9月の新シーズンが始まって、そろそろ普段の生活ペースにも慣れてきました。長男のイエナプランの学校は、毎日の送り迎えは当然として、それ以外にも、ものすごく親の出ごとが多いです。(夜のダンスパーティとかw)

また今シーズンから始めたサッカーは、コーチになってしまったので、平日のトレーニングと休日の試合、それ以外の長男の習い事の送り迎え。

次男は週4で幼稚園に通っていますが、1回2時間。送り迎えが当然あり、場所は長男の学校とは正反対。

こうした送迎だけでも、あっという間に1日が過ぎていきます。もちろん、それ以外に仕事もあります。またオランダ語の学校にも通い始めたので、なかなか、いやかなり忙しいのです。

 

■サッカーコーチが意外にも楽しい理由

こうした忙しい日々にも、少しづつ慣れてきましたが、日本とは根本的に違うなあ、と思うことがあります。それは全てが楽しく、関わる人がみんな、それぞれ楽しんでいる、ということです。

こう書くと誤解が生じたり反発があるかもしれません。「オランダ人だって、全てを楽しんでいる訳ではない」「全員が楽しく生活しているなんて、ありえない」確かにそうだと思います。

逆に日本だって「俺は忙しい日々を十分楽しんでいる」「子育てが楽しくてしょうがない」こんな人もいるでしょう。

ただ、個人的な印象としては、やはり「オランダ人は生活をものすごく楽しでいる」というより、そもそも「人生を楽しむために仕事をしている」「家族との生活を楽しむために子育てをしている。そして子育て自体を楽しんでいる」という人が圧倒的に多い気がします。

この9月から、長男のサッカーの(いるだけ&にわか)コーチを始めたのですが、そのクラブは天然の芝のグランドが一面に広がっており、(そもそも街のいたるところにサッカー場はあるけど)大人から子どもまで同じクラブ員としてサッカーを楽しんでいます。他にもグランドホッケーやテニスも同じクラブメンバーとして活動しているので、それぞれ沢山のコートが併設されています。

クラブ員同士が、一種のファミリー的な結束を持ってサポートし合って、みんなでクラブや子どもを育てていく、という雰囲気に満ち溢れているのです。そうした場にいるのは、それだけで楽しく感じるし、サッカーをやったことがなくても、自分もクラブ、そして地域の一員として何かしらの貢献をしようと思わせるものがあります。

そして、何より、子どもはもちろん、関わる大人全員が楽しんでいるという雰囲気がビシバシ伝わってきます。そう、何よりも、この「大人が楽しんでいる」という雰囲気が、日本とは大きく違うのです。

まさに鶏と卵の関係ですが、「大人が楽しんでいるので雰囲気が良い」のか、「雰囲気が良いので大人も楽しんでいる」のか分かりませんが、「大人の楽しむ様子」は確実に子どもにも影響を与えると思います。これがクラブの雰囲気を良くしている、根本的な理由だと感じます。

 

■とにかく大人が楽しむことが大事

もちろん自分は完全に後乗り派、つまり「クラブの雰囲気が良いので楽しんでいる」(いるだけ)コーチなのです。が、サッカーができないので、尚更、意識するのが「子どもを楽しませる」ということ。

自分の担当している(長男のいる)チームは、基本的には初心者ばかり。サッカーに対するモチベーションもバラバラで、本当に上手くなりたい子から、日頃の運動不足を解消するためだけに来ているような子もいます。

その中に、病弱で人見知りも激しく、目を合わせて話もしてくれないおとなしい選手がいます。先日、彼が1週間、病気で休んだ後、初めて練習に参加しました。まずはみんなで「良くなってよかったね!」「練習来てくれてありがとう!」とお迎えを。

本人は、相変わらず静かだし、チームの中でも正直プレーもまだまだ下手ながら、復帰の日は普通に練習を終えて帰って行きました。

するとその晩、彼の親からSNSが届きました。「息子は本当に練習が楽しかったと言ってる。これはあなたたちのようなグレートなコーチのおかげだ。本当にありがとう。これからもよろしく!」といったメッセージが届きました。

これを読んで感じたのは、たとえコーチとして何か特別なことができなくても、「子どもを楽しませること」を意識することが大切。そして、そのためには、何よりもとにかく「自分が楽しむこと」が大切だなあ、と感じたのです。

ハッキリ言って、サッカーのコーチらしいことは全く何もしていませんが、とりあえず、自分が楽しむことはできているからです。

 

ということで、子どもを楽しませるには、まずは何よりも自分が楽しむことが重要だと再認識したのでした。

そういえば、長男の通うイエナプランの小学校も、教育方針以前に「子どもが楽しむこと」を一番大事にしていると言ってました。そう思って見ると、長男の学校の先生は、みんな、むちゃくちゃ楽しそうにしています。先生自身が、自分の、そして子どもとの時間を楽しむことを大事にしているのでしょう。

そういう先生と話していると、自然とこちらまで笑顔になってしまいます。これに、子どもたちが影響を受けないはずがないのです。だから、みんなが楽しそうにしている。結局は、そういう社会がオランダ中に広がっている。そしてこれが「子どもが世界で一番幸せな国」と言われる所以なのかもしれません。

これが上記の、「オランダは楽しんでいる人が多い」と見える理由でもあります。日本でも、むちゃくちゃ楽しそうに仕事している人は、人気者だったり、仕事が出来る人だったり、周りに人が集まったりしてますよね。得てして、そういう人は常人以上に忙しいのも特徴ですが。

つまりシンプルに考えれば、とにかく「大人が楽しむこと」がもっとも大切なのです。

とはいえ、実はオランダでも、日本と同じで、先生の労働環境はあまりよろしくないらしく、昨今は先生のなり手も非常に少なく人気のない職業です。まあ、日本の先生と比べると、むちゃくちゃ労働環境は良く見えるんですけどね…。

ちなみに、我がサッカーチームは、典型的オランダ人の超明るい、サッカー大好きおじさんがメインのコーチです。ですから、子どもたちが楽しめるのは、決して自分のおかげではなく、そのメインコーチのおかげである、という現実は認識しているつもりです。はい。