欧米だと、おそらく9月がいわゆる新学年のスタート。我が家も、先週から新学期が始まりました。長男はイエナプランの学校に通い始め、サッカークラブにも入り、次男の通う幼稚園みたいな学校(4歳児までが任意で通う)が引越しをしたり、で、兄弟共に新生活が始まりました。

兄弟二人の学校の送り迎え(時間差あり、場所も全く別)習い事への送迎、そして、自分もオランダ語の学校へ通い始めたので、毎日が、子どもの送迎と自分の学校、そしてさらに、長男のサッカークラブのアシスタントコーチに就任したために、サッカークラブにも通う、という、すっかりオランダ人的な生活へ。

新しい学校もサッカーも、親の出ごとがむちゃくちゃ多く、全てオランダ語コミュニティのため、すっかりオランダコミュニティに入った気になっています。入れてませんが…。汗。

 

■学校は保護者も一緒になって「楽しくする」場

で、長男がついに通い始めた「イエナプラン」の学校ですが、初日から「楽しくて、楽しくてしょうがない」といった様子。早くも、すっかり気に入ったようです。

確かに学校の先生に、以前インタビューした時に「とにかく、子どもが楽しむことを一番重視している」という話を聞いたのですが、まさにその通りに実行されているんだな、と感心しました。

「学校の教育方針」って、つい色々と語りたくなっちゃうものだと思いますし、イエナプランとか、オルタナティブとか、そうしたことももちろん大事で、しっかりとその方針に基づいて教育しているとは思いますが、「子どもが楽しい」というシンプルな教育方針って、いいなあと思っていました。

もちろん、まだまだ友達が沢山できたわけではなく、馴染むのには時間がかかるとは思いますが、イエナプランならではの異年齢学級、ファミリーグループ(多分、本人は分かっていない)そして、メンター(クラスの年上の子と年下の子が特定の2人1組みになって、困ったことはメンターが助けてくれる仕組み)などによってスムーズに溶け込んでいる様子です。

おそらく、アジア系が全くいないという、学校側の配慮だと思うのですが、同じクラスに日蘭ハーフの子がいてくれて、入学前から色々なヘルプをしてくれたり、また家族ぐるみでお付き合いをさせてもらっているので、親も含めてものすごくスムーズにスタートすることができています。

この学校は、保護者の出ごとがとても多く、またオランダ人らしく、フレンドリーでコミュニケーション好きな人が多いので(というか、全員?)保護者の雰囲気も抜群。先生のサポートや学校の運営サポートも積極的で、保護者会(子どもを寝かしつけて20時からの夫婦参加が求められるパーティなどなど)なども多様です。

「子どもの遠足の付き添い希望の保護者が多い場合は抽選にします!」「今度の発表会は、もちろん家族で参加してください。予定絶対空けておいて!」みたいな連絡が、たくさんきます。保護者も、自分たちのコミュニティを十分に楽しんでいる様子です。

で、これが100%オランダ語。(当たり前ですが)一気にこうした環境になったので、オランダ語の必要性がグッと高まりました。ご存知かもしれませんが、オランダで仕事だけをしている分には、英語で余裕でいけます。

毎日の送り迎えで顔を合わせる、日々行われる多種多様な保護者会、遠足の付き添い、多くのボランティア活動などで、学校(&地域)を中心とした、このコミュニティに入ると、オランダの本当の文化や、考え方など本当のオランダの多くを理解できてくるんだろうなあと感じます。

親子共々、今はちょうど、やっとその入り口に辿り着いた感じでしょうか。子どもの方は、1年以上の語学などの積み重ねもあるので、入っていきなり「楽しくて楽しくてしょうがない」という状態になったように感じます。

 

■好きなことしかしない選手、褒めることしかしないコーチ

そして、長男は昨シーズンからウェイティングリストに入れていた、サッカークラブにも入ることができました。オランダでサッカーといえば、言わずもがなの国民的スポーツ。最近では、女子を中心にホッケーも人気ですが、サッカー強豪国の一角です。

で、自分はと言えば、サッカーは観戦&ゲーム専門だったのすが、なぜかアシスタントコーチになることになりました。オランダ語も全くできないのに。(ちなみに、チーム内の周りの父兄からは、確実に「大丈夫か?こいつ?」と思われているでしょう。)

長男がこのクラブに入れた経緯は、妻のブログ(「むしろ心配はパパの方!? 念願のVoetbal clubへ」)を見てもらうとして、こちらも親の出ごと、というか付き添い&サポートが必要で、やっぱり保護者がめちゃくちゃ楽しんでいます。そのクラブ全体で、子どもをサポートして、自分たちで良いクラブを作っていこう、という気持ちがクラブ中に充満しています。

実際、オランダ人は、このサッカークラブを通して、社会性、地域コミュニティ、文化、などなど多くのことを学ぶというのです。大人はもちろん、常にクラブの上の学年の選手(10、20代)が練習をサポートしてくれていたりもしますし、クラブのサポーターとして、地域コミュニティ、企業などがサポートしてくれています。(そういう意味でも、「国民的スポーツ」なんですね)

ちなみに、練習も子どもたちが好きなこと、楽しめることだけを徹底しています。(もちろん、まだ小さいし、初心者なのですが)クラブの方針にも、「子どもたちが楽しくできるように、とにかく褒めること」と書かれています。

オランダ人は親も子も、好きなことしかやらない、やるときは徹底的に楽しむ、という感じでしょうか。

汐見稔幸先生の『本当は怖い小学一年生』(ポプラ社 2013)にこんなことが書かれています。

< 自分がどういうものが好きで、どういうことに向いているかを知り、本当に得意なものを見つけて伸ばしていく、そんな教育に変えられれば、勉強嫌いを増やさずに済むし、個性的な人材はもっと育っていくはずだ。>

オランダの社会を支えている学校やサッカークラブなどのコミュニティには、まさにこのような考えが浸透しているように感じました。

で、こうしたことが結局「子育てがしやすい国」というベースなのかな?と感じました。

そして、もちろん、これで子どもが幸せにならないわけがないのでありまして、これこそが「子どもが世界一幸せな国」と言われる秘訣でもあるのです。多分。

 

ということで、新学期を迎えて、真のオランダコミュニティの入り口に立った感想でした。もちろん、どの国にだって、問題はあるので、オランダでも問題はいっぱいあるし、これが全てではないと思いますが…。

それにしても、サッカーのコーチが意外にも面白くてですね、オランダ語をますます頑張ろう!という気になっています。何しろ、今は、子どもとの会話が全くできず「右」とか「左!」とか、「下がれ!」「走れ!」も言えず、もっぱら「グッドジョブ!」しか言えないので、とりあえずなんでもかんでも「グッドジョブ!」(オランダ語では「フッソー」っぽく発音します)と言ってます。

でも、選手は「好きなことやる」そして、コーチは「好きなことを伸ばす」。これはコーチ側も楽しいということが分かりました。学校の先生もきっと同じでしょうね。

「フッソー」しか言わない、究極の褒め褒めコーチは意外にもいいコーチかもしれないなあ、と思っている今日この頃です。