ちょうどオランダに移住してから2年経ちました。まだまだ苦労ももちろんあるし、日本ほど全てのサービスも充実してないし、日本ほどご飯も美味しくないけど(不味くはない)、子どもたちはすっかりこちらの生活にも慣れ、友達もたくさんできて少しづつ馴染んで来ました。

例えば今の季節だと、桜は咲かないし(実際にはアムスのそばで花見もできますが)、卒業式や入学式、新入社員の一斉入社なんていうものもないので、季節感は全くありません。あるといえばサマータイムに変わったことぐらいでしょうか。

たまに「日本がいいなあ」と思うこともあるけど、今のところは「やっぱりオランダが良かった」というのが、素直な感想です。

そもそも我々がオランダに移住したのは子どもの育ちの環境のため。今日かな?TV東京のジパングで、オランダ移住の話が放送されると思いますが、移住ブームに乗ったとかいうことではありません。

では、なんで移住したのか? 2年経って改めて思うことをまとめてみます。

 

■子どもの成長は早すぎる

少しネガティブな話になってしまうのですが、簡単に言うと「日本の将来に不安になった」からです。それも「子どもにとっての未来」という意味です。

それは、現状の育ちの環境という意味でもそうだし、もっと先、子どもたちが大人になった時の日本が想像できなくなったからです。

まさに「保育園落ちた日本死ね」や、運動会の騒音問題、公園や保育園が街に作れない、ベビーカーを電車に乗せていいのか?といった不寛容な子育て社会、サービス残業から過労の問題、大手広告代理店から端を発した働き方改革、一方で大企業が調子を落とし、世界で活躍していた大手日本企業は姿を消し、いよいよ加速して来た少子高齢化、過疎化、空き家問題、全く進まない教育改革などなどが、この2年間に起こって、どれもなかなか改善されていないかな?と思っています。

日本にいる周りの優秀な大人が、みんな努力をして、こうした問題を改善しようとしていることも事実で、個人的にはもちろん協力できることは、なんでも協力したいとも思っています。ただ子どもの成長を考えると、成長スピードが早すぎるので、その改善を待ってくれないのも事実です。

当時2歳で赤ちゃんのようだった次男は、すでに小学校に入学しています。(オランダは4歳から学校スタート)

長男は、こちらに来てからはじめたサッカーで、いちおう地元のセレクションチーム(という制度があるのです)に入ったりして、すっかりオランダサッカープレイヤーに成長しています。

2年というのは、大人(というか自分?)にとってあっという間で全く成長していない感じがしても、子どもの成長にとっては貴重な時間だったというのが、振り返ってみると改めて分かります。

 

■日本の大学は過去数十年で最悪!?

さて、そんなことを思っていたタイミングに哲学研究者であり思想家でもある内田樹さんの記事が、前職の優秀な後輩でもある野口真理子さんのFBからシェアされて来ました。「受験生の皆さんへ」と題されたこの記事。「サンデー毎日」の先週号への寄稿らしく、ご本人のブログやいくつかのサイトに転載されています。

日本の大学の凋落について書かれていますので、一部を引用してみます。

<いま日本の大学は非常に劣悪な教育研究環境にあります。僕が知る限りでは、過去数十年で最悪と申し上げてよいと思います。-<略>-それは「日本の大学は落ち目だ」という実感が大学人の間には無言のうちに広く深く行き渡っているからです。>

<日本の大学の学術的発信力の低下の現実を人口当たり論文数の減少(減少しているのは先進国の中で日本だけです)や、GDPに占める大学教育への支出(OECD内でほぼつねに最下位)や、研究の国際的評価の低下などをデータに基づいて記述した上で、日本の大学教育の過去30年間の試みは「全面的な失敗」だったと結論づけました。記事は日本の大学に著しく欠けているものとして「批評的思考」「イノベーション」「グローバルマインド」を挙げていました。>

<日本の学生に際立って欠けているのは、一言で言えば、自分と価値観も行動規範も違う「他者」と対面した時に、敬意と好奇心をもって接し、困難なコミュニケーションを立ち上げる意欲と能力だということです。>

<今の日本では「日本の学校教育が海外から否定的評価を受けている」という事実そのものが隠蔽されている。それは制度を手直しし、補正する手立てを講じる機会そのものを放棄するということです。>

これを書かれた内田さん。個人的に面識はないのですが、高校の先輩でもあり、wikiによると「高校2年で学年最下位の成績となり品行不良から退学になった」と書かれています。ということで、もともと一方的に、恐れ多くも親近感を持っていました。

というのは、自分自身も高校入学後の最初のテストで、400人中380番台だったか、420人中400番台だったか忘れましたが、欠席者とかもいたと思うので、とにかく最下位だったということは今でも強烈に覚えています。そして、それからすっかり学業を諦めたのも似ていると一方的に思っていましたw

で、それは置いといて、ここに書かれているように大学の凋落は、かなり大きな問題だと思っていて、これは外国からみるとリアルに実感しています。

さらに、全体的に日本企業の凋落も大大問題だと思っています。20年前には、もっともっと世界中で大活躍していた日本企業がたくさんあったと思います。(今は、そのころのプラスの遺産を活かしているだけ?)

内田さんのブログを読んでもらった方が早いのですが、いずれにせよ、個人的にこんなことを考えていたのが移住の理由でもありました。

 

とまあ2年経っても自分の考えも、状況もあまり変わっていないかな?と思いつつも、一方で、やっぱり優秀な日本人は世界でもすごく活躍していて、さらに日本国内でも学校の先生とか、すごい努力をして変革を起こそうとしている人もいっぱいいるのは知っているので、なんとか、そういう人たちに頑張ってもらいつつ、応援していければとも思っています。

だから結局は大学がどうとか、国がどうとかではなく個人がどうするか?っていうことだとは思うんですが。

そういう意味では、「移住すれば全て解決」ってことでも全くない、というのも改めて感じています。実際、語学の問題や文化の違いの問題なんか日常茶飯事ですからね。

ただ、もしかしたら日本にいたら、こういう情報にあまり触れることがないかもしれませんし、日本国内で見る視点と、外国から見る視点では違ったものが見えてきたりします。

ぜひ、これを読まれているママさん(&パパさん)、お子さんの将来のためにも、もちろん自分の未来のためにも、ちょっと先の未来を想像してみてください。行動や思考がちょっと変わるかもしれません。

何かアクションを起こされるママさん(&パパさん)応援します!(あまりお役には立てないと思いますが。。。汗)