就活解禁につき覚えておきたいこと?世界を舞台に活躍できる人が持っているもの
日本では長かった受験シーズンもそろそろ終わりを告げるころでしょうか? オランダはシーズンの中盤を折り返し、これからシーズン最後の夏休みに向けて、なんかしらのやや長期の休みが毎月あると言う謎の感じのシーズンになりました。
ヨーロッパでは夏がシーズンの最後で、みんなそこで長期のバカンスを取るために働いている、と言う感じですから、その夏に向けて後半戦がスタートしていると言った感じの時期です。
日本の3月と言えば卒業や終業式、そして年度末から入学式などの新学期、新学年と何かと慌ただしい時期だと思います。さらには、もう一つ就職活動の時期でもありますね。
来年以降、実際はどうなるのか分かりませんが、今年はとりあえず就職活動の時期が決まっている最後の年?になるのでしょうか。
■就職活動の時期がない
ところで、ヨーロッパの就職活動が実際にどうなっているのか、ご存知でしょうか?当然、就職活動の時期など決まっているわけでもなく、就職したいと言う意思と実力がある人から、勝手に決まって行きます。勝手に決まって行くと書くと、さも決まった期間があって、その期間内に優秀な人から決まっていく、と言うイメージがあるかもしれません。しかしもちろん決まった期間などもありませんし、新卒一斉入社、なんてこともありません。
ある人は在学中に起業したり、ある人はサバティカルイヤーとして世界旅行に出かけたり、ある人はインターンから社員として登用されたり(←日本では禁止になったんでしったけ?)文字通り千差万別で、バラバラです。
実は、以前からよくヨーロッパに留学にきている日本人の学生からは、就職の相談を多く受けています。大体のパターンは「このまま海外で就職したいのだができるだろうか?」「日本と海外のどちらで就職したら良いのか?」と言ったような相談です。
以前は、「一度海外に来て少しでも海外で就職したいと思うなら(しかも、その面白さを知ったのなら)絶対に日本には戻らない方が良い」と言ってました。なぜなら、一度日本に戻ってしまうと(日本で就職してしまうと)なかなか海外で働くチャンスがなくなる。仮に駐在員として海外に来ることがあっても、それはあくまでも駐在員であって、本質的に海外(の企業や、起業)で働くこととは意味が違う。かつ、語学力、ビジネス習慣の違いなどなどから、一度日本企業に勤めてしまうと海外に出ることは、かなりハードルが上がる(自分のように)。といった理由で、最初から海外での就職をオススメしていました。
ところが、自分がオランダで大学院などに通ってみたところ、かなり学生のレベルが高いことに気づきました。また海外ではそうした学生が、ほぼルールなし、なんでもありの総合格闘技ばりの就職活動をして、就職を勝ち取っていくと言う現実を見たのです。
この現実を見てから、(日本の学生のレベルを自分のことも含めて、前職の時の面接などを通じて知っているので)残念ながら日本の学生にとても海外での就職をオススメできないことに気づきました。それ以来、逆に「就職活動」と言う、ある意味ルールが厳然とあるゲームに則った方が、はるかに楽ではないか?と思い始めたのです。
さらに言うと、ヨーロッパでは「新卒」には何の価値もありません。しかし日本では「新卒」(や第二新卒)にはれっきとした価値があるのです。ヨーロッパで新卒は、つまりアマチュア、ようは何も経験がない人、という意味なのです。
それ以来、日本で海外を見据えたキャリアを積んで、それから海外へチャレンジするのが良いのでは?という話をすることにしています。
■国籍と会社名を除いたら何も残らない?
