オランダで気づいた「分からないこと」を友達に聞くのは「幸せ」の秘訣なのか?
大人的にはスーパー慌ただしく時間が過ぎていく昨今ですが、そんな間も子どもはしっかりと成長しています。当たり前ですね。しかもそんな慌ただしい日々や仕事のペースを見直すことも含めて、オランダに移住したものの、ちょっと油断すると、日本にいた時のような生活ペースについついなってしまいます。
また、わりと昨今、日本は「働き方改革」がきちんとしてきており、みなさん時間外労働と、休日勤務をしない、ということが徹底している感じがします。時差があるヨーロッパにいるため、そして、まあ個人事業主みたいなもんなので、気づくと日本にいた時以上のペースになってしまっているので、ちょっと反省しているこのごろですが、そんな慌ただしい秋の夕べに、長男の学校のクラスの「夜の保護者会」がありました。
夜の保護者会とは?
実は、うちの子どもが通うイエナプランの学校には、何種類かの「夜の保護者会」があります。一番、大きいものは全クラスの保護者対象で、クラブとかレストランを貸し切って、夜通しで行う年1回の大ダンスパーティ。こちらは残念ながら、まだ参加したことありません。仮装して、全く分からないオランダ語のダンスパーティの世界に入っていく勇気がまだ湧きませんw。というか、子どもだけを寝かしておいて家を空けづらいという理由もあったり。そもそも人見知りだし、とかw。
で、それ以外にもクラスの親が自主的に仕切る、気軽な飲み会的なものがあったり、先生(学校)が主催の、クラスごとにそのカリキュラムを説明するもの、などがあります。
ということで、先日行われた、長男のクラスの「カリキュラムを紹介する夜の保護者会」(=先生仕切りの一番まともなやつw)に参加してきました。
ちょっと保護者会ついでに脇道にそれますが…。この保護者会だけではなく、うちの学校はかな〜り濃い保護者コミュニティが、学校行事関係のいたるところで機能しておりまして、まあオランダ語がしゃべれないと、もうそれはそれはついていくのが大変です。
たとえば、遠足の付き添い係とか、送迎係とか、発表会のヘルプ役とか、3泊4日のキャンプアテンドとかw 子どもたちのチャリティーマラソンのお世話係とか、クラスのおもちゃの清掃係とか、ちょっとしたお菓子を作って持っていくとか。もうお手伝いも多種多様な上に回数も多いし、何よりも結構な数の保護者が積極的に参加しています。そしてだいたい、みんな学校の近くに住んでいて、兄弟がいたり、サッカーとかホッケーの課外クラブでも一緒だったり、地域のBBQパーティで顔を合わせたりするので、結果的には地域全体のコミュニティーが学校を中心に成り立っている感じがします。
ということで、自分も無理やり「遠足のカメラマン」とか、「生徒の送迎運転手」など、極力オランダ語が不必要なポジションを勝手に作って参加してます。
また、もちろん子どもの親同士も普段から積極的にコミュニケーションを取りますので、(もちろん、オランダ語で)なので、こういうところにきちんとコミットできて、やっとオランダ人の暮らしとか、学校とかのメンバーになれる気がしています。
そういう意味では、まだまだ自分もちゃんとコミットできていないと思いますが、オランダ語ができないなりに、地元コミュニティには積極的に参加して、「あいつはオランダ語ができないやつ」というキャラで、立ち振る舞っています。
ということで、子どもの教育を考えて、オランダへの移住を考えている人から、多くのお問い合わせをもらいますが、こういう点(=親のコミュニティへの貢献可能度)も考慮したほうがいいかもです。
子ども同士が質問ができる関係
で、話を本筋に戻しますが…。
我が家の長男も、早いものでこちらではグループ7という、小学校最終学年の手前まできています。日本的に言うと、小学校5年生にあたる学年です。
ご存知の方も多いかもしれませんが、こちらではグループ8、つまり小学校最終学年が将来の進路を決める上でわりと大事な学年です。その学年で、おおまかに将来の方向性を選ぶからです。これについては、オランダ国内でも「早すぎる」という議論もなされてますが、簡単に言うと、大学に行くか行かないか?いくとしたら、どんな種類の大学なのか?(こちらでは大学の種類自体がいくつかある)大学には行かないで専門性を磨くのか?などなどをザックリと決めるのです。みんな、グループ8が終わると(卒業すると)、その方向性に沿った中等教育に進むからです。
で、うちの長男が通っているのはイエナプランなのですが、2学年が一緒のクラスにいます。つまり、グループ7,8(小学校5、6年生)の生徒たちが一緒のクラスなのです。
すでに最終学年であるグループ8は、進むべき中等教育に向けた勉強(というか、全国共通一次的な試験)を集中的にしますので、簡単にいうとグループ7というのは、いろいろと準備をして大まかに方向性を決める段階なのです。クラスメイトには、共通一時的な試験勉強を中心にしているグループ8の子もいます。その隣の席には、うちの子どものように宿題も今まで一切なく、ゲームとサッカーしかしてない鼻垂れ小僧がいるのです。
