遅ればせながら、先日、ドイツのベルリンのスタートアップ界隈を視察するチャンスに恵まれました。ただの視察だったにもかかわらず、かなりの刺激を受けました。

そして、一番刺激を受けたのは、あの武邑先生(現QONベルリン)のお話。

幸運にも武邑先生に、ベルリンのスタートアップ事情や、今後のヨーロッパのネット界の見通しなどを聞くことができました。

知識に満ち溢れた非常に面白い話が聞けたのですが、その中で個人的に一番刺さったフレーズは、「昔はアーティストが、新しい刺激を作りだし、世の中をどんどん変えていった。今、ベルリンでは起業家こそが、次々と(アーティストが作品を作るように)新しいイノベーションを行い、それが世の中を変えていくという文化がある。」というフレーズでした。

つまりイノベーターこそが、新しいベルリン、新しいドイツ、そして新しいヨーロッパを作っていく。そしてそれは、「ベルリンから新しいフェイスブックが生まれる、と言われている」という話につながるのです。(この写真がGoogle Factoryではなく、Factoryになっていることとか)それはさて置き、若きイノベーターが社会の中心にいる感じが現代ベルリンの象徴な感じがしました。

で、唐突にも、いつもの子育て話ではなく、イノベーターって、意味が分からないと思ったママさんもいると思うのですが、これ、実はこれからの社会に、つまり子どもたちに最も大事な要素かもしれない、と思ったのです。

 

■子どもはみんなイノベーター

ということで話はガラッと変わりますが、皆さんのお子さんは「質問」をしますでしょうか?

ハーバード大学テクノロジー起業センターの初代フェローでもあるトニー・ワグナーさんの著書『未来のイノベーターはどう育つのか?』(2014年 英治出版)によると

<「4歳児は絶えず質問をし、物事の仕組みについて首をひねっている。ところが6歳半くらいになると質問するのをやめる。なぜなら学校では厄介な質問よりも正しい回答が歓迎されることを学ぶからだ。高校生にもなるとめったに知的好奇心を見せない。そして成人して就職したときには、自分の中から好奇心を閉めだしてしまっている。」>

と書かれています。

この指摘に、思い当たることがある大人も多いのではないでしょうか。そもそも自分が好奇心を持って、質問をしたり、新しいアイデアを探したり考えたりしていないのではないか? ということもあるかと思いますが。。。

「そういえば、最近、子どもが質問しなくなったなあ。。。」なんて人はいないでしょうか?

家では、とにかく質問をしてきたら「いい質問だね〜!」とまず褒めることにしています。また質問をしてこなかったら、逆にこっちから質問してみることにしています。

この質問こそが、イノベーターの種だと考えているからです。

そして子どもは誰でもこの種を持っており、それをどう引き出すか?というのが、大事、というか教育そのものではないか?と思っています。

で、そういう視点で見てみると、イエナプランの学校では、とっても上手にそこを突いている気がするのです。しかも、先生は質問されたからといって、すぐに答えを教えるわけではありません。一緒に調べたり、実験の手助けをしたり、方向性をサジェストしたり。。。教える人、というより一緒に伴走する人、という役割だと感じます。

 

■現代教育こそが、子どもの可能性を狭めている?

で、ここで冒頭のベルリンの話に戻すと、ベルリンのイノベーターは、世の中に対して疑問や、質問を種として、それを育てて、イノベーションを起こそうとしている人たちだとも言えます。

極端にいえば、誰でも4歳半の状態のままで大人になれば、イノベーターになれるのではないか?と思うのです。

アーティストが子ども心を持った人種、だとすれば、イノベーターも実は全く同じなのです。すべての子どもがするであろう質問するという行為(知的好奇心)さえ、やめなければ良いのですから。

こういう視点で見ると、大人は、あるいは現代教育は、いかに子どもの可能性を削ってしまっているか?とも言えるのではないでしょうか?

ベルリンに行って、スタートアップの話を聞いて、熱気に触れたことによって、こんなことを感じたのです。

唐突にイノベーターの話を始めた感がありますが、「別に我が子にイノベーターになって欲しいわけではないから。。。」なんて思っていませんでしょうか? 実は、こういう認識だと今後、大変苦労するのではないかと思います。

というのは、おそらくこれからの時代は、銀行員であれ、医者であれ、公務員であれ、イノベーターでないと生き残れないかもしれません。イノベーターとは、つまり自分の意思で、人とは違う自分の考えを実行できる人、とも置き換えられると思うのですが、これがないと、今後はロボットに変わられちゃうと思うからです。疑問を持たずに言われたことだけやるのだったら、もう人間である必要は全くないのです。

 

で、ふと思ったのは、こうしたことが日本から世界的なスタートアップがなかなか生まれない原因の一つになっているのかな、と思ったり…。

ということで個人的には、子どもの質問は非常に大事だと思うのですが、普段の生活では、つい言っちゃうんですよね。「うるさい!」とか、「そんなこといいから、、、」とか、「後で」とか。。。

とにかく、かなり結論は飛ぶのですが、世界の先端事例に触れると、やはり今の教育は変わるべきところが沢山あるなあ、と感じたベルリンレポートでした。