さてさて、このところなぜか「教育移住」に関してのお問い合わせが非常に増えています。もちろん以前から変わらずお子を持つ親御さんにとっては、重要なトピックではあると思いますが。正直、問い合わせが急増した背景には、あまり心当たりはないんですが、どなたかご存知でしたら教えてください。

「令和」になり、日本だけではなく、世界も激変している今、教育に関してもいろいろと議論がありますね。そうしたことに触れる親御さんの関心は、「このまま(子どもが)日本にいていいのか?」「日本の教育で世界で通用するのか?」などなどの疑問でしょうか。

そこで今回は、海外留学や教育移住について、実際に体験している立場から、今、リアルタイムに感じていることをお伝えしようと思います。

 

◆「アウェー」で生活するという覚悟を持つこと

まず、教育移住はそもそも「簡単ではない」と言う覚悟を持つことから初めてもらうのが良いかな?と思います。先日、サッカーのヨーロッパチャンピオンズリーグで、Ajaxと言うオランダのチームが、前年度王者のレアルマドリードの本拠地スペインのマドリードに乗り込んで試合を行いました。世界中の人が、レアルが余裕で勝つと思っていましたが、なんとアウェーであるはずのアヤックスが奇跡的に?勝ちました。

「教育移住で外国に住む」と言うのは、このくらい大変です。

と言う、このブログの8割りをしめるママさん読者には、のっけから全く実感の湧かない、かなり分かりにくい例ですいません。つまり言いたいのは、めちゃくちゃ大変である!と言うことです。完璧な「アウェー」になります、と言うことです。

これは生半可な覚悟ではできません。うちも、オランダに移住して4年目に入りました。ようやく少しだけ余裕が出てきた感じです。別にオランダで差別にあったり、嫌な思いをしたことは何一つありません。むしろ、どこに行っても基本的には、とっても良くしてもらっています。でも、実際に外国で生活するのは、ホームである日本で生活するのとは全く違います。

この「覚悟」がなく、残念ながら帰国されている方を、かなり大勢見てきました。なので、オランダがいくら子どもが世界一幸せな国だろうが、ワークシェアが世界一発展していようが、週の平均労働時間が26時間なのにGDPがすごい高かろうが、サッカーが再び盛り上がってこようが全く関係なく、正直、教育移住はあまりオススメはしません。それくらい、この覚悟が大事です。まあ簡単に言うと、日本人がこちらで仕事しようと思うと大変です。優秀な人が世界中から集まっていますから。ますは、この「覚悟」を持ってください。

「覚悟」があれば、おそらくそれなりの準備をされると思います。「外国に行けば、なんとかなるだろう」は、通用しません。なんともなりません。もちろん、若者が「なんとかなるだろう」と思って、自分一人でチャレンジする分には、一向に構いません。むしろ、それでもいいからチャレンジせよ!と思います。ただ、ご家族で、勤めていた会社を辞めて、小さなお子さんのために移住します、と言う場合は、相当な覚悟と準備をすることを強くオススメします。

別に日本人が優秀ではない、という訳ではありません。実はむしろ優秀だと思うんですが、そもそもスタートラインに立てないことが多いと感じています。バッターボックスに立てない、と言うか…。語学の問題、慣習の問題(どんどん前に出る感じ、意見を堂々と言うとか)あとは、今、ちょっと日本が全体的にガラパゴス化しているので、世界標準と違ってきていたりすることから、国際感覚とのアジャストが難しくなってきているな、と感じます。例えば、日本では今でこそ、新卒一斉入社、終身雇用、年功序列はどうなのか?と話が出てきましたが、そもそも、海外ではそんなのないですから。

で、この「覚悟」しつこいほど言いますが、これはズバリ、親御さんの問題です。お子さんの問題ではありません。なので教育移住は、親の覚悟がまず大事です。反感を買うかもしれませんが、後続の日本の皆さんのために、あえて強く言いますが、「日本人はアウェーでは仕事ができません!」

