「日本的大人」か「西洋的大人」か!? 「子育てスタンダード」は世界にいっぱいある?
オランダ在住のフリーランサーなのに、なぜか就活=「就職活動」の相談を受けることがあります。
もちろん、かれこれ20年前には就職活動もしましたが、そんな昔のことが参考になるわけもなく、ましてや勤めていた企業も退職しているので、参考になるような企業内の話もできず、海外にいるので、最新の業界事情とかにも疎いと思いますし、一体、なんの意味があるのだろうか?と思います。
それに、何人かの就活生と話していて思ったのですが、自分自身が今、就職活動をするとなった際には、本当に悩むような気がしています。
最近のシャープ、東芝などなどを見るにつけ、かつては日本の一流企業と言えば、終身雇用バッチリ、周りからの覚えもめでたく、親も安心、将来安泰!だったのが、今や軒並みダウンしている状況に、ちょっと就職自体が怖いような気もしています。
もちろん、日本にはまだまだ、いっぱい優良な企業もあると思うんですが、日本から出て見ると、日本での就職だけが、人生の選択肢でもない気もしています。自分の就活当時と時代が違ったり、自分が無知ということもあると思うので、一概には言えないのですが…。とにかく、そんなことを考えていると、全く適切なアドバイスができない、ということに気づくのです。
■日本とヨーロッパでは「大人」が違う?
さらに、こちらで子育てをしていると大きな違いがあるのに気がつきます。
当ブログで何度もご紹介している河合隼雄先生の『大人になることのむずかしさ』(岩波書店 2014)にわかりやすい記述があったので引用します。
<西洋人の自我は他と切り離して、あくまでも個として確立しており、それが自分の存在を他に対して主張してゆくところに特徴がある。それに対して、日本人の自我は、あくまで他とつながっており、自分を主張するよりも他に対する配慮を基盤として存在しているところがある。>
現在、メディアラボアムステルダムという大学院(みたいなところ。正確に言うと違うんですが。まあ、それは置いておいて。気になる人は白井くんの書いたこちらをどうぞ。)に通っていますが、そこの学生を通しても、この違いを非常に感じます。とにかく、ヨーロッパ人は自己主張がはっきりしていて、意見の相違があった時は、よっぽど相手のことを認めない限り、なかなか自分の主張を曲げません。なので、そういう人たちと上手くやるには、1、普段から自分の得意、専門分野はハッキリと主張しておく。(→こいつはデキるやつだ、と思わせておく)2、相手の専門分野は任せる。(→お前のことは信用しているぜ!というメッセージ発しておく)という2点を意識しています。
周りの空気をみて、「今回は主張するのをやめておこう」みたいな配慮が0です。で、ある意味、この主張がデキるというのが。「自我の確立」でもあり、大人の証でもある、ということに繋がるわけです。
まあ正確に言うと、「周りの人を納得させられるだけの主張がデキるようになる」と言うのが本当の意味での自我の確立かな?と思いますが、まあこの辺は、いろいろあるわけです。笑。
再び引用します。
<日本人であれば、何もいわなくとも相手の気持ちを「察する」ことのできる人間になることが、大人になることといえるし、西洋人であれば、自分のことは自分で自己主張できることが、大人になることといえるだろう。>
やはり、ハッキリと「大人像」の違いがあるわけです。
■自己主張型か、空気読む型か?
で、個人的にはどっちが良いとか悪いとかを言うつもりはないのですが、戸惑っていることがあります。
つまり、ヨーロッパにおいては、大人になるためには、自己主張ができるようにならないといけないので、大前提としては、当然、小さい頃からの教育もその方針の元、行います。一方、日本だと学校でも「周りの人のことを考えなさい」、「人の意見をよく聞きなさい」と言ったことがあると思いますが、ある意味、ここが真逆の方針になるのです。
で、これは(一応)保育士的視点で見ても、日本とヨーロッパでは、小さい子どもの時から、親との関係においてさえ、ハッキリと違いがあるように感じます。
<日本人はその自我をつくりあげてゆくときに、西洋人とは異なり、はっきりと自分を他に対して屹立しうる形でつくりあげるのではなく、むしろ、自分を他の存在のなかに隠し、他を受け入れつつ、なおかつ、自分の存在をなくしてしまわない、という複雑な過程を経て来なくてはならない。しかし、その間において、他に対する配慮があまりにも優先すると、常に「他の人はどう考えているのか」、「他の人に笑われないようにしなければ」ということが強くなりすぎて、西洋人からいわせれば「自我が無い」といううようなことになってしまいかねないのである。>
現在、オランダで子どもの成長や、社会の中で色々な場面で、こうした違いを痛感しています。そして、うちの子どもを見るにつけ、すでに「日本ではやっていけないだろうな…」と思うのです。自己主張型に自然となって来ています。(ただの、わがまま、という説も。。。)
で、冒頭の話に戻ると、うちの子どもは、このまま行くと、「就活」には全く不向きな「自己主張型」の大人になりそうなんですがw、果たして日本的な「空気読む型」の方が良いのか?という疑問もあったりして…。
自分は日本で仕事もしていたので、(一応、20年近く企業勤めもしたし)「空気読む型」だったと思うんですが、今は西洋とのハイブリット型の大人像を目指しています。(キッパリ!)
いずれにせよ、そんなことを思うにつけ、今の自分が就活をするとしたら、本当に難しいだろうな…と思うのです。
結論としては何も導き出してませんが、とりあえず就活生、頑張って!
そして、このブログを読まれているママさん、パパさんは、お子さんが、どういう大人になるのか? 子どもが大人になる時代(今から10~20年後?)に、どんな能力が必要なのか? ちょっと考えて見ると、子どもへの接し方が変わるかもしれません。日本以外の子育てスタンダードが、世界にはいっぱいあるのです。
もちろん、子どもを「わがままさせ放題にした方が良い!」と言っているわけではありません。悪しからず。
日本で生活し、日本企業に勤め、日本で子育てする・・・
※高級住宅地・一流企業・名門小学校だと欧米化しているが、田舎・中小企業は日本的。
そりゃ郷に入っては郷に従え、日本的大人にならないと生きずらい。