1384954600_483e7e4698ただいま「育休」を利用して、家族で海外滞在中。子育てに、夫婦二人の時間を思いっきり贅沢にかけています。ご存知のように、子どもは何から何まで遅いです。ご飯食べるのも遅い、歩くのも遅い、しゃべるのも遅い。でも、こういったことに、同じ目線で立ち会うのが子育てです。つまり大人にとっては、「待つ」ということになります。「子どもが自発的にやるのを待つ」「できるようになるのを待つ」そのための時間こそが「育休」です。

 

■シンガポールでは時間の流れは遅い

今滞在している、シンガポールの勢いは凄まじい。めちゃくちゃ高い物価、人の熱気、ブランド店の大きさや数、街中で見かけるフェラーリの数など、すでに東京は抜かれたかと思います。

しかし、東京のほうが、圧倒的にいいなあと思うことが1つあります。それは、効率の良さ、というか「待ち時間」の短さです。

きっちり2分?おきに来る山手線、混雑していてもランチがすぐに出ること、街を行き交う人の早さ、これらは今のところシンガポールではあまり感じません。

さらに(東京だけの話ではありませんが)スマホですぐに調べられること、ノンストップで通れる改札、スーパーでのレジ打ちの早さなど、とにかく日本では、無駄な待ち時間がありません。このあたりは、東京が世界最高だと思います。「待たない」ということに関しては徹底しています。ただ、時間の流れが、その分、早く感じます。

シンガポールは、そういう観点から見るとまだまだ。レジ打ちもむちゃくちゃ遅いし、電車もあんまり来ない。結構、「待つ」印象です。

しかし、子どもには非常に優しいです。赤ちゃんや小さい子ども連れで電車に乗ると、我先にと、みんなが席を譲ってくれます。街には段差や階段が結構ありますが、バギーを押していると、みんなヘルプしてくれます。赤ちゃんには、笑顔で話しかけてくれます。育児はしやすいのかな?と思いました。

 

■育児で一番大事なのは「待つこと」?

日本での育児は、正直かなり厳しいですよね。特に都会では。「育児」の「育」は「教育」の「育」でもありますが、「教育」という文字は、ともすれば反対の概念の二つの漢字で出来ています。いたるところで「待つ」シンガポールで思ったのは、「教」えるのは意外と楽で、子ども自らが「育」つのを、待つことって、本当に大変だなあということ。最近の日本人って、「待つ」の苦手じゃないでしょうか?

臨床心理学社の河合隼雄さんの著書「子どもと学校」の中で、以下のように話しています。

<私は子どもを育てる、というときに「植物」をイメージする。太陽の熱と土とがあれば、植物はゆっくりと成長してゆく。子どもを「機械」のように考えて、「こうすればこうなる」と、教師がそれをコントロールしようとすると、思いのままにならないことが出てきていやになるのではなかろうか。植物の成長を楽しんで見るような態度を身につけると、楽しみが増えてくるように思われる。>

植物の成長は、「待つこと」が必要です。子育ても、時間の使い方が非効率であっても、やっぱり待たないといけないのかなあ、と。

 

■日本人は待つことが苦手?

改めて、日本の時間の流れを考えると、世界一の早さではないか?と思います。そして、この時間の流れは”子育てには向いていないのではないか?”と思います。効率化された社会では、「待つ」ことができないからです。

「待つ」ことができない社会では子育てがしにくい。または「待つ」ことができない人は子育てができない、ということだと思ったのです。子育てはズバリ「待つこと」だからです。

シンガポールでは、ほとんどの人が文句も言わずに、レジで長蛇の列に並びます。意外と、こういったシンプルな事に子育てのヒントがあるかと思いました。まあ、日本人も行列好きではありますけどね。

スポーツジャーナリストの吉野妙子さんの著書『天才は親が作る』では、世界で活躍するスポーツ選手の子ども時代のエピソードが書かれています。

その中の一人、テニスの杉山愛選手は幼少の頃から母親と二人三脚でテニスの世界を歩いて来ました。そのエピソードで印象深いものがあります。杉山選手が幼少の頃、靴の紐を結ぶのを自分でやりたがった。お母さんは、杉山選手が納得まで自分でやらせようと思って、玄関先で30分待った、とありました。(手元に書籍がないので引用できず。すいません。)

親の「待つ」ことの重要さを表しているエピソードだと思います。子育ての効率化は、やっぱり出来ないのではないか。そんなことを「あまり効率の良くない国」に来て思いました。しかし、幼稚園初日の送迎バスが30分以上遅れてきたのには、ちょっとびっくりしましたが…。

あなたは子どもの育ちを待てますか?

 

woodleywonderworks

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