新学期が始まって、そろそろ1ヶ月。少しづつオランダ社会のいろいろなことが、改めて分かってきました。

普段読んでいてくれる人には、ちょっと繰り返しになってしまうのですが、うちの長男は今学期から、地元の公立小学校(イエナプラン)と、地元のサッカークラブに入ることができました。

小学校に関しては、それまで通っていた語学を中心に教える学校(それでも公立の小学校というくくり)、つまり非オランダ人ばかりが通う学校から、完全に地元の子どもばかりが通う普通の学校に転校。ここは、もともと我々がオランダに移住した理由でもある「イエナプラン」の小学校です。

このイエナプランの小学校の話は、多くの方から「早く教えて欲しい」という連絡をもらいますが、もう少し実感できてから、おいおい書いていこうと思っています。なので、こちらの話は少々お待ちください。

ただ、学校自体はやはり非常に良い学校という印象です。そして親の出ごとが半端なく多いです。そして、さらに言うと、実は長男、まだあまりこの学校に馴染めず(友達がまだできておらず)ちょっと慣れるのに苦戦中といったところですが…。(しかも、かなりびっくりな出来事があったので、それは次回にでも)

そして、もう一つ新しい生活が、サッカーを始めたこと。こちらも地元でも評判のクラブ。1年待って、さらに今年もウエイティングリスト28番でしたが、なんとか入団。こちらはサッカー経験0、かつオランダ語話せないのに親がコーチになる(平日の練習に付き合う)ことで、めでたく入団できたのです。

 

■現地化への過程に四苦八苦

で、前置きが長くなりましたが、このような新生活が始まりました。

非オランダ人ばかりの学校に行って地元の人との交流もあまりない。オランダでの仕事、特に自分のような日本と繋ぐような仕事をしていると、オランダでは英語のみで余裕で成り立ってしまいます。

それが、今シーズンから一変。地元の学校は、もちろん全ての連絡がオランダ語。近所に住んでいる人も多い。親の出ごとも多い。毎日の送り迎えでも必ず顔を合わせる。おまけに今度は、親参加のダンスパーティー(夜の保護者会)まであります。

「郷に入っては郷に従え」ではありませんが、こうしたことを通して、オランダコミュニティに入るんだろうなあ、と思って親も必死です。いまだに全然入れてないけど。

ちなみに我が家は、あくまでもアイデンティテは日本人。そして日本人として育てているつもりです。ただし、オランダにいるので、オランダのことも十分理解してオランダ人としての行動様式もできるようになる、というハイブリッド型を理想としています。

海外に住む場合は「インターナショナルスクール」に入って、インターナショナルなアイデンティティを持つ、ということもあるかと思いますが、我が家は前者を方針としています。そのためにも、(家族で)オランダ語は必須になってくるのです。

もちろんサッカークラブでも当然、オランダ語。こちらも親がほぼ全ての行事に付き添います。送迎もありますから。だから、実は蓋を開けてみれば、ほぼ全員の親が平日の練習にも参加しています。

ということで余談ですが、何もサッカー経験0、かつオランダ語が喋れない人(=自分)をコーチにする必要もなかったように見受けられます。実際、「こいつはヤバい」と思われたのか?かなり強力な助っ人が、チーム内で現れて、今ではそっちがリアルコーチ。自分は晴れて「いるだけコーチ」という、最高のポジションを獲得しています。

で、それは置いておき、やっぱりこっちも当然オランダ文化。WhatsAppでのチーム員の保護者のやりとりも、ものすごい分量です。やっぱりみんなコミュニケーション好き。毎週試合があるので、当然、親もかなり団結してくるわけです。

「アウェイの試合の場合は、やっぱりみんなで一度クラブに集まってから行こう」「明日の試合の時、ユニホームが余ってたら貸して欲しい」から始まり、「どういう強化をしていくべきか」「コーチへの要望を聞かせてくれ」などなど、毎日20件くらいのメッセージが届きます。オランダ語わからないので、かなりキツイですw。

でも、これも上に同じくですが、現地化への過程だと思っているので、なんとか必死に食らいついてます。そもそも(いるだけ)コーチなのに、子どもと一言も話せないのはまずいですし。

 

■子どもが中心の社会とは

この現地化の過程で、改めてやっぱりオランダは子どもが社会の中心にいるんだな、と感じることができてきます。みんなが子どもの生活が楽しくなるため(&自分たちも楽しむため)にやっている、と感じるからです。

ご存知の方も多いと思いますが、サッカーにおける環境は素晴らしいものがあります。クラブハウスも完備、芝のグランドも何面もあります。ホッケーや、テニスなどの他の競技も同じクラブ員として活動してます。

そんな環境にありながら、サッカーにかかる費用は年間2万円しません。これは結局、親のボランティア、行政を含む地域の協力、そして地元企業の協力があるからです。

ですから、繰り返しになりますが、こういう社会に入ることで初めてオランダの「子ども中心社会」を実感することになったのです。

一つ面白いなあ、と思ったことがあります。

サッカークラブで、「Verkoop-boekje」なるものが配られました。(トップの写真)これは「宝くじ」みたいなもので、各クラブ員が、周りの人に一口3€で買ってもらいます。すると、その収益の80%がクラブに、残り10%が自分のチームに、そして残り10%が宝くじの資金としてまわされます。

で、これを売って、クラブの運営費などに当てるのですが、なんとこれオランダ全土で、つまり全クラブで一斉に行われている、というのです。もちろんサッカーだけではなく、ホッケーやテニス、乗馬や体操など、全てのクラブの運営資金の足しに、自分たちで宝くじみたいなものを売るのです。

そして、これが毎年毎年、オランダでは行われており、子どもたちがいろんなお宅に訪問して、「これを買ってくれ」と言って回るようです。まあ、ハロウィンのお菓子もらいにまわるのと同じようなものでしょうか。

ちなみに、その販売するチケットには、「もう買いました」という小さなステッカーがあるので、それを玄関のドアに貼っておくと、子どもたちが来なくなる、という仕組みらしいですw。

ついでに言うと、そのチケットを買ってくれる人は、口数と自分の銀行口座番号を、チケットに書くだけ。後ほどクラブから自動引き落としされる、と言うことで、子どもが小銭を集金することもないので、正確に全てオンラインで処理されますw。この辺も、全て合理化したいオランダらしいです。

とまあ、いずれにせよ、クラブもこうした地域や、企業、そして国民の理解の元に運営されているので、安価で素晴らしい環境で活動できるようです。

子どもも自分達で売りにいくことで、周りのサポートの有り難みとか、難しさ、なんかを実感するのではないでしょうか。

こうしたこと、やっぱりオランダ語社会に入らないと分からなかったのですが、改めて「子どもが中心の社会」だなあ、感じたのです。

こうした制度のもと育った人たちが大人になって、また子どもに還元していくということができているようですから、やはり地元のコミュニティにいかに入るか?と言うのは、子どもを育てる上でも大事な要素な気がします。

 

と言うことで、この宝くじ一口3€。賞金は100,000€。(12月14日発表)子どもたちをサポートする、より良い育ち環境を作る、と思って、どなたかいかがでしょうか?? オランダ(ヨーロッパ)に銀行口座さえあれば、誰でも買えますよー!

こういうことに協力してくれる人たちが多いのが、「子どもが世界一幸せな国」なのかな、と思います。

日本の皆さんも、このシステム、子どもをサポートする側になって、ちょっと体験してみませんか? 日本円でもバッチリ立て替えさせていただきます!w