さてさて、今や欧州一の新型コロナ第2波(ビッグウェーブ!)に襲われております、オランダからです。そもそも人口が少ない(1700万人ほど)ので感染者数だけで見ると、大したことないように見えるのですが(と言っても、毎日数千人規模)、人口10万人あたりの感染者数で見ると、35人前後の欧州トップレベルでして、オランダ国内では第一波を超えるビッグウェーブに見舞われております。

ようやく、スーパーなどの店内ではマスクをする人を見かけるようになってきました。ようやくw という、全く笑いごとではなく、もはや収束は全く見えません。コロナ感染者は確かに急増しているいるんですが、なぜこんな中サッカー日本代表選がオランダで行われているのか? ヨーロッパ国内では移動しやすい、ついでに日本からも移動しやすいなど、こんな時でもオランダのプラットフォーム戦略というかインフラ戦略の凄さを感じます。という話はおいておいて。

今日は、うちの次男(日本では小1に当たる)の学校で話を紹介します。日本とオランダの教育の違いが感じられるかもしれません。

 

自己紹介

9月から始まった新学期。コロナ禍でも子どもの学校だけはなんとか開始されています。こちらでは4歳、または5歳から、いわゆる小学校が始まるので、実は日本の小学校1年生(つまり6歳)になった時点で、すでに1年か2年くらいは学校に通っている子ばかりです。

と言っても、小学校1年生になる前は、まあ幼稚園みたいなもので全く勉強っぽいことはしてません。同じ学校で、そのまま年齢が上がると上の学年に行くので、特に「小学校1年生のピカピカした感じ」というのもありません。ランドセルの準備とか、いろいろな持ち物に名前を書いてとか、お兄さんお姉さんと集団登校して…みたいなことはそもそも皆無です。時間やシステムもそんなに変わらないので、いわゆる「小一プロブレム」的なことは、親の方も学校内でもないと思います。(親の方は、もし問題があってもすでにその前の学年までに対応できるようになっている)

特に、うちの学校の場合(イエナプラン)は、小1のタイミングでそれ以前のクラスで一緒だったお兄ちゃん、お姉ちゃんたちと再び同じクラスに入ることになるので、うちの次男の場合はもうそれはそれは楽しみで、夏休み前から「早く学校行きたいなー」とずーっと言ってました。

で、9月から始まったクラスで(今はさっそくの秋休みw)自己紹介をすることになっています。

だいたい、1日に一人か二人。順番に行います。基本的にやり方は自由であるものの、なんとなく、みんな写真を紹介しながらの自己紹介をやるようです。要はパワポスライド的なものを(親が)作ってやるようです。異学年のお兄ちゃん、お姉ちゃんたちも(前年に)そうやってるから、自然とみんなやるようになるのかな?と思うのですが、これがなかなかのハイレベル。いや、少なくとも日本の1年生の時に、自分がやったか?というと、もちろんやってませんし、できるか?というと、できないのでは?と思うのです。

もちろん、それはパワポが作れるかどうか?という話ではなく、写真(や絵)を使って、みんなが分かるように、小学校1年生が自分のことを5分くらいで紹介できるか?ということなのですが。

そう考えると、小学校6年生に当たる学年の長男はもう、それはそれは慣れたもの。今年などはパワポ作りも、親のヘルプもほぼなしで完璧に自分で、サクッとこなし、変顔の写真を表紙に使ったり、小さい頃のアホな自分の姿の写真などを所々織り交ぜ、聞いている人が楽しむような自己紹介を作っていました。(特にうちの場合は、周りが全員オランダ人の中のただ一人の日本人なので、色々とネタがある)

で、この最終学年のお兄ちゃんが、次男の未来形だとすると、そう、もう小1の時点で、かなり進んだ自己紹介をやっていることが分かりました。

うちの次男は、写真で家族の紹介、好きな動物、好きな国、ホビー、好きな食べ物などを紹介するようです。それも、お兄ちゃんがやっていたのを見ているので、「変顔のサル」とか「変なサッカーボール」みたいなものを、ネットから拾ってきてそれをスライドに入れています。あ、もちろんネットから拾ってくるのは親ですが、子どもの言う通りのオペレーター的なことをしているだけで、中身についてはこちらからは一切アドバイスしてません。

