404078230_2d42b0a934_o約2週間の日本滞在からオランダに帰ってきました。日本では多くの皆さんに時間をもらい、大変有意義な時間を過ごすことができました。みなさま、ありがとうございました。

日本では幾つかの子育て施設の見学や、相談を受けたりもしました。さらに、過労により新入社員が自殺してしまったという電通での悲しい事件があったため、同じ代理店出身者として、「働き方」についての相談を受けたりすることも多くありました。やっぱりヨーロッパや、オランダではこのあたりの環境が進んでいると思われているようです。

さらに「未来教育会議」という子育て環境や、働き方を考えるプロジェクトに参加させてもらっていることもあるので、今回は日本とヨーロッパやオランダの働き方、子育て環境の違いについて書いてみます。

■生産性向上は遠い道?

というのも、たまたまタイムリーにも帰国便の中で目にした日経新聞(2016/10/31)に、欧州総局長の大林さんの書いた記事が載っていました。

「働き方、欧州と彼我の差」と題された記事で、ざっくりと要約すると、安倍内閣が腕まくりをして取組む優先課題として「働き方改革」を挙げているが、日本が理想として捉えているヨーロッパ(記事内ではデンマーク)とは生産性の差がかなり大きく、なかなかヨーロッパ式をそのまま導入するのは難しいのではないか、ということでした。

ちなみに、日本の生産性はOECD加盟34カ国中21位。上位10カ国中、欧州勢が9カ国。オランダは4位でした。

また参考までに、デンマークは世界で一番幸せな国、と言われており、オランダは世界で一番子どもが幸せな国と言われております。(オランダ人が何歳くらいで、自分は世界で一番幸せではない、と感じだすのか?は不明。笑)

で、生産性について、日本とヨーロッパの両方で働いている身からすると、どっちがいいか?というと、やっぱり明らかにヨーロッパ、というかオランダです。でも、それは単純に働く時間が短いから良い、と思っている訳ではありません。

確かにオランダは特に合理的に物事を考えたり、進めたりするのが大好きですから、生産性はかなり良く、働く環境としても楽なのを実感します。めんどくさいことが、ほとんどないのです。例えば、打ち合わせを3回しても、結局何も決まってない、なんてことはまずありえません。

これ、日本では結構ありますよね? 特に自分の場合は、クリエイティブ畑出身ですから、この一見無駄に見える「何も決まらなかった打ち合わせ3回」が意外と大事だと、いまだに思っていたりもします。

また、ヨーロッパとくらべて、日本人の仕事はかなり丁寧で、細かい。もちろん、無駄に丁寧だったり、細かすぎることもあると感じますが…。でも、まあ、そもそも日本人はそうした細かい緻密な仕事を積み重ねて、今まで国際的に高評価を得てきていますから、まあ、これも日本の特徴と考えれば悪いことではないでしょう。

もともと、日本は生産性をあげることに働き方の重点があったのではなく、丁寧な仕事のスタイルというところに重点があったのかもしれません。

ただネットが発達して、デジタル化が進んだ結果、必要以上に効率化が求められている気もします。さらに、世界ではスピード感を持って仕事をすることが当たり前になっているので、特に世界と仕事をするときは、日本の生産性の低さは足かせになる気がします。これはオランダで実感することでもあります。語弊があるかもしれませんが、感覚的には過剰な丁寧さとか、緻密さとかは、海外だとほとんど求められないです。おそらく、ほとんどの日本人の仕事は普通にやっても、十分丁寧な仕事、として通用すると思います。

昨今は生産性の問題が、いわゆるグローバル化によって働き方と結びついて語られており、長時間労働でまともな人間生活ができていないほど働いているのに、国際競争力も劣っていてけしからん、となっているのかな、と感じています。

いずれにせよ、自分の場合はフリーになって間もなく、生産性をどんどん上げていかなければならないステージにいると認識していますので、オランダ的な働き方が今は合っているし、逆に楽だと思っています。

■働き方を変えれば、子育て環境も変わる?

安倍総理が腕まくりして取り組もうとしている働き方改革、それ自体も大切だとは思うのですが、個人的に大切だと思うのは、これが子育て環境に密接に結びついてるいると思うからです。

例えば、世界で一番ワークシェアが発達しているオランダでは、週3勤務、週4勤務をしている人が多くいます。また多くの企業は週40時間を基準の労働時間にしていますが、それ以下の契約をしたからといって(契約社員だからといって)も、一般的には正社員と、ほとんど労働条件はかわりません。

例えば、週25時間労働にする、と決めたら、毎日5時間労働で5日働くというパターンや、7時間を3日、1日は半日勤務、という形にするなどします。

残業はありませんし、空いた時間で子どもと過ごす時間をより多く持つようにする人が多いです。もちろん、趣味や余暇に充てる人もいます。敢えて分かりやすく書くと、働く時間を短くして、子どもと一緒にいる時間、家族で一緒に過ごす時間を増やしているのです。

それ以外にも、例えばIT系や、ソフトウェア系の企業では、在宅勤務やリモートワークを導入しているところも多いようで、ある超大手ソフトウェア系企業に勤めているママさんは、「PCがあれば仕事できるのに、なんで出社なんかする必要あるのよ。出社なんかしてたら子育て、できないじゃない」と言ってました。笑。ごもっともなんですが、こういうところが、オランダの合理性を追求するところでもあります。ちなみに、同僚で一回もあったことがない人がいたり、会社に一回も来ない人もいるようです。自分も2週間に一回くらいは出社する、と言ってましたが。。。

余談ですが、この合理性を突き詰めいてるので、いまやオランダの銀行は窓口でお金のやり取り業務がありません。全てネットで行われます。で、これによって、大手銀行も大リストラをしようとしています。合理性を突き詰めると働き方どころか、産業自体が変わる、という例ですね。

と、このように働き方を改革することで、子育て環境が良くなる、つまり無条件に親と一緒にいられる時間が長くなる、とういうことが結局、子育て環境としてはいいのかな?と思っています。特に子どもがまだまだ小さい時は。ゆえに、「子どもが世界で一番幸せな国」と言われるのかなと。

つまるところ、子育て環境が良いというのは、保育園の数が多い、待機児童がいない、幼児教育が充実しているとかではなく、親というか、社会がどれだけ子どもと一緒に居られるのか? 子どもに寄り添えるのか?ということかと。

例えば、親がボランティア的に、保育園に一緒に行って、他の子の面倒を一緒に見るというスタイルの保育園、というかデイケアみたないなところもありますし、おじいちゃん、おばちゃんが孫と過ごす日を作っている家庭もあります。(これをすると、おじいちゃん、おばあちゃんの税金も安くなるようです。)

ということで、働き方を変えることは、子育て環境を変えることに密接に結びついている。だからヨーロッパやオランダの働き方のいいとこ取りや、教育のいいとこ取りだけしても、結局、それだけじゃダメなんじゃないか?と思ったのです。根本的に子育て環境を変えるには…。

働く環境を自ら良くすることが、子育て環境や、回り回って自分たちの社会環境を良くすることなんではないか、と。

で、この辺り、自分はオランダに来ることによって気づいたことでもあるんですが、やっぱり日本でも気づいてる人たちがいるんですよね。ということで、こんなことの調査にドイツ、そしてオランダにスタディスアーにいらっしゃるのが、冒頭に触れた未来教育会議のみなさん。

12月のツアー後に、なんらかの形でフィードバックがあるかと思いますで、そちらもどうぞ期待していてください。

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