IMG_9422早くも7月頭から夏休みに突入した我が家の長男。9月からは新学年に進級することも決まりました。語学の習得をメインの目的としている学校なので、進級しないことも普通にあります。一般的には、おおよそ1年で卒業するようですが。

オランダ(海外)では9月が新学年のスタートなので、今学期の終了は1年の締めくくり。6月末には先生と親との面談もあり、そこで通知表を渡されて説明を受けてきました。

今回は、そこから感じた日本との違いです。

 

■個人の成長率を重視する

そもそも今、長男が通っている学校は、語学がメインなので、科目別に成績が出るということではありません。とはいえ、評価項目は全部で32項目。実際の語学力、理解力、ヒアリング力、会話能力、などです。

さらにそれ以外に、性格や、他者との協働、モチベーション、人の話を聞くか? 言いたいことが言えるか? 一人でやりきることができるか? 大人の話を聞けるか? などなど個人の成長度合いを計る指標のようなものがあり、そちらは20項目。こちらもかなり細かい評価設定がされています。さらに、すべての項目に関して、先生から直接、細かい説明を受けるのです。

ただし、どちらも他者との比較や、正解に対して何%到達しているか?とか、偏差値的な評価は一切なく、基本的には、前の学期(学年)と比べて、どのくらい成長しているか?といった、個人の成長度合いを計ることがメインの目的です。

一応、その年齢における、各指標の平均的な到達レベルというものはあるのですが、それはあくまでも目安。別にその平均より良くても、悪くても関係ありません。

それよりも、以前と比べ、どれだけ成長したか? といったことが大事なポイントのようです。

なので年齢的な平均より、多少上回っていても、その学期中にあまり伸びていないことの方が問題とされるようです。

こちら、もしかしたらオランダの学校が全部そう、ということではなく、この学校オリジナルの評価基準かもしれないので、なんとも言えませんが、子どもの成長に、かなり本気で向き合っている感じが伝わってくるものでした。

1クラスの人数(10人前後)に対して、先生の数が多い(必ず2人)からでしょうか。かなり細かく、ちゃんと見ているなあという印象でした。

 

■制度的にも先生は生徒に向き合うだけ

このキメの細かい評価基準や、制度は充実しているなあと感じるとともに、そもそも先生たちが生徒と向き合う姿勢には余裕すら感じます。

語学学校という特殊な環境にあるからかもしれませんが、先生はかなり熱心に生徒と向き合っているようです。

それには、オランダの学校システムの影響もあるかもしれません。というのは、オランダでは、学校の運営は経営の専門会社が行っています。ですから、先生は学校の運営には一切タッチしません。生徒とだけ向かい合えるのです。もちろん部活もありません。

日本では、このあたりのしわ寄せが、全て先生という個人にいってしまいますよね。だから、逆に言えば日本の優秀な先生は、本当にすごいのです。

先に書いたように、受け持ちの生徒の人数も、かなり少ないので(語学学校ということもあり)生徒と先生の関係も非常に密になりますし、それだけ細かく見てくれるのです。

しかも、この教育に、お金が一切かからないのです。

余談ですが、税金は確かに高いのですが、かなりしっかり使われているというのを、(教育費の観点だけでなく)普段の生活を通しても実感します、というか、実感できるのです。さらに様々な控除や還付などもあるので、もしかしたら日本より税金は安いケースがあるかもしれません。

オランダでは、1995年に出生率が1.53に下がり、そこから、子育て環境の改善や、ワークシェアを積極的に取り入れたり、さらに、パートナー婚(事実婚)や同性婚を認めたり、養子も取りやすくしたり(実際に、結構多い)と、様々な施策を行い、現在は1.75あたりまで戻してきています。

この数字には比較的子どもを産む数が多いとされている移民(自体が増えている)も含まれていますので、あくまでも参考です。(さらに参考までに、日本は2015年に21年ぶりの高水準に戻して、1.46)

住民の感覚としては、学校の先生の様子も含めて、明らかに子育てはしやすいと感じます。これは制度的な面、税金面もそうですが、さらに街の空気というか、大人の子どもに対する態度なども大きな要因のように感じます。

 

このようなことに、さらに元々のオランダ人気質の、合理的、質実剛健、実を取る柔軟性、などが相まって、「子どもが最も幸せな国」と言われている所以がある気がしています。

たかだか通知表ですが、そこからオランダの教育に関する考え方や、子育ての仕方、そして、オランダ人の考え方までが感じられるように思いました。

もっとも、オランダは100人いれば、100通りの教育方針がある、と言われていますから、今回取り上げたことが全てであるとは思いません。あくまでも1例として捉えてもらえれば、と思います。

でも、正直、自分もこんな通知表が良かったなあ、、、と思いますが。成績が、良いとか悪いとか、ないですもんね。