で、これを一人5分で決められた日に発表するのです。まあ、簡単なプレゼンです。これを小1からやるっていうのがすごいなあと思います。そりゃ、大人になった時にプレゼンがうまくなるわけです。というより、「自分の思っていることを、相手に分かりやすく伝える」というコミュニケーションの基本が、こういう訓練をずーっとやってるからこそできるんでしょうねえ。オランダの学校って、結局、こういうことを学ぶ場なんですよね。学力うんぬん、ではなく。。。(あ、誤解があるかもですが、学力を伸ばす的な勉強もしますよ)ちなみに、うちの学校は「大人になった時の楽しみを見つける場」と校長先生が言ってます。

日本の小学生の自己紹介って、名前言って、年齢言って、はい。終わり!って感じが多くないでしょうか?(そもそも、あんまり自己紹介する場面がないかな?)多分、これ、場数とかこなせば、あるいは周りがやっているのを見れば、日本の子どもでも簡単にできるようになると思うんですが(現にうちの長男は結構、上手い。というかソツなくこなす)、結局意外と、これが社会に出ると一番役に立ったりしますよね?

そういえば大人のオランダ人って、みんなプレゼンが上手いです。もしかしたらクリエイティブ業界にいるからから、そう感じる人が周りに多いのかもしれませんが、日本のクリエイティブ業界には、思わず眠くなるようなプレゼンする人いますからねえ。オランダ人、「ペチャクチャ」なんか超得意だもんなあ。。。

 

日本ではないのか?

で、自己紹介が「相手に分かりやすく自分の意見を伝える場」というコミュニケーションの基本だとして、こんなこと日本ではやっているところないのかな?と思っていたら、ありました!ありました!

こちらはちょっと前の記事なので、ご存知の方も多いかもしれません。(「修学旅行を変えたら、大人顔負けの「企画とプレゼン」が生まれた」)

これは東京の麹町中学校という公立中学校の話です。この記事のリードには、こう書かれています。

<従来の修学旅行を見直し、社会で通用するスキルを学ぶ場として設けられた「ツアー企画取材旅行」。独自のツアー企画を考えるというミッションのもと、千代田区立麹町中学校の3年生は京都・奈良の観光スポットを訪ね歩き、世界に1冊しかない旅行パンフレットを作った。SNSからトレンドを感じ取って企画を立て、慣れた手つきでパワーポイントの資料を作り、それぞれの得意領域を生かして準備を進め、観衆を楽しませるプレゼンテーションで企画の魅力を伝える。

こういうのいいですよね。この記事では、彼らは「中学生離れした力を発揮している」って書かれているんですが、多分、こういうことって、やればみんなできるようになると思います。日本には、そういう機会があんまりないだけで。日本の中学生は、みんなできるはずです。先の自己紹介だって同じです。

オランダ人は、こういうことをやる機会が小さい頃から山のようにあって、また、例えこれで失敗しても誰も何にも言わなくて褒めることしかしないので、子どもの能力がグングン伸びていき、それがそのまま大人になる、という状態だと思います。

大人になった時のコミュニケーション能力の差っていうのは、やっぱりこういう体験が大きいと思うのです。

こちらにきて、すぐのころ自分は英語が下手なので、英語能力のせいでコミュニケーション能力に差があるのかな?と思っていたのですが、どうもそうじゃないことが分かってきました。やっぱり、子どもの頃からの経験の差なんでしょうねえ。。。自分の子どもの頃の自己紹介なんて、早く名前を言って出来るだけ短く終わらせることしか考えてませんでしたからw

で、この「修学旅行のパンフレット企画」に似たような話で、「毎年の家族旅行を子どもに企画させる」っていうのが、あの大前研一大先生の著書『「一生食べていける力」がつく 大前家の子育て』に載ってます。

今日ここに書いたようなことは日本のご家庭でもできるのではないか?と思うのです。オランダだからできる、日本だからできない、ということではないのです。

 

ということで次男(小1)の自己紹介から考える、コミュニケーション能力の発達のさせ方でした。というか仮説を、思いつくままに書いてみました。オランダの学校なんか、ずーっと夏休みの自由研究っぽいことしてますからね。それを人前で発表するっていう機会が多いのも違うかもしれません。ということで、ご参考まで。あ、もちろんパワポ使えるようにならないと!とか子どもの頃からPC使えないとダメですか?っていう話ではありません。あしからず。