実は、日本人は昔から「国籍と会社名がなくなったら、何も残らない」と言われることがあるのはご存知でしょうか?もちろん卑下して言っている面もあるのですが、最近はこれがリアルになって来た、と感じることがあります。
2000年代前半くらいまでは、まだ日本の仕事や日本の企業は、海外においてかなりのプレゼンスを持っていたように思います。現に、前職の広告代理店時代に海外でのロケに行って、現地のスタッフを雇って仕事をしていた感覚では、日本の仕事はかなり人気があったように思います。
しかし2008年の金融危機を経て、完全に日本や日本企業のプレゼンスは海外で低下してしまいました。
自分も、ヨーロッパで仕事をしているときに「日本の仕事です」「日本からの仕事の依頼です」と言うと、以前は相手がかなり前のめりになって来る感じを察知していたのですが、最近は全く見向きもされないことが増えているのです。
最初は間違いか、勘違いかな?とか思っていたのですが、どうやら本気で日本の仕事には魅力を感じていない、と言うことが最近分かってきました。
中にはあからさまに「中国の仕事ではないんですか?」と言ってくる人もいます。
かつては日本の仕事にあったおいしい思いが、すでに全くないのでしょう。日本の仕事でおいしい経験をした人が、もういないのかもしれません。
ここで自分が密かに尊敬している大前研一御大の『「一生食べていける力」がつく大前家の子育て』(2012 PHP文庫)から、引用してみます。
<「日本人から国籍と会社を除いたら何も残らない」とよく言われます。しかし、本来は日本人、会社人である前に、一人の人間であり、家庭人であり、地球人であるはずです。にもかかわらず、日本の教育では、そんなことは誰も教えてくれません。また家庭でも、そのようなことはあまり強調していないでしょう。これから日本人が世界でも通用する人間になるための国際教育を考えたとき、まずすべきことは、貿易立国の「手段としての人間」を作る教育から訣別することが先決のように思います。学校では、まずよき家庭人であることを教え、よき社会人であること、そしてよき地球人であることを教える価値観の教育に重点をおくべきです。>
ここで就職活動の話に戻ると、どうも日本人(学生)は日本の企業でしか通用しない教育=「手段としての人間を作る教育」を受け続けている感じがします。だから海外での就職は難しく、以前は、それでも日本の企業には海外でも通用するプレゼンスが十分にあったため、あまり気にならなかったのですが、最近はそのプレゼンスもなくなって来たために、海外での就職が難しく、さらに日本の仕事、とか日本人と言うだけでは、あまり下駄を履くことができなくなってしまったのではないか?と感じています。
こうしたことを最近如実に感じます。ただまだ唯一ある過去の資産は「日本人は信用できる」「日本人はまじめ」「日本人は嘘つかない」と言った類のことでしょうか。(これだけでも、かなり大きいアドバンテージですが)
と言うことで、就職活動の時期ですが、結局、前回の「なぜオランダの教育が必要なのか?」と言うことにも通じるのかな?と思いました。
ただ、ここで誤解して欲しくないのは「オランダの教育を受ければ世界中の企業に就職できます」と言うことでは、もちろんないので悪しからず。
単純に世界標準が身につくのでは?と言うことだけで、さらに言うとその標準を身に付けるのか?身につけないのか?みたいなことは、また全くの別問題になります。
就職活動も世界を視野に入れると、めちゃくちゃチャレンジのフィールドが広がりますよね。日本での就職活動にうんざりしている方、あるいはそんなお子さんをもつ親御さんは、ぜひ頭の片隅に。
そういえば、なぜか自分の会社は、素晴らしく優秀で日本でも大活躍している社会人の大先輩方から、「吉田くんのところで、うちの子を預かってもらえない?」と言う相談を受けます。こう見えても、学生の頃から外面だけは良く、なぜか親受けは良かったのです。
すいません。まだ誰も雇えないので、なんの解決策にもなってませんが…。こう言う意味でも、早くたくさん人を雇えるようになるといいのかな。日本人が世界で働くための出島、みたいな感じで。。。
国籍と会社名(or大学名)をのぞいても、きっちりと自分が残る人で、かつ仕事を持ってきてくれる素晴らしい就活生がいたら雇いますw ぜひお声がけを!ついでに日本語と英語、できればオランダ語が堪能だとさらに嬉しい。デザインもできて、文章もしっかり書ける、さらにコミュニケーション能力も高いと尚良しです。(しかも、オランダなのにブラックっぽいですが)
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