499057698_3c1f5ec36aアジア家族放浪中、長男をシンガポールの幼稚園に通わせた事もあって、行く先々の国で幼稚園や学校を見たり、情報を集めたりしました。

各国、それぞれに良い点と悪い点がありましたが、幼児期から多様性に触れさせたい、英語環境で学ばせたい、世界を感じたい、などの目的があれば、それは適しているとは思いませんが、日本の幼稚園自体は、悪くない、それどころか、かなり良いのではないか?と思いもしました。

特に日本の保育士資格試験受験中の身としては、他の国のダメなところも多く感じました。これは幼児教育のシステムの話というより、日本人の人間性の話に近いのですが。

 

■今後はイノベーターしか生き残れない

旅行中に『未来のイノベーターはどう育つか』という本を読みました。著者であるトニー・ワグナーはハーバード大学テクノロジー起業センター初代フェローを務めた人です。20、30代の150人以上のイノベーターと呼ばれる人をインタビューし、そこから分かったことをまとめた本です。

本書では、今後はイノベーターしか生き残れない、と書かれており、例えば、MITやオーリン工科大学、フィンランドのチームアカデミー、dスクールなどを除いて、アメリカを含む全世界のほぼすべての大学は、これからの人材を育てるための教育機関としては、失格だ、と書かれています。

ハーバードやスタンフォードであっても要件を満たしていない、というのです。

元来、子どもはイノベーターになる素質が十分であるのに、教育や家庭環境が、そのイノベーターとしての才能をことごとく奪っていき、大学を卒業する頃には、完全にイノベーターとしての才能を奪われた状態になる、と書かれています。

 

■イノベーターを育てるために親ができるたった一つのこと

イノベーターになるには、自分の好きなことに没頭して、その信じる道をひたすら突き進む。そして、そこにいつしか、目的が生まれ、それがさらに社会的に昇華されると、世の中から認められ、必要とされるイノベーターになるというのです。

そして、このプロセス、あるいは子どもの成長過程は、たいていの場合、周りから理解されず、周りが考える正しいとされる道に戻されることになります。それが、今の教育だというのです。

親が究極的に子どもに対してできるのは、”信じることだけだ”、と書かれています。子どもが失敗して、周りから理解されないことを、遠巻きに見守ることしかできない、というのです。

<いまの時代、若きイノベーターや起業家の親になるには自信と勇気がいる。>

とも書かれています。

<本書で説明してきたような子育てで究極的に必要なのは信じることだ。まずは親としての自分の直感、判断、価値観を信じること。また子供を信じること。

子供にはユニークな感性と才能があり、学びたい、作りたいといった欲求があり、自分の潜在性を実現したいという内的なエネルギーがあることを信じるべきだ。自分の親として権威を見直すことも重要だ。現在は「お父さんがいちばんよく知っている」時代ではない。>

特に小さい頃の家庭環境はとても大事だなあ、と感じたのですが、家庭環境だけみると、日本は他のアジアの国と比べると、恵まれすぎていて、子どものイノベーターとしての発想を奪っている気がしました。

イノベーターを育てるためには、何もしない時間(予定のない時間)を作る、読書の時間を持つ、外で過ごす時間をつくる。この3つが大切だと書かれています。

一方、日本では親が周りの目を気にしすぎて、子どもの失敗や、親自身の失敗を極度に嫌う傾向が強い気がしました。

アジア放浪を終えて、自分たちが、あまり人の目を気にしなくなった=周りはどうでもよくなったのですが、(周りを気にする余裕もなかったのですが)今までは、やはりなんだかんだで気にしていたのかな、と思いました。

 

国それぞれで、子育て環境、教育事情が違っていて、世界は広いと実感しましたが、どこの国の親であっても、子どもを信じることの重要性は変わらないと思いました。

決して単純な子育てHow to 本ではなく、これからの時代を生きるための読み物としてもオススメです。

 

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