この意識を持って、「じゃあ、どうするか?」と言うことを考えてください。

なんで、こんなことをはじめに言うのか?というと、この覚悟がない人が、かな〜り多いなあと感じるからです。正直、皆さんの想像をはるかに超える多さだと思います。

自分が移住した時の経験からわかるのですが、本気で移住を考えた場合は「絶対、そんな質問しないでしょ?」ということが、なんと多いことか。アウェーに住む「覚悟」がない質問、ググれば1秒で分かる質問が、かな〜り多いのが実情です。

 

◆子どものアイデンティーをハッキリと

次に、教育移住、または海外留学、特にお子さんが小さい場合ですが、アイデンティをどうするか?と言う問題があります。

英語ができるようになる、とか、海外の文化に慣れる、多様性のある環境に小さいうちから置きたい、なんて言うのが、移住や留学の目的として言われます。でも、移住や留学をまともにするなら、これらは黙っていても自然に身につきます。

むしろ、子どものアインデンティをどするのか?と言うことの方が問題かな、と思います。はじめに結論を言うと、これについての正解は分かりません。ちなみに、うちは完全に日本人として育てています。家では日本語を使い、日本的な文化に触れるようにして、日本語も勉強してます。帰国のたびに、日本語の本を大量に買っています。(それでも多分、すでに同い年の日本の子どもに比べたら、日本語能力はかなり劣っていると思います)

語学、現地の習慣、オランダ人としての身の振る舞い、考え方、こんなことは黙っていても身につきます。なので大事なのは、日本人としてアイデンティだな、と思っています。

この方針がハッキリしていないと、子どもが大人になった時に大変かな?と思っているからです。なんとなく根無し草的にならないかな?と。

ただ、はじめに述べたように、これが正解かどうか分かりません。今後、どんな時代になるのか分かりませんし、子どもがどんな人生を歩むのか分かりませんから。例えば、ヨーロッパでは、両親ともに国籍が違って、住んでいる国と、喋っている言葉がバラバラなんてざらにあります。こうした子が増えていく時代に、日本人としてのアイデンティよりも、むしろグローバルシチズンとしてのアイデンティがあったほうがいいのかもしれません。何れにせよ正解は分かりませんが、親の方針をハッキリしておくことが大事かな?とは思います。

 

◆親こそ現地には積極的に溶け込むこと!

そう言う意味で逆説的かもしれませんが、うちはオランダの地元の公立学校に通っています。その中で、日本人としてオランダの文化を吸収する環境に置いています。

実は、これがまたまた親が大変です。オランダ語がマストの環境になるからです。(なので、妻ともどもオランダ語を勉強中。ちなみに、妻はすでに結構出来る)ちなみに、もしオランダで仕事をする場合、特に日本を相手とか、インターナショナルな環境の場合、仕事は100%英語でできます。

一方で、移住でも留学でもいいんですが、インターナショナルスクールを考えることがあると思います。もしかしたら、日本で言う所の留学や、教育移住は、実はこっちのパターンが圧倒的多数かもしれません。もちろん、そこにはメリットがあると思いますが、乱暴に言うと「インターナショナル」なアイデンティを習得する場かな?と思います。なので、「インターナショナルスクール」だとすると、それはシンガポールでも、マレーシアでも、マルタでも、オランダでも一緒かな?と思ったりします。(もちろん、細かくは違いますが)いわば「インターナショナル」なアイデンティで、まさにどこに行ってもインターナショナル人として生きていけるのでは?と思います。

オランダの場合、難しいのはこのポイントです。例えば、「子どもが世界一幸せな国」と言った場合は、オランダの学校のことを指しています。別に、オランダのインターナショナルスクールに通う子どもが幸せじゃないか?というと、そんなこともないと思いますが話を分かりやすくするために、あえて言ってます。

