わが家の次男(3歳)は、今、まさに「なんでも自分でやりたい」盛り。

お出かけの際には、靴下も自分で履きたい、靴も自分で履きたい。親が手伝ってあげれば1分もかからないけど、自分でやる、となると5分、時には10分かかる時もあります。おそらく、小さなお子さんをお持ちの方は、皆さん経験することだと思います。

この出がけの5分、非常に大事ですよね。そこで「いいの、ママがやるから!」「パパがやってあげるよ!」とやってしまうのは簡単ですが、それをすると泣き出したりすることもあれば、いつまでも親が手伝っていると、本人が自分で出来ないしなあ…、と悩んだりもしますよね。こうした葛藤、どこの家庭にもあるかと思います。

でも、子どもはこうした、「なんでも自分でやりたい期」、つまり知的好奇心をどんどん満たしながら成長していきます。知的好奇心こそが成長のドライブかもしれません。

 

■いつの間にかなくなる知的好奇心

ところが、この知的好奇心、子どもは成長とともにいつの間にかなくなってしまう、ということはありませんか?

大人で、こうした好奇心を持ち続けている人って、なかなかいないですよね? そうなんです。このような知的好奇心を持ち続けることは意外と大変なことでもあります。自分自身を振り返っても良くわかります。

逆に、大人になっても知的好奇心を持ち続けている人は非常に魅力的に見えたりもします。

では、この知的好奇心、一体いつ消えてしまうのでしょうか??

個人的には、小学校に入るとだんだんと消えて行ってしまうのではないか?と思ったりもしています。

一方で、この知的好奇心は学校ではなく家庭でこそ育まれる、と言っているのが東京大学名誉教授でもある汐見稔幸先生。著書である『本当は怖い小学一年生』(2013 ポプラ社)から引用してみます。

ここでは、知的好奇心のことを「知的体力」と述べられており、これはいわゆる狭義の「学力」の土台になる力、「隠れた学力」とされています。

<知的体力はさせられる勉強ではなく、その対極の「自分が知りたい」「調べたい」という自発的で自主的な心と身体の動きの中で育つ。では、どうすれば知的体力を育むことができるのか?

まず大切なことは、子どもが興味や関心を抱いたことをできるだけ尊重することだ。大人の価値観で「そんなものは役に立たない」とか「こういうものに興味を持て」などレールを敷きすぎないこと。むしろ「そういうものに興味があるのか」とおおらかに共感して応答することが必要だ。>

と同時に、子どもをお喋り好きにすることも大事、と書かれており、その時の注意点は、「子どものくせに」という態度をとらないこと、つまり「子ども扱いしないこと」とも書かれています。

学校とは一般的には先生=「教える人」、生徒(子ども)=「教わる人」ということからして、「子ども扱い」が前提なので、この前提からしても知的好奇心が育たない環境である気もします。

学校の授業内容に、子どもが興味を持てるものだと良いのでしょうが……。

 

■子どもとの会話は『4打数1安打』で

では、家庭ではいかにして子どもの知的好奇心を育てられるのでしょうか?

それは家庭での会話が大事であり、その取り方が大事だというのです。引き続き、引用してみます。

<子どもの知的体力を伸ばす会話について、もう少し続けよう。ここにはルールがある。まず、子どもの話を「聞く」「共感する」。そして一緒に「考える」。そしてあなたならきっとできると言って「励ます」。この四つをきちんと励行するのが重要だ。

頭文字をとると、「KKKH」。これを野球風に解釈するとKは三振、Hはヒットだから「四打数一安打」というわけだ。>

あまり野球のことを知らないママさんには、ピンとこないかもしれませんが、野球で試合の経過を記録する「スコアブック」というものがあります。そこでは三振をK、ヒットをHという記号(アルファベット)で記録するのです。そして、ある打者の記録が「KKKH」だとしたら、4回打席に立って、3回三振して、1回ヒットを打った、つまり4打数1安打と分かるのです。子どもの知的好奇心を伸ばす秘訣は会話の中で、この4打数1安打を意識すると良い、ということなのです。

子どもの言い分を、ともあれ、まずは「聞く」。さらに親としては、どうかな?と思ったとしても、とりあえず、それに「共感」する。その上で、親としての意見も言いつつ、一緒に「考える」。そのやり取りの中で親と子の妥協点を見つけたら、「あなたならできるよね!」と言って「励ます」。これを家庭での会話で常に行うことで、子どもの知的好奇心が高まる、という訳なのです。

<会話のコツは、ふわっと受け止め吸収するスポンジの部分を増やすこと。それが四打数一安打のルールだ。>

ちなみに、この会話のコツは、友達や恋人、会社や取引先との人間関係でも大事なものになる、とも書かれています。

 

さて、改めてここで普段の子どもとの会話を思い出してみてください。子どもの話を、頭から否定したり、拒絶したりしていませんか?

また個人的には、特に2番目のK=「共感」を意識すると、子どもとの関係はうまくいくと思っていますが、いずれにせよなかなか難しいですよね。

ただこの「4打数1安打」の関係性は、今、自分の通っているMedia Lab Amsterdamという大学院(みたいなとこ)のプロジェクト進行においても行われているように思います。ここでのプロジェクトの進行は、まずは学生の意見を聞き、尊重し、コーチ(先生ではなく)がちょっとヒントを与え、実際にみんなでプロトタイプを作る、というプロセスです。

そう考えると、大人(大学院生)であっても知的好奇心を伸ばすために、ちゃんとプログラムされているんだなあと思いました。

子どもに対してであれば、なおさらこれが大事になってくる、というわけです。

出かける時に時間がない中、「自分で靴を履く!」と言い張る子どもの知的好奇心を失わせずに、遅れずに家を出るように仕向ける、というスーパークリエイテイブな仕事こそが、子育ての楽しみ、と考えるのも良いかもしれません。

これが、毎日だと、そんな余裕も無くなるんですけどね…。

leadfoot

Bookmark this on Google Bookmarks
LINEで送る
Pocket