だからみんながみんな、現状の教育システムにハマらない、というのは至極まっとうです。
だから、教育だって大きく変わると思います。というか、大きく変わる社会に合わせて変えていかないとって思います。
多様な生き方が認められる時代はくるのか?
例えばオランダだと小学校卒業時に、大学に行かないで職業訓練校的な方向に進学する子どもたちは、全体の50%ほどです。この時点で、すでに半分の子どもは大学に行かない、となります。(もちろん、その後の進路変更は全然アリですが)さらに大学に進学することを選択した子どもでも、いわゆる大学に進学する子は実はかなり少ないです。
まあ、ようは進路には多様性があるということを感じています。ここも日本とオランダの大きな違いです。
簡単に調べたところ、最新の日本の大学進学率は54%とのことで、実は日本でも半分くらいの人が大学に行くという感じのようです。(小学校卒業時に決定しているわけではないと思いますが)
もちろん、大学進学者がすべて「大企業型」になるわけではないので、進学率54%と大企業型26%と、ここに差があるわけですが。
なので、日本も最初からもっと教育には多様性があっていいのかな?とは思います。
どうも日本にいていろいろなニュースに触れていると、全員がいわゆる「大企業型サラリーマン」か?という錯覚に陥りますが、実は全然そんなことはなくて、たった26%なんですね。(もちろん、それは個人が接するニュースとか情報が、たまたまそういうところに偏っているっていうこともありますが)
自分が地方に行って感じるのは、「働き方改革」とか「男性社員の育休」とか「女性のキャリア」みたいな話は影も形もない、と感じることです。なんなら「地方移住」なんてことも全く聞きません。地方なのにw。でもそれもそのはず。これらはたったの26%の人が前提の、その人たち向けの話ですからね。そして、おそらく大都市にそういう人が集中して、そういう人の周りは全員「大企業型」なんですよね。だから、自分たちの話題が、全国共通の一大トピックだと思ってしまう。実は、全然そんなことないんですよね。そして、そういう人たちの声が大きいし。
仮に2020年代に日本の国力がガクッと落ちて、このいわゆる「大企業型」の人口が減ったとして(そもそも人口も減るし)つまり26%がどんどん減って、15%くらいなると、かなり社会的にもインパクトが出てくると思います。
オランダは、ワークシェアが進んでいるので、いわゆる「大企業型」は、そもそも少ない気がしますが、そうなると、働き方、いや生き方そのものなんかも、参考になるところがあるかもしれません。
オランダが今のような働き方や、教育、そして社会になったのは、1980年代前半のワッセナー合意というあ、労働者と経営者と政府の3者で取りまとめた合意で、「失業の増大とインフレーション進行を阻止するため、賃金上昇率の抑制を取り決めたもの」です。
これが、結果的には働き方改革を促し、親と子どもの関わり方や、時間の使い方、そして教育などに変化をもたらしました。(と個人的に思っています)もしかしたら、こういうことは日本でも参考になるかもしれません。
いずれにせよ、変化が激しい新しい時代を生きることになる子どもは、新しい教育や働き方、仕事を知らないといけません。そういう意味でも、今の大人が知らないことや、やったことのないことが必要となる時代です。その生きる術を身に付けることが教育だとすると…。そう、20世紀の教育で良いはずはないのです。
一概に海外の教育が正しい、進んでいるとか、日本が遅れているということでは全くありません。でも少なくとも、これを読んでくれた方(のお子さんに)は、出来るだけ新しい教育、いや、「新しい教育ってなんだろう?」と考えるきっかけにでもなってくれたら、良いかな?と思います。
ちなみに、「大企業型」とか、「地元型」みたいな話や数字は小熊英二さんの『日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学』(2019 講談社現代新書)を参考&引用させてもらっています。
小熊さんの記事は、こちらもどうぞ。
ということで、個人的には(必要に迫られて)日本が激変するであろう2020年代、と考えていますが、うちの子どもも大人になる20年代。どんな10年になるのか楽しみです。
ぜひ、皆さんの見立ても教えてください。
今年もよろしくお願いいたします。
たまーにコメントさせて頂いてます。
教育移住7年経過中です。
うちの夫、大企業病で、会社辞めてこちらに移住した当初はイヤイヤ病でしたー。笑
最近、兼高かおるさんのエッセイを読んで、42歳リタイア節を唱えていて、まさに我が家がこのパターンだったなと。
子供の教育って楽しいですねー、最高にクリエイティブな事で、日々、変わっていくインターナショナルスクールを取り巻く状況を楽しんでます。
今年も記事を楽しみにしてます。どうぞよろしくお願いします!
コメント、ありがとうございます!! 子どもの年齢にもよってどんどん変わっていきますよね。今年もよろしくお願いします。