オランダでは、まだまだ寒い日が続いていますが、少しづつ陽が伸びてきており18時頃までは明るくなってきました。少しづつではありますが、ほのかに春、というか、あの最高に気持ちの良い夏の気分を思い出し、少しづつテンションも上がってきました。今週は「クロッカス休暇」という名の、ホリデーウィークで、冬も完全に終盤モードです。

オランダへ移住してきてもう直ぐ1年。自分は未だにあまりオランダ語ができるようになってませんが7歳の長男のオランダ語は、びっくりするほど上達しています。今や、日常生活には何の問題もありません。また、学校も楽しくてしょうがないらしく、朝も早くから登校します。

我々が、オランダに移住してきた時にはこれほど早く現地に馴染めるとは想像していなかったので、嬉しい誤算です。

40代半ば&家族持ちとして、移住した身としては少しホッとしているところでもありますが、最近読んだ『LIFE SHIFT』に、子育てを考える上で、今まで考えていなかった視点があったので、ご紹介します。

 

■100年生きる時代

もともと我々が移住を決断した理由は、「子どもの教育」のためでした。

子どもが大人になる「将来」から逆算して、今の生活や社会を考えた時に、もしかしたら海外に行った方が良いのでは?と考えたからです。

自分が子どもの頃は、日本の将来には、漠然としてはいたものの「明るい未来」があるように感じていました。

しかし今の子どもが大人になった時に、日本にはどういう未来があるのか? 想像しづらかったからです。そこから自分なりに逆算して、今、海外に行くことがむしろ必要ではないか?と考えました。

自分なりに色々な将来を考えたつもりだったのですが、一つ完全に抜けていた視点がありました。

それは、「長寿化」。つまり、「これからの子どもは100年生きることを前提にライフ設計をしなければならない」という視点でした。

 

■人生の3ステージが変わる!?

ここでさっそく、リング・グラットン/アンドリュー・スコットの話題の共著『LIFE SHIFT』(東洋経済新報社 2016)から、引用してみます。例として1998年生まれのジェーンの生き方が書かれています。

<この世代の真に特筆すべき点は、生まれてきた環境ではなく、100年生きることを明確に意識し、それを前提に人生の計画を立てる最初の世代だということだ。>

おそらく、みなさんのお子さんは2000年代、2010年代生まれなんていう人も多いと思います。特に先進国では寿命は毎年、少しづつ伸びているそうで、例えば、日本では2014年に生まれた子どもの大半は109歳まで生きる、というのです。(本書より)

現状は、「若ければ若いほど長生きする」という状態らしいのですが、こうなってくると、そもそも今、当たり前のようになっている、「教育」「仕事」「引退」という人生の3ステージ自体が崩れてくる、というのです。もし、60歳で引退するとしたら、現状だと「引退」のステージが場合によっては人生で一番長くなってしまいますよね。これは金銭面から言っても、成り立たないというのです。(このあたりの詳細は、ぜひ本書を読まれてください)

個人的には、この視点を完全に見落としていたな、と思いました。子どもの人生も3ステージで進む前提で、考えていたからです。

さらに、こんなことも書かれています。

<重要なのは、あとで変化を突きつけられるのではなく、いま変化を予期して行動することだ。積極的に計画を立ててて行動しなければ、長寿化は厄災の種になりかねない。だからこそ、人々が自分の状況をもっと直感的に感じ取り、選択肢をよく把握できるように、幅広い議論をおこなう必要がある。>

ということで、人生の3ステージ自体が大きく変わってくる時代に、生きられる対応能力を子どもに、(いや、場合によっては、大人である自分たちにも)どう身につけさせるか? 身につけるか? またはそうした環境を与えるのか?というのが大事になってくるな、と感じたのです。

 

実は、こういう時代になっても子ども達は意外とたくましく生き抜くのではないか?という気もします。うちの長男などを見ても、柔軟性が意外と高く、今後、世界中に散らばるであろう子ども同士のつながりも大きな助けになるのかな?と思います。何より、2ヶ国語、3か国語が喋れるだけで、柔軟性が飛躍的に増えるはずです。

そうなると、問題は大人。実は自分たちかもしれません。我々、現役世代は人生の3ステージが崩壊していく過程にいる身なので、うまくバランスをとっていかないと、一番危ないのかな?と感じました。

実は子育てを考える上でも、この本おすすめです。

Brooke Anderson