本当に日本はダメなのか? 「海外教育移住」して後悔していることを挙げてみる
最近、にわかに海外と比べての日本の地盤沈下に関する記事が話題です。例えば、「世界で唯一、日本の子どものパソコン使用率が低下している」とか、「「海外に出ない」日本の若者が気付けない自らの「貧困」」とか「日本、国際学力調査で全科目が中国以下に…「大学教育」は世界51位の悲惨な結果」とか。
個人的にはいずれも、「それ知ってた」という感じ。「何を今さら」という感じでしょうか。というか、海外に住んでいる人だと、もうとっくにリアルに実感していると思います。なので、逆に弊社(と、突然仕事の話)ではそこを逆手に、日本は非常にクオリティ高いのに、安く仕事をやってもらえるオフショア的に利用させてもらっています。そもそも(自分が日本人だということもあり)信頼できる、嘘つかない、期日を守る、クオリティが高い、そして安い。うん、これ以上、最高の国はありません。
日本のほうが良いことも結構ある
なので、今の状態は海外から見ると悪いことだけではないのです。あくまでも海外から見ると。なので、海外にバンバン利用してもらうようになればいいのです。まあ、昨今のインバンドなんか、安い、うまい、サービス良い、治安も良い、というパラダイスが東の果てにあったということで殺到しているわけですし。
では、うちが移住したヨーロッパはどうなのか?オランダはどうなのか? 日本と比べるとどうなのか?ということですが、いつも比較的、違いにフォーカスしながらも、オランダの良い点を挙げることが多いので、今回はあえて海外教育移住(オランダ)の悪い点、というか日本のほうが勝っているかな?と思うところを挙げてみます。
1,日本語ができなくなる
これは結構、大問題だなと感じています。当初こそ「オランダ語できるようになってきた!」「英語もなんか知らないけどできるじゃん!」とか思っていたんですが、それに反比例するように日本語ができなくなってきます。言葉は結構、アイデンティティを作る上で大事だと思うんですが、日本語が出来ないことで、そこもあやふやになってきちゃう感じがしてます。もっとも、この手のことに関する最近の傾向としては「グローバルアイデンティティ」「グローバルシチズン」という考え方があります。日本人よりも、もっともっと血も言葉も混ざりまくっているオランダ人や海外では、こういう考え方も当たり前になってきています。
言葉は文化に結びついており、そこがもっとも大事だと思っているので、例えば日本の企業文化を知らない外人が、なかなか日本企業と仕事がうまく行かないのを良くみています。言葉は多少できるのに、やっぱり文化までは分からないことが多いのですが、うちの子どもも、こうなるのかな?と思ったりしてます。
ここで言う文化とは、そんな難しいことではなく、もしかしたらビジネス慣習とか、マナー的なことかもしれません。例えば、名刺交換の仕方、タイミング、会議室での座る位置、タクシーの乗り方、お酒の注ぎ方とか。これらのことって、特に海外から見るとどうでも良いことって思うのですが、そうは言っても、それが出来ている人とか、知っている人と、全く知らない人では、日本サイドの受け取り方が変わってきます。
ほら、たとえば(日本)企業で仕事したことがなく、ブロガーやってますみたいな人は、ほとんどこの辺が分からない。で、こういうことを知らないために、さらに企業の人と仕事ができないという境遇になっています。(本人はそれにさえ気づいてなかったりする)まあとにかく、日本企業と仕事をする場合は、この辺り意外と大事なポイントです。
ひとまず仕事のことはおいておくとして、うちの子どもは確実にそういう日本的な言葉遣い、マナー、文化、慣習を身につけるのは相当大変だろうなあ、と思っています。(こういうのって意外と、なかなか親が教えられないのです。)まあ、海外にくる年齢によっても変わってくると思いますが。この点がやっぱり最大の難点でしょうか。
2,日本的な常識、感覚が変わってくる
上記に1に関連することです。というか、根っこは同じ。日本の常識が彼らには通用しなくなります。ま、ある意味当たり前ですね。忖度とかできなさそうです。。。笑
3,自分の意見を言い過ぎるようになる
うちの子どもは二人ともオランダではおとなしい方で、全然自分の意見を言わないという典型的な日本人気質を持ち合わせていますが、それでも日本に帰ったりすると、あれ?と思うような意見を言ってたりします。そういうのを見ると、「あれ?意外にも自分の意見が言えるんだ!」と思ったりしてびっくりします。大人になると、もっともっと主張するようになると思います。こうやって日本文化にも馴染めなくなるんだろうなあと感じています。まあ、これも1に付随することですね。
4,いわゆる勉強はできなくなる??