実際、今回の夜の保護者会に参加しても感じたのですが、グループ7になったとたん、ちょっと雰囲気が変わりまして、雰囲気的にはちょっと日本の中学校に近いノリになります。少しだけ大人扱いしてもらえるけど、自己責任の範囲も広がる的な。。。
到達目標だけ先生と一緒に決めたあと、時間割自体も自分で全て決めているらしく、なんかこんなところからも多少の自主性が求められるし、それが育ってもきている感じもします。
日本(というか、あくまでも自分の経験した)の小学校5年生と比べると、自分の行動にかなりの裁量がある感じもします。また学校の縛りが基本的に全くないので、みんなが、かなり大人に感じます。(9月始まりという半期の差があるので、正確に言うと、まだうちの子どもは日本では小学校4年生)
また携帯も、みんな持っているようで、そのやりとりなんかを見ていると、自分の小学生のころと比べると雲泥の差があります。テクノロジーの差は、もちろんですが、コミュニケーションの取り方が、かなり大人っぽい感じがします。例えば、クラスのグループチャットを作って、頻繁にみんなとやりとりしているんですが、同じクラスグループチャットが2種類あって、「学校の課題などを話すチャット」と、「くだらない楽しいことを話すチャット」の2種類あるようです。
まあ、全体的にかなり日本の中学生ノリな感じで、人気のユーチューバーの動画をシェアしたり、気候変動活動家のグレタの話をしたり、ゲームの話をしたりしているようです。
クラスのカリキュラム自体も、昨年までと変えて新しい教材を導入していたり、中等教育の学校見学が始まったりと新しく知ったこともありつつ、自分が気になったのが添付した写真です。
これは、クラスで課題を解いている時に、もし分からないことがあったらどうするか?ということが画かれているものです。
まずは「親指」=「自分で考えてみる」です。
次に「人差し指」=「隣の席の子に聞いてみる」です。「隣の人とおしゃべりしちゃいけません!」ということではないのです。(もちろん、ケースバイケースだと思いますが)
3番目に「中指」=「同じ学年の子、3人に聞きなさい」です。これがイエナプランの良いところで、同じクラスに「異学年」がいることです。
次に4番目が「薬指」=「違う学年の子3人に聞きなさい」となります。
「異学年」の子がクラスにいるので、クラス内で「全員が同じこと知っている訳ではない」というのが前提となるのです。つい、日本だと同じクラス内では、「もう習ったはずだから、今更聞けない」とか、「みんなより落ちこぼれているように思われたくない」とかいう意識が働いて、なかなか「周りの友達に聞く」というのが難しくないですか?大人だって、知らないことを人に聞くのはちょっと恥ずかしくて、聞けないこともありますよね?でも、逆にその分野の素人だと、「勉強不足なんで教えてください」って素直に言いやすいですよね?要はこれと同じ状況をクラス内に作っているのです。
で、最後の「小指」=ここでやっと「先生に聞く」となります。
こんな何気ない(うちの学校では当たり前の)イラストではあったのですが、こういうところだけでも日本(=繰り返しますが、あくまでも自分が子ども時代に体験した教育)とは違うなあと思ったのです。
そういえば、うちのチビは長男と同じ小学校のグループ2という、日本で言うと幼稚園の年長さんに当たる学年です。が、うちのチビは生意気にグループ1の子のメンターをやってます。というか、グループ2の子は全員、お世話を担当するグループ1の子がいるのですが…。生意気にも「アイツ、言うこと聞かないでどんどん勝手にやっちゃうんだよ」とか言ってますw。(あっ、ちなみに、うちの次男がお世話を担当している子は、フランス人とスペイン人のハーフで、フランス語、スペイン語、英語、そしてオランダ語がしゃべれるという…汗)
日本の小学校とは、こうしたメンター制度も含めて、もちろんカリキュラム自体も全く違うのですが、そもそも勉強する目的=「人生の幸せを見つける」からしてだいぶ違うんですよね…汗。
ということで、今回は夜の保護者から感じた学校というかクラスというか、生徒の成長の違いの原因の一端をちょっと垣間見た、というお話でした。
正解とか全く分かってないくせに人に上手に頼るというか、他人とコミュニケーションを上手くとりつつも、自立しているという、まあ、まさに大人のオランダ人にはこういう感じで育っていくんだなあ、と思いました。今の時代は、正解を知っていることより、こういうほうが大事だったりするかもなあな…と。
「人生の楽しさを探す」のがオランダの学校で、そこで育ったのがオランダ人ですから、幸せなはずだな、と。(オランダは世界一子どもが幸せな国、かつ幸福度ランキングで5位?とかです)
常に「正解」を勉強してきたはずの自分も、すでに大人になってから随分時が経つので、そもそも正解忘れちゃったしなあとか…汗。
あ、ちなみに毎回書くのですが、オランダでも学校によって全然違いますので、「オランダは全部こう」という誤解をしないでください。あしからず。
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