3125961905_a804e79e43_b3学期も残りわずか。卒業や異動、転勤引越しなどのニュースも聞こえてくるようになりました。また、春からの新入学、新入園など新しい道に進む子の話も聞くシーズンですね。

そんな折、幼稚園のママ友(育休を取ったりしたのでいるのです)から、「4月から小学校だから、自分の部屋と机を用意してあげた」「もう小学校だから、ちゃんと自立してい欲しいから」という話を聞きました。

うちの長男は、いまだに夜になると一人でトイレも行けませんので、一人部屋とか用意しても一歩も一人では入らないないだろうな…と思って、その話しを聞いていました。

ただ、他にも何人かのママさんたちが、「ウチも準備する」とか言っていたので、ちょっと驚いて調べてみたら、やっぱり小学校入学時というのが割と多いようです。

少し前の調査ですが、積水ハウスのサイトに出ている京都女子大学の片山研究室が行った調査によると、なんと小学校1、2年生で8割の子が自分の部屋を持っているというのです。

子ども部屋適齢期っていつ?- sumai smile

 

■子どもを自立させるには親との一体感が大事

ということで、「子どもの小学校入学とともに自分の部屋を持たせる」というのが、割と普通っぽいので、それを聞いて驚いてる自分の方が世間とはズレていることが分かりました。

またママさんたちが、「早く自立させたい」「しっかりしてもらわなきゃ、困るから」「いつまでもママ、ママじゃあねえ…」という感じで話していたのが印象的でした。

「そうか、子どもの自立のために、子ども部屋が必要なのか」と思い、逆に、うちの長男はまだまだ自立できそうにないので、子ども部屋を持てるレベルではないなあ、と感じました。

京都大学教授の河合隼雄先生の著書『子どもの宇宙』(1997 岩波新書)には、登校拒否児に対してのカウンセルをした際の感想を以下のように書かれています。

<あまり詳しくは言えないが、いろいろ事情が重なって、母親としては子どもの自立の方に心がとられすぎて、自立以前の母と子との肌の触れ合うような一体感を体験することが少ない傾向があった。自立ということは難しいことで、それまでには相当な一体感を味わっていなくてはならない。>

 

■自立は孤立ではない

さらにこんなことも書かれています。

<よく誤解されることだが、母親から自立することは、母親と関係がなくなることだと思っている人がある。そんなバカなことはなくて、母親から自立した人間は、自立した人間として、人間対人間の関係を母親と持てるはずである。何の関係もないのは孤立であって自立ではない。自立することは、母親と無関係になることではなく、母親と新しい関係をつくることである。>

だとすると、尚更、うちの長男はスーパーママっ子なので、まだまだ自立の準備は出来ていません。むしろ、もっとベッタリと母子一体の時間を過ごさないとダメでしょう。

パパとは、相当一体の時間を過ごしているのですが、彼にとっては、自立にはママとの時間をもっと持つ必要があるのでしょう。

自分の経験から言っても、小学校高学年くらいからは、母親には全く寄り付かなくなりましたので、逆を言えば母子一体のベッタリの時間は今だけかな、という気もします。

ちなみに、自立ということについて、河合先生の別の著書『こころの処方箋』(1998 新潮文庫)にはこうも書かれています。

<自立ということを依存と反対である、と単純に考え、依存をなくして行くことによって自立を達成しようとするのは間違ったやり方である。自立は十分な依存の裏打ちがあってこそ、そこから生まれてくるものである>

 

つまり、子どもを自立させたいのなら、しっかりと甘えさせる必要があるということでしょう。特に最近は、西欧文化の影響からか、自立を急がせる傾向があるとも書かれています。

ヨーロッパの自立の成り立ちと、日本の自立の成り立ちは、またそれぞれ違うようですので、その辺りは、また次回。

とりあえず、子どもを自立させるためには、子ども部屋ではなく、甘えさせる必要がありそうです。

Joel Olives