ただいま日本に帰国中ですが、子どものしつけが、とっても良くできていると感じることが多いです。春休み中だからでしょうか? 電車の中、デパート、公園などで多くの子どもを見かけます。総じて、「きちんとしている」という印象を受けます。

日本では、保育園の騒音問題や、電車の中でベビカーを畳むのか?畳まないのか? 飛行機の中で泣く赤ちゃんに苦情を言うか?などなど、子どもや子育てに関するマナーみたいなことが度々、話題になりますよね。

でも、たまに日本に帰国してみると、全体的にはこうした子どものマナーというか、子育てのマナーは、非常にきちんとしている、という印象を受けます。

というのはオランダなんか、子どものマナーはめちゃくちゃだからです。

 

■子どもは子どもらしく

考えてみるといつの頃からでしょうか? 元来、“子どもはうるさい生き物”という考え方自体がなくなって、「社会の中では他人に迷惑をかけずにマナーを守りましょう」という絶対的なルールが国民全員に課せらるようになった気がします。

もちろん、このルール自体を否定するつもりは全くないんですが、「赤ちゃんも子どもも一切の例外なく」、ということに“1億総監視社会”とでも言うような異様な雰囲気でもあるような気がします。

この厳密なルールが暗黙のうちに徹底施行されているからか? 日本の子どもたちのお行儀の良さを実感します。

でも、この“日本の子どものお行儀の良さ”は、海外に住むようになって日本と比較できるようになったことで気づくようになりました。

オランダでは電車の中だろうが、スーパーの中だろうが、走り回っている子どももいれば、遊んでいる子どももいます。結構、日本的に見ると、“それはありえんでしょ!”ということもあります。(もちろん全員がそう、というわけではありませんが。)

ところが、こうしたこと基本的に黙認。というか、誰も気にしない、と言った方がいいかもしれません。

元来、他人の目を全く気にせず、光をいっぱい取り入れるために道路に面した大きな窓でも、カーテンを閉めることなく生活しているようなオランダ人です。

他人の子どもが泣こうが、喚こうが全く気にしません。

 

■“見守る”ことができる社会か?

今年のオランダは真冬に公園の池が凍りました。もちろん、子ども達、いや大人も含めて凍った池の上では連日、大はしゃぎでした。

が、少し寒さが緩んだある日、池の氷がかなり薄くなってきたました。でも、こういう氷の状態の時こそ、乗ってみたくなるのが子ども?ですよね。勇敢な、いや何も考えない子ども達が数人、氷の上に乗ってジャンプを始めた時、案の定なことが起きました。

氷が一気に割れたのです。そして、小学生か中学生ぐらいの女の子が二人、目の前で、氷の割れた池に落ちてしまったのです。

すると、周りにいた、その子ども集団とは無関係な大人達が一気にかけよってあっという間のレスキューをしました。自分も一緒に手を出して子どもを池から引っ張り上げたのですが、オランダ人は、すぐにその子を自転車に乗せて、そばにあった暖かい店まで運び、子どもの友人達に指示をして、家に親を呼び行ったり、なんやかんやして、見事な連携プレーを見せてくれたのです。

普段は、子どもが周りでいくら騒いでも、はしゃいでも、全く無関心な大人達の見事な変わりようと連携プレーの鮮やかさ、レスキューの手際の良さなどに感心しました。

大人達は、子どもに無関心を装いながら、ちゃんと見守っていたのです。

オランダでは、“子どもはうるさい生き物”なので、何をしても放っておきますが、実はしっかりと見守る社会なのです。

実は自分が子どもの頃など、昔の日本もそうだった気もするんですが…。いつの間にか、過剰なまでの、“監視社会”になってしまったような気がしています。

 

■親にコントロールされた子どもは、幸せな大人にはなれない

さて、最近ライフハッカーで公開された『科学が実証する、子どもを「幸福感の強い人間」に育てる方法』という記事がありました。

その記事によると、

<子どもの頃、親から心理的コントロールを受けることが少なく、よく可愛がってもらえたと感じている人の方が大人になってからの幸福感や満足感が高い

というのです。

<「優しくて子どもにすぐに応えてくれる親がいた人は、一生を通して人生の満足度が高くなり、精神的な健康も良好になることがわかりました。その反対に、心理的コントロールを受けた人は、人生に対する満足度も精神的な健康も著しく劣っていました。心理的コントロールとは、子どもが自分で何か決めることを許さない、子どものプライバシーに立ち入る、子どもの依頼心を育ててしまう、などがあります。」>

さて、これを読んで感じたのは、“一億総監視社会”の与える子どもへの心理的影響です。マナーを重視するあまりに、結果的に、子どもを心理的にコントロールしている社会なのではないか?と思ったのです。

子ども自身に考えたり、自由にさせる余白を持たせて、ちょっと離れて“見守る”。これが大事なんだよな〜と。

でも実は、この子どもを“見守る”って、一番難しいんですよね…。と(かなり良いことを)言ったのは、保育士なりたて(しかも資格を取っただけ)の私ではなく、あの河合隼雄先生です。親や先生にとって一番難しいのは「子どもを見守ること」といろんな名著の中で書かれています。

また「だいたい子どもというものは“親の目が届かないところ”で育っていくんです。とも私ではなく、河合隼雄先生が)言ってます。

そして、前回の記事でも少し触れましたが、最近発表された2017年度の世界幸福度ランキングではオランダは6位。日本は51位。統計の仕方がいい加減とか、正確ではない、という声もあるようなので細かいランキングは置いておいても、圧倒的にオランダ国民は自分は「幸せ」であると言っています。

オランダ国内向けのニュース(英語)では、「幸せ」と感じているオランダ人が88%。そして、「不幸せ」と感じている人は3%だというのです。これ、すごくないですか??

ま、考えてみれば、我々もそもそも「子どもが世界一幸せな国」というので、移住を決めたくらいですから、こうなるんでしょうね。

 

ということで、お行儀が良いのはもちろん良いことだと思います。が、あまりに過度にそれを求めて、結果的に子どもを心理的にコントロールしてしまうのではなく、社会全体で、もう少しゆったりとあたたかく子どもや、子育て中の家庭を見守ってあげても良いのでは?と思ったりもしました。

こういう社会の視線こそが、実は「子育てしやすい環境」のトップ要素だったりしますよね。

大人もみんな昔はそうだったように、子どもは元来、うるさい、落ち着きのない生き物なんですから。

だって、あなたもそうでしたよね? えっ? わたくしですか? もちろん人一倍、うるさい、落ち着きのない子どもでした…。今でも「生き方に落ち着きがない」と言われていますが…何か?

Lance Neilson

Bookmark this on Google Bookmarks
LINEで送る
Pocket