気づくと早くも9月。すでに新シーズンは始まっています。今年の夏休みは新型コロナのおかげで、休みなのか?休みじゃないのか?良く分からないまま終了。結局、どこにも行けませんでした。

ヨーロッパ人は、概して夏休みのために働いている、という感じで、サマーバケーション命の人が多いのです。日本は、今年の夏休みは全体的に短縮されたり自粛モードだったと思いますが、こちらは結構普通に旅行に出掛けている人も多く、そのせいかどうかは分かりませんが、今は新型コロナ第2波的な感じになっています。我が家は真面目な日本人家庭のため、どこにも行かず。

と言っても、オランダは周りの国に比べると、まだ落ち着いている方かな?という感じもします。そもそも、いまだに誰もマスクをしていません。(公共交通機関や、一部の繁華街をのぞき)

そんな状況の中、つい先頃、こんなニュースが発表されました。『日本の子ども、幸福度が最低水準 ユニセフの38カ国調査』。

こちらはユニセスが数年おきに発表している子どもの幸福度調査です。前回に引き続き、オランダは子どもが世界一幸せな国となったようですが、日本にとって、それ以上にインパクトがあったのが日本の子どもの幸福度が最低レベルだったということでしょうか。

 

幸福度をあげるのは実は簡単?

これについては調査の仕方などなどにも、いろいろな意見があるようです。が、日本の子どもが最低ランクかどうかはおいておいても、あまり幸せな気持ちを持っていないのは、まあリアルかもしれないなあと思いました。少なくともオランダの子どもよりは、幸せ!と思っている子どもは少ないのかな?と感じています。

で、それはともかくも、どうやったらこの幸福度があげられるのかな?というところを考えてみました。

意外と簡単ではないか?というのが、個人的に思っていることです。それは単純に「好きなこと」をすればいいのでは?と思うからです。オランダではそうしているからです。

他人のことは気にしない、好きなことを好きなようにやる、正解はない(正解を追い求めない)、学校は好きなことを見つける場(決して成績をあげる場ではない)偏差値は存在しない、過去の自分と比べて進捗を把握、全体的に緩い、自由、教えこむということがほぼない。オランダの子どもたちの生活をみていると、こんなことがパッと思い浮かびます。

で、学校の先生とかと話したり、その様子をみていると分かるのは、コーチとして各個人に寄り添っていて、それぞれの子に自分で考えさせるということを徹底しているように思えます。つまり「強制」はほぼないように思えます。うちの子どもが通う学校は「好きなことを見つける場」という意識も徹底していて、先生はコーチして子どもたちの背中をそっと押すような存在。決して知識を教える人ではないのです。

まあ、こんな環境にいれば、そりゃ幸せにも感じるだろうなあと思います。

で、ポイントはやっぱり、徹底的に自分で考える力を身につけさせることかな?と感じます。

 

知識+考える力=教養

現在、立命館アジア太平洋大学の学長の出口治明さんの書かれた『人生を面白くする本物の教養』(2015 幻冬舎新書)という本があります。出口さんがヨーロッパに駐在していた頃の経験などを踏まえて日本との比較などを書かれた本です。

その中で、教養とは何か?ということが書かれています。つい、教養というと「知識」と考えがちですが、その「知識」を使って、「考える」ことが教養だというのです。ちょっと引用してみます。

<教養とは何でしょうか?どうして人間には教養が必要なのでしょうか?もし、そう質問されたら、私の答えは「教養とは、人生におけるワクワクすること、面白いことや、楽しいことを増やすためのツールです」という一言に尽きると思います。よりワクワクする人生、より面白い人生、より楽しい人生を送って、悔いなく生涯を終えるためのツール、それが教養の本質であり確信であると私は考えています。>

つまり教養とは、「人生を面白くするためのツール」だと言っています。

これを読んで、オランダの学校の目的を考えると合点が行きます。(少なくとも我が家の子どもたちが通う学校は)前述の通り「学校とは大人になったときの楽しみを見つける場」と考えています。つまり教養を養う場という意味なのです。

出口さんの著書では、こう続きます。

<教養を身に付けるには、ある程度の知識が必要です。教養と知識は、不可分の関係にあると言っても間違いではありません。しかし、勘違いしてはいけないのは、知識はあくまで道具であって手段に過ぎないと言うことです。決して知識を増やすこと自体が目的ではありません。>

つまり「知識は手段であって、本来の目的は教養だ」と言っているのです。

一方で日本の学校や教育を見てみると、どうしても「知識を身につけるだけ」の場という感じがしてしまいます。偏差値教育などは、その最たるものかな?と思いますが、知識だけを身につけた状態では教養が身についておらず、つまり人生を楽しむためのツールを持っていない、のです。

著書の中でも、日本人ビジネスマンの教養は世界のビジネスマンと比べると圧倒的に低い、と書かれています。

これが、日本の子どもが不幸せの理由なのではないか?と思うのです。先に「好きなことをすれば良い」と当たり前のこと(しかし、好きなことが見つからない人も多いとは思いますが)を書きましたが、つまりこういうことで、教養を身につけていけば、自ずと好きなことが見つかるのでは?と思っています。

で、教養は「知識+考える力」だとすると、日本の子どもに足りないのは、圧倒的に「考える力」だと思うのです。おそらく知識は相当高いはずですから。

 

考える力を養うSerrendip

ということで、どうすれば考える力を養うことができるのか?と考えて作ったのが、こちらのサービスなのです。

スポーツやアートということを入り口に、子どもの考える力を養うためのプログラムです。コーチはプロのアスリート、アーティストです。自分が保育士として、子どもに接して欲しいなあと思うプロにしか声をかけていません。そして子どもに「考えさせる」アドバイスをしてくれるように話しています。

もちろん、みなさんプロ中のプロですから、本気でプロを目指す子どもたちにも十分対応できます。各子どもの考える力に合わせた、完全にオーダーメードのオンラインスクールです。

Serrendipはオランダ的な「教えない」という教育方法を行うオンラインスポーツ&アートスク=ルなので、それぞれの子どもに合わせたプロイグラムになります。というか、そのプログラム自体を子ども自らが考えるのです。ということは誰でも参加できるものです。このへんもオランダ式で、インクルーシブな仕組みにしています。ゆくゆくは各コース1名、無料の優先枠を設ける予定で、その枠には恵まれない子どもや、障がいのある子どもたちが参加できるようにします。この費用は、実は他の参加者のみなさんの参加費から回します。つまり、Serrendipに参加してもらうことで、こういうインクルーシブの社会作りに参加できるようにしています。これこそが、子どもの無限の可能性を引き出すことができる社会になると思っているからです。

いずれにせよ、子どもの元々持っているものを引き出す、ということを重視していて、そのためには子ども自らが考えることが大切だと思っています。そういう意味では、もしかしたら、今の日本の教育プログラムとは完全に逆行しているかもしれません。こちらから見ると、大人が子どもの先回りして、過保護に、あるいは超管理主義かのように見えるからです。そしてそれは結果として、子どもの可能性を奪っているのではないか?とも感じます。

 

オランダで子育てしている保育士として、日本の子どもたちに何らからの解決策を提示したいと思っていたので、まずはこうしたサービスを考えてみました。

今の子どもが活躍するフィールドは、確実に世界です。日本だけではありません。ですから知識だけではなく考える力、つまり教養を身につけることは、今後、ますます必要とになります。それはスポーツやアートの世界でも同じです。

よろしければSerrendip、ちょっとのぞいてみてください。