新年のTVがあまりにも退屈なので、早くも新年2発目の記事を。

というか1/1にヤフーで公開されているこの記事を見て、ちょっとヤバイなあ…と思ったので。で、その記事が、こちら「クラス分けは低学年と高学年…世界注目の教育法『イエナプラン』 日本初導入の小学校の1日は“自由”」という記事。

内容は、ざっくり言うとオランダの「イエナプラン」が、小学校の教育方法としては、ものすごく良くて、流行っていて、日本でもどんどん導入されている、というもの。

我が家も、そもそも「イエナプランって、すごいいいじゃない!」と思ったのがオランダ移住の理由の一つだったので、納得できるところはあるものの、この記事だけを鵜呑みにすると、結構ヤバイぞ!と思ったので、今日はちょっとオランダのイエナプランについてのリアルな現状をお伝えしようかと。(あまりにも新年のTVがつまらなくてw)

 

イエナプランは超マイナー

で、まずはじめに誤解がないように言っておきたいのですが、先の添付の記事を読むと、それから昨今の日本での報道のされ方から誤解されている方も多いかもしれませんが、オランダにおけるイエナプランは、実は超マイナーです。

もちろん別にマイナーが悪い、という訳ではありません。ただ記事中では、(ユニセフの調査により)世界で一番子どもが幸せな国はオランダなのですが(←ファクト)、そのオランダではイエナプランなる教育方法があり(←ファクト)、その学校が200校もある。(←ファクト)そして、オランダの子どもが幸せな理由が「イエナプラン」である(←ファクトかもしれないけど、そうじゃないと思う)と誤解されるような書き方をしています。

ここはちょっと注意してもらった方がよいのですが、確かにオランダにイエナプランは200校前後あるとされていますが、それは実は全校の5%にしかすぎず、オランダにおいてもイエナプランは超マイナーです。

さらに、今、オランダにおいて「イエナプラン」が注目されている訳でもなんでもなく、たまたま最近(いや、ようやく?)日本で実践している学校ができたり、いくつかの自治体が、その導入を検討していたり、導入することになったりしており、ちょっと注目されているということにすぎず、あくまでもオランダでは、数ある教育方法の一つにすぎません。

実際、我が家が通っているイエナプラン校も、ユトレヒトエリアではかなり人気の学校ですが、ユトレヒトにはイエナプラン校は35の小学校(私立、公立合わせて)のうちの、そもそも3校しかありません。また、その3校もエリアが全然異なるので、当然雰囲気や校風もまったく違います。

オランダでは、(というか、日本でも?)エリアによる特性が大きく異なるので、どんな教育方針か?とともにどういうエリアにあるのか?で、その中身は大きく変わります。つまり、同じイエナプランであっても、どういう場所にあるのか?によって、全然別物になります。

またオランダではイエナプランも、そこそこ歴史がありますので、各校独自の進化を遂げていますので、いろいろなタイプのイエナプランが存在します。ここは、「ちょっとモンテッソーリ入ってます」とか、「がっつりICT教育いれてます」とかとか。

よく、このブログでも書いてますが、「オランダには100人いれば100通りの教育方法がある」と言われるほどバラバラな上に、各校、日々進化しているのです。

まあ、いずれにせよ、「イエナプラン」はそもそもマイナーであって、オランダ人でさえ「イエナプラン?聞いたことないな…」という人も結構います。

 

実際のイエナプランはどうなのか?

で、そんな状況の中、実際のイエナプランはどうなのかということですが、記事にあるように時間割がないパートもあり(自分で決める)、あるパートもあります。また学年によっても違います。

記事では、低学年、高学年の2つのクラスとなっていますが、(そして実際に3学年が一緒なのが一応の原則ですが)うちの学校は2学年が一緒です。おそらく、もうここからイエナプランの原理原則とは違うだろうなと思いますが、オランダにも学校教育法的なものが存在しており、税金の補助などなどを受けるために、(3学年ではなく)2学年一緒のクラスにしているということでした。

また、クラスの担任も2人、ないし3人いたり、それも学年によって違ったりするので、いわゆる日本でいわれている「イエナプラン原理主義?」とは結構違うところもあります。

また、その教育法自体も年々アップデートされおり、イエナプランの原則はもちろん守っているものの、ある先生がシンガポールにICT教育の勉強のために1年間留学したりして、帰ってきてから、その方法を取り入れたり、などなど、おそらくかなり独自の進化を遂げています。

