東京で観測史上初の40度超え、とのニュースを耳にして、自分の子どもの頃と10度も変わっているなあ、と恐ろしく感じています。試しに、自分の生まれた年の8月の東京の平均気温を調べたら、26.6℃でした。

これがまだ7月、夏休みに入ったばかりだというので驚きですね。浴衣着て風鈴鳴らして、打ち水とうちわで涼しく、といった夏は何処へやら?

ちなみに、実は今年はオランダも結構暑くて、30度の晴天がかなり続いています。デンマークで建国以来初の山火事というニュースを見た人もいるかもしれませんが、オランダも植物は枯れてしまっています。街中の芝生が枯れて茶色になっているので、なんか街の印象が違います。

夏休みなのに、街が茶色いというのが、ちょっとオランダっぽくない感じもしています。

 

■夏休みは2週間が50%

さてその夏休みですがオランダでは、エリアによって時期をズラして休みに入るので、自分の住んでいるユトレヒトは今、夏休み2週目。もう完全にバカンスモードで家の周りには人がいません。

今住んでいるのは割と典型的なオランダの古くからの住宅街で、学校が近いということもあり、子どもが多く住んでいるエリアです。が、もうほとんどの家がバカンスに出かけています。いつもは大きな窓がカーテンもせず空いていたりしますが、今は、ほとんどの家がカーテンも閉まって、ひっそり。

これじゃあ、空き巣が入るなあと思うほど、ひっそりです。

一般的にオランダ人は、バカンスになるとこぞって家族でキャンプに出かけます。

ニュースによると、オランダ人は2週間の休みを取る人が50%、25%が3週間、残り25%のうち、半分が1週間。そして半分がバカンスなし(orズラして)という感じらしいです。

もうこちらにいると、すっかり2週間とか3週間の休みに慣れてしまっているので、この結果にも全然驚きませんが、どうりで街中、ひっそりとしているわけです。

 

■家族でキャンプがデフォルト

さて、前述したようにオランダ人のバカンスといえば、キャンプです。それも基本的には家族で出かけます。

夏のヨーロッパの高速道路が渋滞になるのは、キャンピングカーや重い荷台を引いた、キャンプにいくオランダ人がノロノロ走っているから、と言われるほど、こぞってキャンプに出かけます。

昨年通っていた大学院の学生の友人に聞いたところ、「今年の夏もフランスにキャンプ」とか言ってる人が結構、多くてびっくりしました。

このキャンプ、みんな家族で行くんですよね。日本だと、下手したら中学生くらいから、子どもだけでキャンプや、どっかに旅行行ったりしませんか? もちろん部活の合宿とかもあるし、夏期講習の合宿なんてのもあるかもしれませんね。家族旅行は中学生くらいまで?って感じでしょうか。

ところが、オランダ(ヨーロッパ?)では、家族でバカンスを過ごす、というのが割とデフォルトです。高校生とかでもそんな感じです。多分、自分が高校生だったら、結構嫌だったろうなあ…とか思うのですが。。。

しかし、オランダでの子どもたち(結構大きい子も)は、大して嫌なそぶりも見せず、みんなキャンプに行っているように見えます。しかも普段から、かなり自立している、大人っぽいようにも感じるのですが…。

ここで、子どもの自立についてのちょっと興味深い記述が、ご存知、河合隼雄先生の『子どもと宇宙』(岩波新書 1987)に書かれています。引用してみます。

<母親としては子どもの自立の方に心をとられすぎて、自立以前の、母と子との肌の触れ合うような一体感を体験することが少ない傾向があった。自立ということは難しいことで、それまでには相当な一体感を味わっていなくてはならない。それが不足すると、どうしても分離するときに心残りがして自立に失敗してしまう。>

と書かれているのです。これは子どもが登校拒否になっている母子からの相談を受けての話とされています。

で、もしかしたら、夏のバカンスはガッツリと家族と過ごす時間が確保されて、こうした時間を子どもの時から過ごすことで、オランダの子どもは逆に普段は自立しているのかな?と思うのです。

この本には続いて、

<母親から自立することは、母親と関係がなくなることだと思っている人がある、そんな馬鹿なことはなくて、母親から自立した人間は、自立した人間として、人間対人間の関係を母親ともてるはずである。何の関係もないのは孤立であって、自立ではない。>

とも。

日本では引き篭もりなども含めて、孤立している子ども、そして大人も意外と多いよなあ、というのは気のせいでしょうか。。。

 

我が家も考えてみれば、オランダに来て家族で過ごす時間が格段に長くなりました。

あれほど、「ママ、ママ」と言って、ひと時もママから離れなかった長男も、意外としっかりして来ており、今年はパパと二人だけで日本へ帰国します。

「パパは面倒見てくれないから嫌なんだけど、日本なら安心だからいいっか!」とか言ってました。

子どもを自立させたいなら、この夏休みガッツリ一緒に過ごす時間を作った方がいいかもしれません。

ともあれ、日本の暑さが恐ろしいですが。。。