8月の頭に、大分の耶馬渓という大自然の中で行った「へんじん」キャンプ。子どもたちがもともと持っている、人とは違う個性を伸ばし、自分で何かやりたいことや、楽しいことを見つけ、仲間と一緒に思いっきり自由に過ごすことを目的とした、初めての試みのキャンプが無事に終了しました。

4日間、耶馬渓の公民館をお借りして、集団生活をしながら、子どもたちは自由に遊びまくる、ちょっと不思議なキャンプ。地元の人や、志に賛同してくれて集まった仲間、そして参加してくれた子どもたちの協力により結果的には大成功でした。(もちろん、改善点はいっぱいあるけど)

ということで、今回はそのキャンプを通じて、大人である自分が気づいた子どもたちの素晴らしいポテンシャルについて、お伝えしたいと思います。

 

■やっぱり違う個性

なんとなく普段、普通の学校生活を送っていると、「みんな一緒に」とか、「人と違うことをしない」とか、「空気を読んで」とかとかが重視されて、そういうことが出来るようになることが、「成長している」なんて思われがちですが…。(例えば、そういうのが一番出来る人が、大人になると良い会社のエリートサラリーマンとか、官僚とかになったりするでしょ? っていうのはちょっと偏見でしょうか?)

でも、子どもって、やっぱり生まれた時は全員違って、空気も読まないし、生き生きと好き勝手してますよね?

僕は、これからの時代を生き抜くためには、こういうのが絶対に必要だと思っていて、現に海外で生活していると、周りの楽しい大人とか、出来る大人って、みんなこんな感じなんですよね。

今の子どもが大人になる時代って、あと10年後か、15年後か分かりませんが、正直言って全く想像できない時代だと思っています。現に、10年前にみんなが当たり前のようにスマホを使って、SNSして、世界中がこんなに繋がる、なんて想像できました??

だから、これまでと変わらない学校の勉強して、良い成績をとって、良い大学に行って、良い会社に入っても、どうなるか全く分からないと思うんです。もちろん、こういうことが好きな子は、ドンドンやれば良いんだけど。

で、結論としては、今の子どもは自分の個性を磨いたり、好きなことや得意なことを見つけて、それを楽しんでやれるようになるしかない、と思っています。結局、それがその子の生きる手段になるんだ、ということなんですが。。。

ということで、もともと持っている個性を再発見する、あるいは伸ばすこと、そんなことのきっかけ作りになること。こんなことをキャンプの目的にしていたのですが…。

わずか4日間ではありましたが、親元を離れて仲間と過ごす時間は、案の定、それぞれの個性に目覚める期間となったようです。というか、想像以上の子どもたちの成長っぷりに、我々、スタッフ一同の疲れもマジで吹っ飛びました。

いや〜、やっぱり凄いんですよね。子どものポテンシャルって。個性って。改めての感動でした。

 

■「気づく!」ことの大切さ

キャンプ中、何をやるか?は基本的には子どもたちに要望を言ってもらい、基本的にはそれに沿う形で、遊びを行いました。天気も良く、暑かったこともあり大自然の中での川遊びが大人気でしたが、なんと「川で泳げるようになっちゃった子」(力を抜いたほうが水に浮くんだ!と気づいた)「自然の川に飛び込むことが出来るようになっちゃった子」(勇気を出して飛び込むとちょー楽しい!と気づいた)「石投げが出来るようになった子」(川面と水平に投げると石が飛び出てくるんだ!と気づいた)「魚がとれるようになった子」(魚を追っかけるのではなく待ち伏せすると良いんだ!と気づいた)などなど、それぞれが、出来なかったことが出来るようになる、という大進歩。

しかも、これ大事なのは大人が「これをやりなさい!」とかは一切言わずに、自然の環境の中に子どもをおいて、あとは求められた時に大人がちょっと背中を押してあげるだけ。基本的に、自分たちでやり遂げてます。

それだけでなく、集団生活の中で「お手伝いが出来るようになった子」(みんなでご飯の準備をすると早いし、楽しい!と気づいた)「お皿が洗えるようになった子」(お皿ってこうやって洗うと綺麗になって楽しい!と気づいた)「お味噌汁をよそえるようになった子」(高いところからやると、溢れるんだ!ということに気づいた)「自分が食べたいもの、飲みたいものを自分で準備できるようになった子」(お茶!って言ってもお茶は出てこないんだ!と気づいた)「自分の脱いだものを、きちんとしまえるようになった子」(脱いだものを、そのままにしておくと無くなるんだ!と気づいた)などなど。

これ、ぜーんぶ大人は出来て当たり前、って思うかもしれませんが、考えてみれば、子どもは教えないと出来ません。まして、最近では優秀なママさんが、口酸っぱく教えてあげて、挙げ句の果てには子どもの先回りしてぜーんぶやってしまうので、いつまでたっても子どもたちは出来るようになりません。

で、このキャンプですごく成長したな〜と思うのは、これらを全て「教えた」のではなく、子どもが半ば勝手に「気づいた」ということです。

そう、このキャンプでは、子どもは好きなことを自由にしていいかわりに、大人は極力口を出さない、という約束がありました。

最終的には、みんなで決めた消灯の時間になったら自分たちで電気を消すようになり、喧嘩をした時は、みんなで話し合いで解決するようになったりと、大人になって好きなことや楽しいことを一緒にやる、仲間を作るためのベターコミュニケーションや、ルールや約束を守ることの大切さにも、少し気づいたようでした。

とはいえ、このキャンプで出来るようになったことは少ないかもしれないし、元の生活に戻ったら忘れてしまうことも沢山のあると思いますが、当人達の、ほんの小さなきっかけや、思い出にでもなれば大成功かな?と思っていたので、それを大きく上回る成長が、全員に見られて、本当にスタッフ一同、泣きそうになりました。

最終的にはキャンプの卒業式を行い、参加者全員が「お手伝いへんじん」「飛び込みへんじん」「魚とりへんじん」などの「へんじん」の称号を授かることが出来ました。

 

 

今回のキャンプを通して、我々大人が再確認したのは、「子どものポテンシャルを信じて待つこと、見守ること」の大切さ。子ども達は、わずか4日間のキャンプを終えて、それぞれ保護者の元に帰って行きましたが、保護者の皆さんからも「子どもが変わった!」の声をいただきました。

僕らがやったのは、大自然の環境の中で、出来るだけ大人が口出ししないで見守ること。好きにさせること。

「結局、何もしてないじゃない?」というツッコミがあるかもしれませんが、今回は甘んじて受けましょう。そう言われても、全く気にしませんw だってそれくらい子ども達が成長してくれましたから。「へんじん」になってくれましたから。

念のため、繰り返しますが、このキャンプに来たからといって、学校の成績が良くなったり、良い大学に行けるようにはなりません。でもでも、それよりも、もっと大事なことには、きっと子ども達自身が気づいてくれるでしょう。

彼らは、我々、大人が思う以上に、それぞれが立派な個性を持っており、それを自分で開花出来るのです。我々、大人は口を出す前に、このことにもっと敏感になったほうが良いでしょう。我々こそ、気づいたほうが良いのです。きっとこうした子どもたちが、明るい未来を作ってくれるのですから。

ほら、ちょっと過去を振り返って見てください。ダビンチも、ミケランジェロも、エジソンも、坂本龍馬もジョブスも、ベソスも、イーロン・マスクもピーター・ティールだって、みーんな、「へんじん」。

そして、こういう「へんじん」が世界を変えてきたのですから。