もっとも、家族的な雰囲気を大事したり、個人の自主性を重んじるところ、親の出ごとが多いこと(ってか、かなり多い)、うちの場合は、寄付金も結構求められたり、まあ、ななりお坊ちゃん、お嬢ちゃん的なご子息が多い感じもします。

前述の通りオランダは居住エリアによって、雰囲気から、人種から、家賃相場から、治安とかまで全然異なりますので、ほんと、どこにあるのか?とかのほうが、むしろ重要だったりします。

そして、先生はあくまでも「コーチ」の立場であり、子どもたちが興味を持つことを一緒に見つけたり、それに寄り添うという立場で、決して「全知全能でなんでも知っていて、教える」という立場ではありません。(むしろ、グーグル先生を一緒に活用する感じ)

実は、日本のイエナプラン校(大日向)の先生とか、現役の学校や幼稚園の先生、日本の教育委員会の方、文科省の方などは、たくさんご案内していますがだいたいの場合、驚かれるのは、プログラムの内容とかより、子どもたちの雰囲気でしょうか。一様に「落ち着いていて、日本ではこんな放し飼い的なw方針で授業をやったら、とんでもないことになる」と言われます。例えば、日本だと大学の授業や高校の自習時間なんかをイメージしてもらえるとわかりやすいかもです。

まあ、子どもたちが落ち着いていて、自分勝手に想い想いのことに集中している感じ、(先生が黒板で何かを教える授業は非常に少ない)が、イエナプランの一番わかりやすい違いかな?とは思いますが。。。

そのほかは、前述の通り学校によっても違いますし、原理原則はあれど、おそらくみんな独自に工夫しているので、バラバラだと思います。

日本で導入する、となると、これまた「こうしなければならない」みたいな変な原則や、融通の効かないルール運用とかが多いのかな?とか思いますが…。ま、そこはイエナプランですし、大人こそ臨機応変にやってもらっているとは思いますが。。。

いつも言うように、教育って、結局は社会と繋がっているものだと思うので、やっぱり社会の状況が反映されるんですよね。

そういう意味では、日本ではすごい!とか、いろいろと賞賛さてれいる仕組みとか、斬新な教育周りの考え方とか提案って、もうほとんどオランダとか北欧で実践されていたり、定着していることばっかりです。(例えば、イエナプランしかり)もちろん、そうした提言や、取り組み自体を導入しようとすることは、もちろん悪いことではありませんが、「教育は社会に繋がっている」という原則から考えると、やっぱり進んでいる社会に、早く注目して考察することが必要だと思います。つまり、そうした進んだ社会に対して閉ざしているように見える、日本のちょっと内向き具合が気になるのです。(要は、もっと大人が外に向けてオープンになり、良いと思うことはさっさと注目したり、取り入れて、ダメだったら方向転換する、みたいな柔軟性を持てば良いかと)あとは、どうも日本人はそのメソッドとか教育法を、「囲いたがる」傾向がありますよね。「私の言う、こういう方法じゃないと、本当の〇〇メソッドとは言わない!」的な…。

子どものことを考えたら、そうした大人のどうでも良い縄張り意識や、既得権益化しようとするエゴが、かなり見えてくるので、そういうことを言い出す大人は、さっさと外すとか、無視して進めればいいのに、とも思います。(思い当たるフシがある人も多いかと思いますが、意味のわからない人もいるかと思いますので、スルーしてください)

現に、オランダのイエナプランは各校独自の進化を遂げているのですから。

 

ということで、新年のTV番組があまりにもつまらなかったので、イエナプランについて書かれた記事をきっかけに、思ったことをサラッと書いてみました。

そういえば、うちの学校の校長先生は、自分がしょっちゅう日本からの視察団をお連れてするので、「そんなに日本で注目されているなら、自分が日本に話に行ってもいいよ」とか言ってました。ちょっと強面の校長先生ですが(中身は良い人)複数の団体とかで誘致すれば、費用も折半して安くなりますからね。ご興味ある方は、ぜひご一報を。

最後に一点。よく「(教育)移住」に関してのご相談を受けるのですが(今でも週に1〜2件ほど)それに関しては、全てお断りしております。かなりいい加減なプランの方に振り回されたり、何も自分で情報収集していない方、移住した後にも一切の連絡もなく(すぐに帰国される方)などなど、今まで結構親身にご相談に乗っていたのですが、かなり散々な目に合っておりして…。(あ、起業に関しては、この限りではないんですが)そして、これに関してのアドバイスを「全て無料」と思われている方が非常に多く、業務に支障をきたしております。ということで申し訳ありませんが、全てお断りしています。一応、お伝えしておきます。よろしくどうぞ。