だから、いわゆる「オランダ的な世界」へ教育移住したいと思ったら、それはオランダの教育システムに載せることを言います。となると、いろいろと大変なんですよね。言葉のことを考えると、だいたい小学校、できれば低学年までに移住しちゃった方がいいかもとか、親のオランダ語がやっぱり必要だなとか、現地に溶け込むことはマストだぞとか、実はオランダのインターナショナルスクールは数がそもそも少なく満員御礼の大入り状態が恒常的に続いており、ウェイティングが半端ないとかとか。

もちろん、オランダにいてインターナショナル的な選択肢も、インターナショナルスクール以外にもあります。最近では現地公立校でも英語化が進んでいたり、そもそもアムステルダムなんかは、世界でもっとも多様性のある都市の一つと言われているくらいですから。日常生活をする上では、オランダ語が喋れなくても全然問題ないです。

でも、どう考えても日本で皆さんの隣の家に引越してきた外人がいた場合、英語しか話そうとしない外人より、日本語ぺらぺらの外人の方が仲良くなりますよね?つまり教育移住した場合、かつ現地とうまくやっていくためには、自分が「現地の言葉である〇〇語ペラペラの外人」になる、またはその努力をしないとダメなんですよね。これが現地に溶け込むための重要な要素になります。これもまた「覚悟」が必要です。

あと、駐在で行くのはどうか?と聞かれることもあります。おそらくですが、多くの駐在員は、東京(日本)本社を見て、仕事をすることになると思いますので、実は現地に溶け込む必要自体、あまりないかもしれません。溶け込まずにでも十分、やっていけちゃいます。今や日本食も大抵の国で手に入りますし、赴任期間も長くて5年くらいでしょうか。また日本に戻ることが前提なので、お子さんの教育とはちょっと分けて考えた方がいいかもしれません。お子さんがせっかく現地になれたころ、日本に戻る、みたいなこともありますし、お子さんの年齢の関係もありますしね。駐在文化は、上記で記した項目には当てはまらないことが多いからです。

 

とまあ、簡単に挙げただけでも、ここでは語りつくせないいろいろな問題があります。(なので、あんまりブログには書かないのですが)でも最近はなぜか、かなり問い合わせが多いのと、自分も4年目になって少し分かってきたことがあるので、さわりを書いて見ました。

で、こういうこと(とか、もっと多くの問題)をちゃんと踏まえた上で、もし教育移住したいなら、親御さん自身の「仕事」をなんとか出来るようにしてください。(周りくどい言い方してましたが、これこそ最大の問題)実はお子さんは年齢が多少上でも、インターナショナルだろうがなんだろうが、多分、なんとかなります。親のあなたより、たくましく育ちます。多分。現地に友達もさっさと作って、語学もさっさとマスターします。

問題は親です。親の仕事なのです。その目処がつくならお子さんには是非是非、広い世界を体験させてあげてください。これはおそらく、お子さんの将来の可能性を無限大に開かせることに直結します。こうした親の苦労を補ってあまりある将来があるのではないか?と希望的観測を含めて思っております。

ここには多くを書きませんが、日本の教育の問題、世界との差、目指している方向の違い、ビジネスにおける日本企業の地盤沈下などなど、留学や、教育移住が良いのではないか?と思う理由は、まだまだたくさんあります。(むしろ、それは日本にいて、教育移住や留学を考ているみなさんの方がご存知でしょう)

残念ながら皆さんの行動に責任は持てませんが、お子さんの留学、または教育移住、出来るならぜひトライを!!

自戒を込めて、というより自分に言い聞かせるがごとくですが…ただし、簡単ではありませんので、くれぐれも軽々しく考えないで!しつこいですが、アウェーに出ていく「覚悟」が絶対に必要です。

ちなみにAjaxはマドリードという、時にレフリーを買収もするという噂のアウェーで激勝しましたけどねw(最後まで分かりにくい話ですいません)