「飯が食える大人」になれるかな?日本と海外では子育ての「目標」が違う!?
数日前に公開されたこちらの記事『子供を成功させたい親がやるべき、たったひとつのこと/花まる学習会 高濱正伸』を読まれた方も多いのではないでしょうか?
以前、このブログにもインタビュー記事(『「学びは楽しい」って実感できる?花まる学習会の高濱さんに聞きました!』)を書かせてもらったことがありますが、ご存知「花まる学習会」の高濱先生ですね。
高濱先生は、非常にシンプルに言うことが一貫していて、「どうしたら飯が食える大人になれるか?」「自分の力で飯が食える力はどうしたら身につけることができるのか?」ということを言っています。
言っているだけではなくて、そうした子どもたちを「塾」というか、「花まる」という形を通して育てています。
だから、「花まる」はなにも東大に入るための塾ではなく、「飯が食える大人」にするための塾なのです。(と個人的には解釈しています。)
これ実は、我が家が海外移住した理由と全く同じでもあります。
■海外と日本の一番の違い
オランダにいて、よーく感じるのが「子育ての目標の違い」です。
先の記事から、高濱先生の言葉を借りてみます。
<親御さんたちは東大に行けるかどうかしか見ていない。口では、人工知能時代の教育について議論しているのに、我が子の話になると、やはり「子供は弁護士に、医者に」と、これまでのレールに乗せたいと思ってしまう。そこにすごいギャップを感じます。>
こうしたこと、オランダにいると全く感じません。
子どもは子どもの好きなこと、得意なことを見つけて、それをやりなさい。大学にも行くのも良し、手に職つけて職人になるのも良し。自分の人生は自分で切り開く。親は、その助けはするけれど、最終的に決めるのは自分である。
こうした姿勢が、子育てを通して、いや社会全体から感じることができます。偏差値教育的なことも全くありません。もちろん海外であっても学歴社会というのが、ある世界では存在はしますが、(存在する世界もありますが)それが社会の全てではありません。
そもそも個人が自立しているので、職業や会社のランク付けということがないのです。
もちろん大学のランク付けもありません。というと語弊があるかもしれませんが、日本ほど意識することがないのです。(これについては、いわゆる「入試」が存在しないのが大きいと思いますが。)
良い大学に入れるために勉強をさせるのか? 子育てをしているのか? どの世界でも、いつの時代でも「飯が食っていける大人」にするために、勉強させるのか? 子育てをするのか?
この子育ての目標の違いを、日本と世界では感じます。
■東大も海外移住も、手段の一つ
「自分で飯が食える大人」になるためには、東大に入らなければならない。もちろん、こうした考えもあるでしょう。
実際、自分が仕事をしていて、「この人、面白いなあ」と思う人が東大出身ということも実際に多いです。というか、かなり多いです。ですから東大に入ること自体を否定しているのではありません。
ただ、「東大に入るため」の子育てか? 「飯が食える大人」にするために、東大に入ることが必要と考える子育てか?は大きな違いがある気がします。
つまり東大はあくまでも手段の一つ。うちの場合は、手段として「海外移住」をしました。
そしてこの選択は、自分が仕事を通して社会と接している中で自分なりに考えたものなので、これが必ずしも正解か? というと全く分かりません。
そもそも自分自身が、はたして「飯が食える大人」かどうか? それを試すという側面もありますが……。
■子育ての手段は千差万別でいい
でも、こう考えると「子育て」自体が、楽になると思いませんか? だって「手段」はたくさんあるはずですから。何も「東大」と「海外移住」だけにこだわる必要は全くないのです。
「音楽」でも「サッカー」でも、「消しゴムのカス集め」だって良いかもしれないのです。
最後にもう一度、先の高濱先生の記事から引用してみます。
<重要なのは主体性です。自分が楽しいと思ってやっているかどうか。ここが弱い人が多い。そこが強いか弱いかはすべて幼児期の経験が元で、小さい時に「これが好き」という決断をしているかどうかなんです。消しゴムのカス集めだって、自分が「これだ」と思ってやっている子は、何をやらせても強い。決めるところからスタートしているからです。
実は人間は、本質的にはなんでも好きになれるようにできています。自分はこれだと決断している人生だと自分に自信がもてるようになるんです。>
自分自身に言われている気もして、ちょっとドキッとしてしまいましたが……。
自分が打ち込める好きなことを見つけさせて、それを極めることで自分で「飯が食っていける」。これ、子育てのシンプルかつ、判りやすい目標ですよね。
ということで、子どもを「飯が食える大人」にする前に、自分が「飯が食える大人」になっているかどうか? どっちかというと、そっちが心配ではありますが。今更、「飯が食える大人」ではない、となると完全に手遅れです……。
※先日、オランダのバッハ協会のコンサートマスターでもある佐藤俊介さんの演奏を、自分の住んで居る街、ユトレヒトで聴く機会があり感動しました。まさに「音楽で飯が食える大人」の日本代表でしたが、花まるメソッドの音楽教育というのがあるそうです。子育てに「音楽」を取り入れたり、子どもが「音楽」に興味を持った時に、親が知っておくと良いことが詰まっています。ということで、併せてご紹介。
初めまして、毎回楽しく読ませて戴いております。2年半までお隣のベルギーに3年間赴任しておりました。今小学校3年と1年の娘がおります。
海外の経験あるのでお考えに同意できますが無かったら中々理解し実践しにくいんじゃ無いかと思います。
私には中学2年生を持つ妹がおりますが中々理解出来ないようです。
今後も是非そちらの方々の仕事に対する考え方の色々な事例を発信して下さい。