オランダで生活していて思うのは、「外国人」が異様に多いということ。

「オランダにいるんだからオランダ人が多いのは当たり前でしょ」と思うかもしれませんが、ここで言う外国人とはオランダ人のことではなく、オランダから見た外国人。つまり我々日本人も含む、オランダ以外の国の人のことを指しているつもりです。

そういえば最近、日本でも外国人も増えてきていますよね。日本に一時帰国して、例えばコンビニに寄ったりすると店員さんがほとんど外人ということも増えてます。

 

歴史的に外と繋がることでしか生きていけないことを自覚してる

今、オランダの首都であるアムステルダムは「世界でもっとも多様性のある都市」と言われており、180カ国以上の国籍の人が住んでいると言われています。

ご存知の通りオランダは非常に小さい国です。面積的には日本の九州とほぼ同じ。人口も1800万人ほどです。首都のアムステルダムの人口も80万人。東京なんかと比べると、足元にも及ばないほど小さな国、都市です。

しかし、この小国は「自分たちが小国である」(背は世界一高いけど)ということを、ずーと昔(16世紀)から自覚しています。この自覚している、というのがポイントなのですが、そのため昔から「世界といかに繋がるか?」「世界と繋がらないと生きていけない」ということを認識してます。

そのために各種インフラ整備に命をかけています。例えば空港(スキポール)、港(ロッテルダム)をヨーロッパの玄関口として抑える、国内の鉄道、道路を整備してヨーロッパ中の輸送の拠点とする、今でいうとヨーロッパ1の高速インターネットを整備し、5Gへの準備も着々と進めています。

英語の普及率が異様に高いこともそうですし、スタートアップシーンでいうと決済サービス、観光予約サービス、地図系、ブロックチェーン、サイバーセキュリティなど、ここでも広い意味でのインフラを抑えることに命をかけています。

つまり世界と繋がる、世界に利用してもらえる国として(しか)存在感がないと自覚しているのです。アジアでいうと、シンガポールに似ているかもしれません。

さらにオープンな国民性、合理的で根っからの商売気質などにより、世界中から多くの人を引き寄せ、非常に住みやすい国になっています。世界中で「自国以外で最初に住むのにもっとも適した国」と言われているのもそのためです。

なので、ここには外国人が多く住んでいます。移民、難民を始め2重国籍などもいっぱいいますし、なによりお父さんドイツ人、お母さんオランダ人などの厳密にいうとハーフもいっぱいいすぎて、とにかく誰が外人かどうか?全く分からないのです。

で、こうなるとどうなるのか?どうもオランダ人を見ていると、「オランダ語を喋れるかどうか?」が唯一の基準のようで、「オランダ語を喋る人」=「オランダ人」と思っているようです。

例えば、先日路上で高校生ぐらいの学生にアンケートのインタビューを受けました。挨拶などの最初の一言、二言をオランダ語で会話したため、その後、全てオランダ語で話かけられました。少しして「ごめん、英語でお願い」と言うと、「(最初に)オランダ語を喋ってたし、(洋服や身のこなしなど)見た目で、完全にオランダ人かと思っちゃった」と言って、英語に切り替えてくれました。

一方で、「オランダ語も喋れない外人が増えて困っている」と堂々と(英語で)言う、おじいさんもいます。

つまり、「オランダ語が喋れる人」が、厳密には血とか国籍に関係なく、とりあえず「オランダ人」と言う認識のようなのです。なので、見た目はトルコとかモロッコとかでも、「とりあえずオランダ人」と思っているフシがあります。(こう言う認識のされ方はフランスとかドイツでもそうです)

これが子どもの学校でも同じ状態で、もう完全に人種のるつぼ。ただ、これは学校の地域差も大きくて、うちの子どもの通う学校は、たまたまいわゆる白人系オランダ人ばかりなのですが、学校によってはイスラム系ばっかりで、ラマダン明けなんかは学校がお休み?というくらい生徒がいない学校もあります。

でも、何れにせよ子どもの世界でも「オランダ語が喋れるかどうか?」が「オランダ人かどうか?」の判断基準になっている気がします。

 

オランダ人ばっかりでヤダ〜

この辺りの認識の仕方は、ちょっと日本人には難しいものがあります。と言うか日本人は無意識に、かなり高い日本語ペラペラレベルを外国人に求めている気がします。

また、外人と繋がることに対する心理的な壁はオランダ人は恐ろしく低く、日本人はかなり高いのではないか?と思います。

それは歴史とか宗教観とかもあるかと思いますし、やっぱり大陸ヨーロッパにいて、隣の国にすぐ行ける環境と、とりあえず船か飛行機に乗らないと隣の国に行けない環境の違いは大きそうです。外人を受け入れる歴史的な環境の違いも大きくありそうです。

こうしたことがあるから、オランダのサッカークラブに入っているうちの長男に対して、「え〜、お前のクラブはオランダ人ばっかりだから嫌だ〜!!」と普通に言っている日本人の子ども(もちろんオランダ在住)がいて少しショックを受けました。本人は全く自覚ないと思うんですが、かなりの差別でもありますよね。

これ、逆(オランダ人が、他国の国の人のことを嫌がる、差別する)はあんまりないような気がするんですよね。少なくともオランダにいて、オランダ語さえ喋っている人に対しては。

おそらく、この発言の主は駐在員さんのお子さんだと思うんですが、子どものうちから、そういうことを思うんだなあ…と感じました。まあ、よっぽど小さい国とかでないかぎり、日本人学校に通ったりしてると、日本とあまり変わらない環境で生活できたりしますから、外国にいることを感じていないのかもしれません。

子どもの頃から、外国人が周りにいるのが普通の環境の国(シンガポールとかもそうですね)と日本ではやっぱり違いがあるのかもしれません。そういえば、日本では日本の授業についていけない、外国人の子どもが増えていて問題になっていると聞いたことがあります。

オランダは逆に、オランダ語を教える小学校が大きな都市には普通にあります。しかももちろん、教育費は無料です。なので通常、外国人はその学校に1年通ってから、普通の小学校に転校します。

こういう制度がすでに確立しているのも外国人対応慣れしている国だなあ、と思います。まあ、考えてみれば、教育もれっきとしたインフラですからね。ここに力を入れるのは、小国としては当然なのでしょう。

実は、こうした視点からオランダ(外国)の教育を考えてみるのも、面白いのではないか?と常々思っています。日本との成り立ちの違いや、力を入れているところが根本的に違ったりする理由が見えてきたりするからです。

教育(学校)は、そこだけ、その分野だけ見てても分からないことがあると思うからです。何れにせよ、社会に繋がっていますからね。

 

ということで、皆さんは外国人が周りにいると「嫌だな〜」と思いますか?お子さんはどうでしょう?日本もインバンドが大にぎわいですが、今後はもしかしたら、移民が大量流入してくるかもしれませんし。(今は、制度的には受け入れられないかもだけど)

その時の日本の教育とか、受け入れる日本人はどうなるのかな?とか思ったりしてます。教育はその国の重要なインフラになり得ますから。

教育を国のインフラと考えてみると、その国の教育の見え方が変わるのではないか?という話でした。今回は(も?)、最後まで読んでもらったのにモヤっとした話ですいません。学校だけ見てても、ダメじゃない?と言うことでした。