これはちょっと微妙ですが、日本的に正解を求める勉強をあんまり(全く)しないので、そこが弱くなるような気がしています。ざっくり言うと、全然勉強しません。ただ、まあ、そもそもいわゆる勉強の意味が違うというか、そもそも物事の「正解」は求められておらず、個人の「意見」とか、「考え」を求められたり、それらを「説明する」こととか「伝える」ことが重視されるので、まあ、勉強はしない、というか必要ないというか…。
オランダ人だと「えっ?そんな計算もできないの?」みたいなことは大人でも結構あります。だから、お釣りの計算ができないとか。でもレジがあるので、そんなのいいじゃん、って感じでしょうか。これは、「勉強」とか、もっと言うと「学校」とか「学問」とか、さらに言うと「生き方の違い」にまで繋がる感じがしますが。ともかく勉強はできません。笑。
5,自分から能動的に行動しないと何も起こらない
日本は丁寧というか、親切というか、面倒見が良いというか、時に過保護というか…。ある程度、自分の意見が言えなくても、みんな一緒に何かをやる、やるチャンスがあるという感じがしますが、こっちは皆無です。黙っていたら何も起きません。自分から主張して、やりたいことを自分で見つけてアクションを起こさないとダメです。完全に放っておかれます。あんまり誰も面倒をみてくれません。もちろん、何か「やりたい」となれば、それに対してのサポート体制はあるのですが。
全くみんな平等とか、一緒に、とかいう感じがないので、黙っていると本当に何にも起きません。そういう意味では、うちのように控え目というか消極的な子どもは、何も出来ず、何も起こらず、ボーッとして人の影に隠れていると、アッと言うまにいろんなチャンスが目の前を通り過ぎていきます。
5,給食がない
これは、ちょっと違う角度からです。この話を書こうと思って、妻にも聞いてみました。「日本のほうが良いと思うことある?」と。そしたら、まず「ない!」の一言。まあ、自分がオランダでの教育を受けていないから分からないということもあるようですが…。
で、あえて挙げるとすれば「やっぱり日本は給食があるのがいいよね」とのこと。こっちでは、キャラ弁なんかあるはずもなく、毎日、ハムとチーズ、または、ハムかチーズのサンドウィッチしか持って行っていませんが…w こんなに楽にも関わらず、「やっぱり給食いいよね」とのことでした。
ということで、今回はあえて、「日本のほうがいい!」と思うこと、そしてオランダの良くないところと挙げてみました。こうやっていざ書いてみると、日本人として、日本との繋がりを持つことにおいて、という視点からのポイントが多かったように思います。(まあ、当たり前か)
にしても、海外と比較しての「日本はダメだ」論が最近多いですよね。海外の学校でも優秀な子はやっぱり日本人だったり、仕事でも全然、余裕で日本人は優秀だと思うので、一概にそうとも言えないなあとは思います。(優秀の意味が違ったりはするけど)
まあ全体傾向としてその手の話は実感値とも合っていますが、「個」で勝負する分には全然負けてないと思います。外国との差は、単純に語学とか、アピールの仕方とか、伝え方とかという表層的なところかなとも思いますが…。まあ、ここが死ぬほど大事だったりもするんですけどね。
なんか元日産のゴーンとか見ていると日本人的というか、前職で元日産担当として死ぬほど苦労した身としては、なかなかに複雑ですが、あんな感じなんですよね。海外での優秀って。なんか微妙じゃないですか?
と、話はそれましたが、これから海外教育移住とか考えている人、お子さんの留学とか、ご自身の留学とか考えている人、そして、日本の教育に携わっている人は、ちょっと参考にしてみてください。
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