オランダに移住してから早いものでもう1年半経過しました。暮らしには、もうすっかり慣れて、快適そのものです。特に、子どもたちとの生活は非常に楽で、おそらく日本にはすでに対応できないのではないかな?と思えるほど自由気ままに育っている気がします。

長男は、オランダの学校では大人しく、日本語の補習校では好き勝手。次男は、幼稚園では最年長にも関わらず相変わらずほぼ喋らず、という兄弟揃って典型的な内弁慶日本人タイプに育っています。

確かに子どもたちの生活は、自由は自由なのですが、学校の勉強に関しては、実はそんなに甘くない、という実態も分かってきましたので、今回はこのあたりをご紹介します。

 

■かなり厳しい進学制度

「子どもが世界一幸せ」で、小学校は「宿題が一切ない」「手ぶらで通える」「自由に好きなことを自分で決めて学ぶ」「他人との競争はない」「実生活に基づいて役に立つことのみを学ぶ」「暗記するような勉強は一切ない」などといった、ある意味子どもの学びに関しては理想的な環境が揃っているように思える(そして、自分もそう思っていた)オランダですが、実は…そうでもない、ということが少しづつ分かってきました。(遅っ!)

要は上述したような内容は半分は合っていて、というか見ようによっては全て合っているのですが、ここには前提条件がつきます。それは「ただし全て自己責任において」といった感じでしょうか。

例えば、確かに「宿題はありません」。でも、一般常識や、割と高度な知識(舌のどの部分で甘みを感じるか?とか、世界情勢に関してとかとか…)は、小学校の全国統一の卒業テストで出題されるとのこと。

このテストが実はかなり重要です。

将来の目標とか、生きがい?とか、やりたいことを明確になっていれば、そこへ進む進路はあるけど、それも結構、このテストの結果次第では、自分の思い通りの進路へ進む道が断たれてしまうこともあるとか。(もちろん、敗者復活もありますが、かなり大変)

などなど、その実態を聞くと結構厳しい…。そしてこうしたテストとか、将来への進路に関しては、ものすごく親の教養とか文化レベルが問われる、とも。。。

普段からニュースを一緒に見てそのニュースの背景について議論したり、実社会に興味を持って、その興味をどんどん伸ばすような動機付けとか、質問をするなどをしていかないと、このテストにはなかなか太刀打ちできないそう。

なので「宿題はない」代わりに、「自分できちんと学んでね」という前提があり、こうしたことは結局、全て家庭で責任を持って子どもに接する必要があることが分かってきました。(再び遅っ!)

例えば、これを補足する事実としては、子どもの小学校とか幼稚園とかの入学に際しての親の面談では、毎回必ず「大学卒かどうか?」ということが聞かれます。このことに関して、なんの疑問も持たなかったのですが、(子どもが養子かどうか?とか、結婚してるのか?パートナー婚か?など結構、細かくプライベートに踏み込んだ質問をされるので)実は、親が「大学を卒業している」場合は、子どもの教育が相当程度、家庭てなされるという前提で、大卒の親の子は高卒の親の子に対して手がかからない、ということで小学校に対しての補助金が減らされたりするそうです。

 

■結構学歴や社会的なステータスを気にする

オランダは「子どもが世界一幸せな国」とか言われて、宿題もないし、教育費もかからないので「良し良し」とか思っていたけど、やっぱりそうは簡単ではない、ということなのです。(気づくの遅っ!遅っ!)

「親の教養が大事」とか言われると、一気にヤベっ!となりますよね?

で、さらには、あんまり表には出さないけど、意外と学歴を気にしたり、社会的なステータスを気にしたり(どこに住んでいるか?どの新聞を読んでいるか?などなど)ということもあるようです。

まあ、この辺は結局、どこであっても同じかな?とも思いますが、一見、オランダはかなりフラットな社会に見えるのですが、そうでもないと。。。

まだ現地で外国人扱いされているうちは、そうでもないのですが、だんだんと地元に馴染んでくると、逆にこういうことが分かって来たりもするわけです。

ちなみにオランダではスポーツでいうと「サッカー」と「ホッケー」には、かなり深い溝というか、境界線があり、ハイソサエティーなのは俄然「ホッケー」です。だから、地域によって盛んなスポーツが違ったりもします。「大学行くような人はサッカーをやらない」とまで言われたことがあります。

とはいえ、世界一の多民族国家のオランダは、こうしたこともありながら、うまくやっているとは思うんですが、外からでは意外と分からない壁というか、意識もあるようで。。。

 

ということで、子どもたちは、今後こうしたオランダ社会でどうやって生きていくのか?非常に楽しみでもあります。(と、割と人ごとですが)

そういえば、今はシンタクラース(サンタの元になったと言われている)のイベントで、学校では子どもたち同士でのプレゼント交換会があるのですが、その際には相手のことを謳った「詩」をつけなければなりません。

その「詩」は、もちろんオランダ語で、相手のことをユーモアたっぷりに表現しつつ、ちゃんと韻を踏まなければならないのです。それを親が手伝って作るのですが、「ポエム制作」は英語でさえ厳しいのに、オランダ語ができない家族にとって、これはこれはかなり難易度が高いのです。

しかも、実はこういうところにも親の教養が試されているのかな…と思うと、もうすっかり落ちこぼれ気分です。

ま、その気分には慣れてるからいいんですが…。移住、あるいは他の文化に触れるというのは、こんなこともあるんだなと。(いや〜気づくの遅すぎる!遅すぎる!)

自分と同じ轍を踏まないためにも、おとよん読者の皆さんにはお伝えしておきます。