学校とは「好きなことに集中する」ところ?オランダと日本の学校の違いはたった1つ
5月に入ってここオランダでも、ものすごく良い天気が続いています。日によっては30度近くなる日もあったりで、かなり暑いです。日本と比べると湿度も低いのですが、ヨーロッパの中ではちょっと湿気も高く、たまに蒸し暑いなあと思ったりもします。
と言ってもクーラーはどこにもないので、涼しい風を求めて木陰に行ったり、ここぞとばかりにアイスを食べに行ったり。まあ、日本の真夏のオフィス街の猛暑と比べるとたかが知れています。
日本で5月というと新緑が生き生きと目にも眩しい季節。4月から始まった新年度が連休を挟んで、いよいよ本格的に仕事や学業、部活、中には運動会などなど、いろいろとエンジンがかかってくるタイミングだと思います。が、ヨーロッパでは実はシーズンの終盤。3月、あるいは12月的な、いわゆる期末的気分とでも言いましょうか? サッカー然り、学校然り。もう第4コーナーを曲がって、長い夏休みが目の前に見えてきている!という気分なのです。
フランスでのカンヌ映画祭、テニス、モナコのF1グランプリ、サッカーのチャンピオンズリーグ決勝、ヨーロッパの至る所でおこなれている自転車レース、各所カンファレンス、音楽フェスなどなど、このところの気候も合間って、オランダではもう完全に夏(休み)気分満開です。
ということで、ヨーロッパと日本の季節というか年度というか、5月という時期に対しての捉え方が少し違うようにも感じますが、この時期にヨーロッパに来てもらえるとかなりいい印象になるのかな?と思います。
最近あまりにも最高の気候すぎて前置きが長くなりましたが、この最高の時期に、立て続けに学校見学などに日本から来た人や視察団をお連れしました。
■子どもがすごく落ち着いている!?
で、学校などにお連れすると最初にみなさん言うのは、「子どもたちが落ち着いている」と言った類の言葉です。視察には教育関係者が多いこともあるのですが、みなさん一様に、「日本と比べると子どもが非常に落ち着いている」とびっくりされます。「みんな、かなり集中している」と言います。「日本ではなかなかない」ということをいう人もいます。
日本の学校における5月と言うと前述の通り、まだまだクラスが落ち着いていなかったりする時期だから、それと比較しているのかな?と思ったところ、そういう理由だけではなさそう。
もちろん、いつも書いているように、オランダであってもいろんなタイプの学校がありますので、全部が全部そうではないと思います。が、自分も日本の学校を見学したことがあるので、思い出してみると、確かにオランダの学校の子どもたちは落ち着いている印象があります。
■学校は「楽しいこと」に集中できる場所
日本では「小1プロブレム」なる問題もあったりしますが、オランダでは、個別の個人の問題はもちろんあるとしても全体でまとまった傾向として、それはなさそう。
4歳から学校が始まって(実質、幼稚園)そのまま、日本的には小学校6年生まで同じ学校にいる、という学校システムの問題もあるかもしれないなあと思っていますが、一番大きいのは「学校というのは好きなことをやる時間」という捉え方かもしれない、と思っています。
もちろん、オランダの学校でも嫌いでやりたくない勉強をすることもあるかと思いますが、それはかなり少ない感じ。間違いなく自分の子ども時代の日本と比べると圧倒的に少ないし、学校見学のたびに先生から聞かされるのは、「学校の中に子どもがいる時間、いかに子どもが楽しめるのか?」「子どもが学校を楽しんでいるのか?」ということを常に第一優先に考えていることです。
さらにすごいのは、当事者である子ども自身が、そのことを体感していることです。先生が「学校をいかに楽しく過ごす場所にしようとしているのか?」ということを子どもたちが分かっていることです。なので、他の子どもが楽しんでいる時(これは勉強も含みます)には、他人の邪魔をしません。
「楽しいことに、各自が思い思いに集中できる場所」が学校内に、物理的にも時間的にも、そして心理的にも確保されていて、みんなの共通認識になっていることが違いとして挙げられそうです。その結果、子どもたちが集中している、落ち着いている、ざわついてない、という印象を与えているようです。
もちろん、全部の学校がそうか? 全員がそうか? となると違うと思いますが、オランダの学校に対して、こうした印象は日本から来た多くのみなさんが持たれるようです。(もちろん、視察で訪問するような学校は、いわゆる「良い学校」が多いということもあります。)
好きなことに集中している時は、誰だって邪魔されたくないですよね? こういう単純なことが教育現場に活かされているのは当たり前だと思います。ところが日本の学校の場合、「勉強」と考えると、どうしても「嫌なことを無理やりやる」と捉えてしまいがちかな?と思います。「これを勉強しないといけない」「これは覚えないといけない」つまり、いつの間にか勉強は「嫌なこと」に。逆に先生は「これを教えないといけない」というのが強すぎるのかな?とも思います。もしかしたら、こちらも生徒との時間を楽しむ、なんて意識が持てなくなってしまっているかも知れません。(他の激務も重なったりして)
そういえば、昔、ユトレヒト大学の労働法を専門とする先生に話を聞きに言ったことがあります。その女性の先生は、我々視察団に対して「オランダの子どもたちが世界一幸せと言われていますが、その理由が分かりますか?」と質問しました。私たちが、「働き方の問題かな?」「学校のスタイルかな?」などと思っていると、先生はニヤリと笑って「それは、オランダの女性(ママ)が世界一幸せだからです」と言いました。
となると、実は同じことが学校にも当てはまるかも知れません。「子どもたちが楽しい学校」は「先生が楽しんでいる学校」というように。先生自身が楽しい学校(作り)が必要なのかも知れません。
考えてみると、日本とオランダの学校の一番の違いはここ。「先生が学校を楽しんでいるかどうか?」という点かも知れません。
そういえば、「王様の日」のフェスティバルでは大抵、先生が子どもたちよりもノリノリで踊っている、というのを鮮明に思い出しました。
もっとも、今、オランダでも特に小学校の先生の待遇はあまり良くない、ということで成り手がいなかったり、給料が低かったりで、近年問題になっています。この辺は、近い将来、子どもの育ちに影響を与えるかも知れませんが。。。
こんなことも含めて興味のある人はぜひ、一度子どもたちの様子を見にいらしてください。
今は最高の季節ですよ〜。視察は午前中に終わって、ランチからワインをご一緒させてもらうのが理想ですがwww
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