やっぱり凄かった!? オランダ学校見学で思わず泣かされた話
前回の『「世界一子どもが幸せな国」オランダの学校を見学して思ったこと』の評判が良く、(というより正確に言うと「続きが読みたい」)「オランダの教育には、そんなに興味ないだろうな…」と思っていたのですが、反響が思った以上に大きくビックリしました。
そこで今回は、学校見学を続けて見えてきたことを記してみます。
■見学者をオープンマインドで受け入れるイエナプラン
みなさんは、学校見学をする時、何に一番注目しますでしょうか? 施設、立地、先生の質などんど見るところはいっぱいあると思いますが、個人的に見学のポイントで一番大事にしているのは「生徒」です。
その学校の生徒を見れば、何となく全部が分かるような気がしています。
今回は、Hilversumという小さな街の学校を見に行きました。見学に行った学校は、街の中心からだいぶ離れた、まるで軽井沢の別荘地帯のようなイメージの、大きなお屋敷が並ぶ静かな村の中にありました。
そこはイエナプランの学校で、校長先生がじっくり時間を取ってくれました。
イエナプランの学校では保護者や、地域とのつながりを非常に大事にしており、保護者が見学や面談を頻繁に行ったり、学校の運営にも積極的に関わっていたりする土壌があります。
ですから、だいたいどの学校も、見学を申し出ると非常にオープンマインドで迎え入れてくれます。
今回は40年以上の教師経験のある、おばあちゃん校長先生が迎え入れてくれました。
■なぜか泣き出す校長先生と…自分
まずは校長先生との話。なぜわざわざこんな遠くまで見学に来たのか? 学校にあなたは何を求めているのか? 何が大事だと思っているのか? など多くの質問を校長先生からされました。
「自分で考える力」「異なる他者と協働する力」「自分の意見を持って、人に伝えられる力」「正解のない社会を生き抜くための、考え方を教えたり体験出来ること」このようなことがこれからの子どもには大事だと考えている。そしてそれが実践できるのは、イエナプランだと思ったので見学に来た、と伝えました。
すると校長先生は「こんなにイエナプランを理解してくれているあなたが、はるばる遠くまで来てくれて非常に喜しい」と言って半泣きに。ついでに、こちらもなぜか半泣きに。「なんだこの展開…?」状態になりました。(実際、イエナプランの勉強はしていきましたが)
その学校は4年前に建て直した校舎で真新しいのですが、面白いのは、1Fはイエナプラン校(見学に行った学校)、同じ校舎の2Fはダルトン教育の別の学校。
さらに、同名のイエナプラン校が少し離れたところにあり、(運営は別だが)それらを含めて、計20校くらいの学校を経営している別の母体があるとのこと。ファイナンシャル的な問題だと言っていましたが、これは学校経営と実際の運営を切り離して、学校(先生)は生徒に向き合うことだけを仕事にする方法でもあるようです。
オランダ人らしい、非常に合理的な考え方で子どもにとって何が大事か?という観点で、社会が作られている印象を、ここでもしました。
■生徒にインタビューしてみた
一通り話をし終わった後で、(泣き止んだ後)さっそく、授業を見せてくれることになりました。
一番下の4歳から12歳くらい?までの子がいる、各教室を見て回ります。イエナプランでは、複数の学年が同じグループ(異年齢でファミリーグループというものを作る)になっており、子ども同士で教えあったりして、協働しながら色々なことを学ぶことを重視しています。
なので、年齢はごちゃごちゃになっており、かつ日本のような一斉授業ではないので、各グループごとに何かの実験をやっていたり、個人学習をしている子もいたり、日本的感覚では幼稚園を見に来ているようです。
また各クラスを縦横無尽に行き来して、色々な子と意見交換したり、プロジェクトワークを手伝ったりしている様子で、休み時間かのような印象も受けます。
先生は、小グループに対して実験を見せていたり、個人ワークをしている子を見守っていたり、とおよそ日本の学校とはイメージが違います。いわゆる日本的な座学で、机をみんなで一斉に並べて勉強する、というイメージは全くありませんでした。
