「疑う力」が弱いと今後は生きていけない?学校の先生との面談で感じた日蘭の違い
オランダはぼちぼち夏休み。例年のごとく車にいっぱい荷物を詰めて、大好きなキャンプに出かける車をたくさん見かけるようになりました。
2週間、長ければ1ヶ月くらい休んで、キャンプに出かけるのがオランダ人の恒例のバケーションの過ごし方です。
我が家は昨年、それに倣ってオランダ人が大好き!という、北のほうの島に行き長期滞在型のコテージ的なところ(キャンプではなく)に泊まりましたが、「普段の生活をバケーションの間は他の場所で行います!」という、オランダ式キャンプバケーションがサッパリ楽しくなかったので、今年は別のプランを立てています。なぜかオランダ人には大人気の島々ですが、もう昨年行ったオランダの北の島には、多分行かないと思いますwww
先生との面談がかなり大事
さて夏休みに入る前に、学校では先生との面談がありました。オランダの学校では宿題はないし、暗記的な勉強は全くない、かつテストがあるにはあるが、それが全てでもない、と言うことで、この面談は結構重要です。進路を決める際にも非常に影響力があるイベントです。
というのはオランダは小学校卒業時に、その先、どういう中等教育を受けるか?受けたいか?ということを決めるのですが、それによって、さらにその先、つまり簡単に言えば大学に行くか、行かないか?あるいは、どんな大学に行くのか?などなどが、この時点でおおよそ決まってくるのです。
オランダの教育システムは非常に複雑なので、ここではかなり簡略化した乱暴な言い方をしていますが、ようは、小学校卒業時に将来の進路を決める、というような側面があるのです。(もちろん、その後に変更だってできますが)
なので、この面談は結構重要なのです。
今回の我が家の面談の内容を大雑把に言うと、「かなり頑張ってていいね!」「頑張れば大学もいけるわよ」といったようなもの。うちの場合は、やっぱりオランダ語のハンディがあるので、そこの部分の遅れがまだまだあるのです。(もちろん、日常の生活には全く困らないレベルにはなっていますが)
面談の内容的には、先生が非常に細かく生徒を見てくれていることが分かるもの。イエナプランの先生ってさすがだな…と毎回思うのですが、実は、ここで先生が見ているのは、生徒のテストでの正答率とか、正解を答える能力ではなく、「課題を発見できているか?」「質問ができているか?」ということ。
クラスでやる授業やプロジェクトについて、どういうことに疑問を持ち、どういう姿勢でそれを解決するのか? あるいは、それをみんなにどうやって伝えているのか? 質問をどれだけするのか?と言ったあたりで、決して「算数は点数が良い」、「オランダ語のスペルはまだまだ平均レベルね」と言ったことだけを見ている訳ではないのです。
疑問を持てるか?
もちろん、テストの点数なども総合的には面談で評価されたり指標になる部分もあるのですが、日本との大きな違いで、かつ大事にされているのは、この「疑問を持てるか?」「質問ができるのか?」つまり、「課題を見つけられているか?」といったあたりです。
黒板に向かって、一斉にノートを取って、暗記してテストに答える、といった授業では全くないので、評価の仕方も大きく違うのです。
で、この「疑問を持てるのか?」と言った視点。実は、これからの(いや、これまでも)非常に大事な視点である、と京都大学客員准教授の瀧本哲史さんの「ミライの授業」(講談社 2016)の中でも書かれています。ちょっと引用してみます。
<若いみなさんは、まだ大人の常識に染まりきっていません。-(略)- 日常生活のなかで、さまざまな違和感を抱くこともあるはずです。「これってなんだ?」と不思議に思ったり、「なんかおかしくない?」と疑問に感じたりすることがあるはずです。この「小さな違和感」を大切にしてください。違和感をスルーせず、自分のなかで大切に育ててください。なぜなら、その小さな違和感こそが、未来につながる冒険の扉なのです。>
この本のなかでは、これからの時代、特に大事なのは「課題発見」能力だと言っています。今までのように、数学のドリルをどんどん解いていくような「課題解決」能力ではないのだと、言うのです。「課題解決」能力は、もっともっと安い人材、あるいはAIなどが取って変わるからと書かれています。
また、TEDの再生回数世界一(だったと思う)のKen Robinsonは、「(正解しか教えない)学校教育こそが、生徒の疑問を潰している」と言っています。
オランダのイエナプランでの先生との面談を通じて、こんなことが思い出されました。「正解」を出すことだけが必ずしも良しとはされていない現実を改めて見た気がします。
一方、日本での教育はどちらかと言うと、まだ「課題解決」能力の向上に重きを置いているように感じます。自分も含めて、こういう教育を受けて育ったタイプは、「言われたことを言われた通りに正確にこなしていく会社員」(あるいは、軍隊の一員)としては機能しそうですが、なかなか起業家とか、経営者とかには向いてなさそうな気がしますよね。そもそも日本の学校教育においては「正確な答え」が重視されており、逆に、そこに疑問を持つような子は、ちょっと煙たがられるような風潮がありますから。
でも、世界的に考えると、現状対しての不満、不便、課題などこそが、新しいビジネスのタネになっていたり、新しくより良い社会を作っていく大元になっていたりします。
もしかしたら、こういうところにも日本は起業家が育たない下地があるのかもしれないなあと思ったり。(対極的に、オランダでは起業家が非常に多い)
ついでに言うと、かなり根拠なき乱暴な推測ですが、もしかしたら、こういう教育を受けていると、そもそも選挙にも行かなくなるのかな?とも思いました。だって(現状に)疑問を持ったり、課題を発見することはしてきてませんもんね。そもそも選挙に行く理由が見つけられないのではないかなと思ったり。
もちろん、投票率が低いのには、それ以外の理由もいっぱいあることも知ってますが、もしかしたら関係あるのかな?なんて、乱暴な推測をしてみました。ま、あくまでも個人ブログでの戯言なので、スルーしてください。(これがもしヤフーとかに転載された日には、荒れ狂うコメント欄が容易に想像できますね。経験多数ありですが…w)
ちなみに、オランダの選挙での投票率はかなり高いです。もちろん、各選挙ごとに違いますが、先日のEU議会議員選挙も、今までで一番高い投票率(かつ、EU内でもかなり高い方)だったような…。だいたい、こっちの人、ニュースすらまずは疑って見ますからねw 全般的に現状に対しての「意見」が強くあるのです。
いずれにせよ夏休み前の面談では、日蘭のこんな違いが感じられました。
ともあれ、あえて最後に唐突ですが。♪〜ババンバ、バンバンバン「みんな、選挙いけよ〜🎶」ババンバ、バンバンバン🎶 また来週〜!と言うことで、来週が開票日ですかね。
このブログの読者に関係あるとことで言うと、たとえば学校教育の問題とか、保育園の待機児童の問題とか、ワンオペ問題とか、育休取れない問題などなど、とにかく現状に疑問を持つ、ママさん(&パパさん)はぜひ投票に!「投票に行かない」=「現状に賛成」ってことになりますからね。お気をつけを!
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