日本では受験シーズン真っ最中だと思います。受験生本人はもちろんのこと、ご家族の皆さんも、大変だと思います。寒い季節ですが、春はもうすぐそこです。ラストスパート頑張ってください。

そして、我が家の3歳の次男も、いよいよ小学校入学の準備が始まりました。

このブログの読者の中には、ご存知の方も多いと思いますが、オランダの小学校は4歳の誕生日を迎えた月に、入学します。

ということで、日本のような一斉の入学式はありません。そう、あの真新しいランドセルを背負って、初々しい1年生の姿を見ることはないのです。(個人的には、これはちょっと残念。あとランドセルの準備とかもやってみたかったなあ、とか思いますが…。ま、完全に無い物ねだりでしょう。)

 

■かなり至れり尽くせりの学校入学体験

我が家の次男は、来たる2月でやっと4歳に。オランダへの移住をして、お兄ちゃんが語学学校に1年間通って、やっとイエナプランの学校に通うようになったのが昨年の9月。この一連のプロセスは、ブログでもお伝えしてきましたが、やっぱり長男ということもあり、また、親にとっても何もかも初めてのプロセスだったのに比べ、次男は、お兄ちゃんの学校に通い始めるだけ。

もちろん、お兄ちゃんは転入したので、グレード(学年)も日本で言う2年生に入って、いきなり3年生に進級とか、結構大変だったのに比べ、次男の時は、親もすでに慣れたもの。

だいたい、この次男。生まれた時から全く手がかからないタイプ。そもそもこの人は、0歳児の時から、アジア放浪に連れ周されたりしてますので、なんと言うか、今でこそ人見知りではあるものの、割とどこでも平気でいけるタイプ。まあ、これが次男の特徴かもしれませんが、何をしても親もニコニコと笑ってみていられるタイプです。

しかも、親からして見るとここ数年の生活環境の激変があったため、「まだ4歳?」みたいな感覚でもあり、学校入学に関しても結構、気楽に構えていました。そう、でも実はこれが、オランダ人の親のスタンスなのです。

当然のごとく、オランダではお受験はありません。基本的には、近場の行きたい学校へ入学を申し込みます。うちの場合は、当然、お兄ちゃんと一緒のイエナプランの学校です。でも、近くにはダルトンも、モンテッソーリも、シュタイナーもあります。これらはいずれも公立で、そもそも私立との区別もほぼない上に、双方とも学費無料です。最も、最近だと混んでいる学校は断られることもあるようですが。

ちなみに、これは幼稚園ではなく小学校の話です。念のため。

で、こんな学校選びですが、その準備ケアのシステムは行き届いています。次男の場合は、昨年のうちに、まずは学校を運営する会社(国から委託を受けた公的機関、民間の場合もある)の担当者との面談から始まりました。

しかも、この担当者がお兄ちゃんの学術面などのケアをしてくれている人で、もうすっかり顔なじみ。家庭事情も分かってくれているので、この時点で話が早いのです。そして、次男の担当者にきちんと繋いでくれて、次男の語学(オランダ語)の状況、そのほか一般的な発達状況、精神的な傾向など、全てチェックした上で、入学の準備をしてくれます。

年明けから徐々に体験入学が始まるので、その日程を一緒に決めたりします。その間には実際の先生との面談があったりと、入学前にも関わらず、もう何度も学校に通っています。(そもそもお兄ちゃんの送り迎えで毎日来ていますが)

さらに体験入学も午前中のみの慣らし保育?とか、本人の状況に合わせてスーパーフレキシブルに対応してくれるのです。決して、子どもに無理をさせようとしません。

まだ体験入学も一回しかしてないのですが、ここまでのプロセスで、親が不安に思ったり、大変だなと思うようなことは0。日本だと、小学校入学って、親が結構大変だと思うんですが、ほぼそういったことがないままに進んでいます。

ハッキリ言うと、ものすごく気楽です。

これじゃあ、オランダの親は幸せなわけだよな〜と納得してしまいます。(=つまり子どもも幸せなのですが)

 

■学校選びの基準は「子どもが楽しいか?」だけ

そもそも、オランダの親は学校選びの基準がシンプルです。

それは、「自分の子どもが、この学校に行って幸せになれるかどうか?」それだけです。

この学校に入っておくといい中学に進めるとか、小学校受験で大学までエスカレーターで行けるからとか、この小学校は良い先生が多いとかとか、一切気にしません。(まあ、だいたいお受験がないのですから)

繰り返しますが、気にするのは、「子どもが子どもらしい学校生活が送れて、楽しく過ごせる学校かどうか?」だけです。

例えば、「いくら良い学校でも、遠いと通うのに負担がかかる。毎日の通学に時間がかかるのは、子どもにとって幸せではない」と思えば、近くの学校を選びます。

日本的に学業成績が良い学校とかは一切ないのです。

いや、それは卒業の時には全校統一テストとかやっているから、それで比べようと思えば、物理的には比べられるかもしれませんが、たとえば、うちの学校では、その成績が公表されることはほぼなく、またそのテストの結果も、あくまでも参考にしかされません。

高等教育(小学校卒業後の進路)の選択の仕方は、小学校生活全般を通して、例えば成績であれば自分の中でどれくらい進捗したのか?とか、プロジェクト学習への参加度合いはどうだったのか?とか、人とのコミュニケーションの取り方は、どうだったのか?とかで、多少、成績を参照しながら、先生に総合的に判断されて、本人の適正と意思と合わせて判断されるのです。

イエナプランの小学校では、子どもたちは、できるだけ子どもらしく、自分の興味を持ったものを、自分で好きなように追求していく環境を与えられ、また、そういうものを見つけられるような環境づくりが積極的に行われているのです。決して学業成績を上げるために、嫌な思いをしながら机に向かって勉強すること、は重視されていません。(←一部では、「だからオランダの子どもは甘いんだ」と言う批判を言う人もいます。)

社会の中においても、子どもがする子どもらしい振る舞い(例えば、スーパーで走り回る、道でうるさく騒ぐなど)は、かなり多めに見られています。それどころか、みんなが優しく見守る(時には一切関心を示さない、時には子どものためを思って注意する)という社会ではあると思います。

なので、例えば我が家もたまに日本に帰省すると、「もう完全に、子どもは日本社会では生きていけないなあ」と感じることが多々あります。

学校選びから始まり普段の社会生活において、システム的にも周りの大人の見守る態度的にも、こんな感じなのので、オランダの親は楽ちんなのです。

 

ところで、次男の小学校の体験入学に一度付き添いましたが、そこにいた他の4歳、5歳児の落ちつき具合にびっくりしました。

みんな人の話を聞けるは、自分の意見を言えるは、お互いに色々とフォローし合うは、いいタイミングでボケたり、突っ込んだりするは…。「これいいチームワークじゃん!」みたいな感動すら覚えました。日本で言えば、ここは幼稚園、保育園の年齢の子の集まる学級です。

まあ、ますますオランダの親は幸せだろうなあ、と思ったりしました。

この辺については、また後日、どこかで書きたいと思います。

と言うことで、ただでさえ写真やイベントの少ない(or結構、いい加減になる)次男とか、三男あるあるだと思いますが、うちの次男も確実に入学式の写真はないことが決定しました。