実践型学習で「自分たち(&仲間)で学ぶ」ということを重視していました。
そんな授業を見せながら、校長先生が「生徒に質問してもいいよ」と言います。
そこで、「学校は好きか?」「なぜ好きか?」「嫌いなところは?」といった質問をしてみました。
まず面白かったのは、こちらが英語でした質問に答えられない子(英語が喋れない子)がいると、周りで英語ができる子が助けてくれます。スコットランドとニュージーランドのハーフの子が助けてくれたり、南アフリカから来ている子が助けてくれます。とはいえ質問された当人は、自分でできるだけ英語で答えようとしています。このやり取りに先生は一切介在しません。
多くの子が「学校は楽しい」「友達との協働作業が楽しい」「周りの人といろんなコミュニケーションをするのが楽しい」と答えてくれました。
日本だと(自分の場合)、「友達と遊ぶのが楽しい」と答えたと思うのですが、こちらでは「遊び」と「(授業というか)プロジェクト」には境がないんだろうな、と思いました。
さらに、みんな自分の意見をハッキリ言うし、人が意見を言っている時は、きちんと聞きます。おそらくみんな小学校低学年です。これは自分のときと比べると全く違う気がしました。
他人を尊重しながらも自分の意見をキチンと伝え、みんなで協働している姿に感動しました。施設や校舎や先生ではなく、生徒の質が、その学校の良さを一番端的に表していると改めて思いました。
それを校長先生に伝えたところ、それが分かってくれて嬉しい、と言って、また半泣きに。もちろん、なぜかこちらも半泣きに…。再びの「なんだこの展開…?」状態に。
自分でも何をやっているんだろうと思いながら、清々しく学校を後にしました。あ、でもこの感触は、以前のブログで紹介した「きのくに子どもの村学園」を見学した時に、生徒たちに感動した、あの時と同じ感覚でした。
ちなみに、一人の低学年の子どもに質問を受けました。
「あなたは自分の子どもをこの学校に入れようとしているの?」
「そうだね、入れられたら良いと思っているけど、まだオランダ語ができないから、初めはオランダ語を勉強しないとね」と答えると、「あなたの子どもなら、大丈夫だよ。きっとすぐにオランダ語できるようになるよ。僕はそう信じているよ。だって、僕だってドイツから来たけど、すぐオランダ語ができるようになったんだから。だから大丈夫だよ。学校で君の子どもが来るのを待っているよ…!」
「…っえ? あっ、あ〜……ありがとう!…じゃなくて、、、サンキュー!」というのが精一杯の金髪日本人43歳。
オランダ、すげ〜っす。とにかく日本の学校とは全く違う、授業?風景にビックリし感動した次第です。
初めまして。newspickから吉田さんのブログに飛びました。イギリスで4人の子育てをしています。日本でバリバリにサラリーマンしていた吉田さんが、子供の教育のためにオランダに引っ越した経歴や吉田さんの考え、オランダの学校のお話など興味深く読ませていただきました。文章が上手で面白いですね!私も教育に関しては、吉田さんと似たような考えなのですが、読んでいて同意することが多かったです。子供は無限の可能性があるのに、日本の教育そして「世間の目」ばかり気にする社会は、それを押し殺していることが残念で、日本の子供達や母親はかわいそうだなと思います。。。 吉田さんの記事を楽しみにしています!
初めまして。子育てをオランダでしたいと、今アムステルダム入りして移住準備をしている小澤と申します。語学力無し(日常会話程度の英語力)仕事のあて無しでオランダ入りしてしまいました。先ずは家を探すにも子供たちの学校を決めないと!という事で色々調べていたらこちらのサイトに辿り着きました。オランダ入りして多少の不安もありました。この記事を読み、子供の為にも顔晴らなくは!と力を頂きました。私45歳娘1,3歳歳をとってからの子供ですので、娘達に遺してやれる最高の遺産が教育と考えています。私も以前よりイエナプランの教育に興味があり、子供たちにイエナプラン教育を受けさせてあげたいと強く思いました。有難う御座います。