長男が今シーズン(昨年9月)よりサッカーを始めました。地元の人気クラブで、入団するのにウェイティングリストがあり、1年間待った末のやっとの入団。

しかも、「親がボランティアで参加できるなら」という条件付きでした。

もしかしたら、以前にも書いたかもしれませんが、自分自身、サッカーの経験はなし。もっぱらTVゲームと試合観戦が専門でしたが、フリーランスということで平日の夕方の練習には付き合えそう。「オランダ語できないし、サッカーの経験なくていいなら、平日の練習には参加できます。ちなみに保育士です」というようなことを言ったところ、「素晴らしい!練習にきてくれるなら息子の入団は決定だよ!」とそそのかされて、親は(なんちゃって)コーチ、長男は晴れて入団、というのが昨年の入団の経緯。

それからというもの、長男は結構上達もし、今ではサッカー大好きに。

自分はといえば、なんとかかんとか、一応「オランダ語の喋れない」アシスタントコーチとしてチームや保護者からは認識されており、アシスタントコーチには、必ずオランダ語ネイティブのアシスタント(いや、むしろこっちがヘッドコーチ)がつく、という贅沢な布陣でチーム運営に参加しています。

 

■圧倒的に短い練習時間、回数

で、そんな感じで毎週、練習、試合に参加しているのですが、日本とはいろいろと違いがあります。(サッカーやったことないから分かりませんが、総合的に判断するとかなり違うはず)

このブログの読者さんは80%がママさんなので、ここではあんまり細かい内容は書きませんが、ざっくりと自分が感じる「違い」について触れてみます。

というのもこの違いが、もしかしたら、サッカーのプレースタイルはもちろん、「生き方」とか「子育ての仕方」の違いに直結しているのでは?と感じるからです。

ということで、少しだけ具体的に挙げてみますが、例えば基本的に練習はあまりやりません。時間が短い。回数が少ない。でも試合は多い。

それから、練習も「シュート中心」の「攻撃」の練習ばっかり。つまり、楽しい練習しかしません。

全体的に、もちろんまだ子どもということもありますが、楽しく、笑顔が絶えず、見ようによっては、かなりヘラヘラ、ダラダラしているようにも見えます。

ついでに言うと、子ども達もなかなか言うことを聞きませんw

「なんでこれやるの?」みたいな質問もしょっちゅうです。

さらに、おそらく同年代の子ども同士を比べると、今だと圧倒的に日本の子どもたちの方が上手いと思います。

ここで、サッカーをあまり知らないママさんたちのためにちょっと基礎的な情報を補足しておくと、オランダはサッカー王国であり、昨年の女子はヨーロッパで優勝し、男子もW杯で優勝経験こそないものの、決勝や準決勝への進出経験があります。ヨーロッパの中でも強豪国とされており、現代サッカーは一応オランダが作ったと言われています。要はサッカーは国民的スポーツと言うことです。(今年のW杯には出れないのですが)W杯出れない今のオランダ代表であっても、日本は勝てないだろうなあ、という気がします。

でも、子ども達の年齢では、おそらく日本の方が上手いと思います。

 

■「行け!」と言わないオランダスタイル

それで、さらに決定的に違うなあと思うのが、コーチも応援にくる保護者も、子ども達に対して「行け!」って言わないんです。練習中も試合でもほとんど言いません。

要は、「ボールを取りに行け!」 「もっと走れ!」「ちゃんとディフェンスしろ!」っていうことを言いません。

一方で、日本ではこの手の指示が「全体の8割」というのを、Jリーグ経験もあり、サッカー選手の代理人もされているオランダ在住の日本人パパ友から聞きました。

しかも、この違いが国の代表レベルになると、「如実に現れる」と言うのです。と言うより、根本的な違いはここにあるのではないか?と言います。

つまりこちらでは、そうしたことは「言わなくても」やるのが当たり前。楽しいサッカーをプレイするために、「相手からボールを取ってゴールするだけ」というのは、「行け!」と「言われてやるものではない」という前提がある気がします。

こういうことを自分で考えて自分で行動する。また、こういうことができる選手だけが現実的には選手として残っている。

でも、「行け!」というのを練習中も試合中も、口を酸っぱくして言われている日本の選手は、子どもの頃こそ上手いものの、おそらく高校生くらいの年齢から、いつの間にかオランダの選手に逆転されてしまう、という状況のようです。

つまり、サッカーにおいてでさえ、「自分で考えてプレイする」という当たり前のことが前提とされており、「行け!」という指示は全く必要ない、というのです。

もちろん「行け!」って言わないと出来ない子も当然、多くいるわけですが、指示されないと出来ない子はプロには行けないし、行かない。それどころか、来年にはサッカーは辞めてるかもしれない。あくまでも趣味として、遊びとして自分なりに楽しんでいるだけ、という子どもたちなのです。

なので親やコーチが、そういう子に無理やり「行け!」といって走らせたりはしないのです。

あくまでもやりたい子、そして出来る子だけが能動的にやる。結局この差が、最終的には国としてサッカーのレベルの違いに直結するのではないか?ということでした。

 

自分は(なんちゃって)コーチとして、そのプロサッカー選手の代理人でもあるパパ友へ、「どうしてこっちの子どもは、日本に比べると上手くないのに、大人になるとこれほどまでの差がつくのか?」という質問をしたところ、「こっちの選手は、(指示しなくても)死に物狂いでボールを自分の物にしようと相手に取りにいく。突き詰めると、この差だと思う。」と聞かされました。

これって、結局「子ども達は勉強じゃなくても、自分がやりたいことやる」「自分がやりたいことなら、自然と勝手にやる」ことこそが幸せに生きる道、だと信じている国っぽいなあと思ったのです。

オランダでは、子ども達に無理にやらせることは一切しないで、当人がやりたいようにやらせます。もちろん、学校や親によっては、無理にやらせる方が良い、という方針のところもありますが。(そして、それが子ども当人にマッチしている場合もある)

ということで、サッカーの「指示」の仕方が、生き方や子育ての違いにも出ているなあ、と無理やり感じてみました。ちょっと大げさですかね?

日本人的には「アイツがもうちょっと走ってくれれば、チームも強くなるのに」だから「走れ!」って言えばいいのに、とも思うのですが、こういう考えは全くないようです。

もちろん、選抜チームとか、もっと年齢が進んで「勝つ」ためにやるクラブか、あくまで「楽しみ」のためにやるクラブか?によっても、大分変わってくるようです。

子育てでも、結構「ちゃんとしなさい!」とか言いますよね。日本だと。オランダだと、ついついこっちが言いたくなりますが…。