6379207663_39a42a8742_bオランダへ移住してから1か月が過ぎました。まだ家具が揃っていなかったり、日本からの引越し荷物が届いていなかったり、そもそも住民登録も出来ていなかったりと、いまだ生活環境のセットアップ中です。

生活環境はまだまだ整っていないのですが、長男は意外にも「学校が楽しい」と言い出し、なんとかオランダ生活もソフトランディング(中)できました。

長男は引っ込み思案で、人見知りが激しく、外では自分の意見をあまり言わないタイプなので、言葉も通じない新しい国での、新しい学校への順応を、もっとも心配していました。泣いて「行きたくない」とか言うんだろうなあ…と思っていたのですが、意外にも初日からスムーズに順応できた様子。

もしかしたら、今までシンガポールやマレーシアで幼稚園などに行ったり、いろんな学校や幼稚園を見てきた経験が生きたのかな?と思いました。生まれ育ちもずーっと日本の両親とは違い、6歳の長男は、外国人の中に自分一人だけ日本人、ということには全く違和感は感じないようです。(本人曰く、「全然(気にならない)」と)

とはいえ、環境が激変したので、子どもの様子はもう少し注意深く観察しないといけないと思っていますが、残念ながら楽しい学校もなぜか今、2週間の連休中。雨も多いので外出もままならず、暇を持て余した子どもたちは、ここぞとばかり親にまとわりついてくるので、親にとってこそ、非常に残念です。

その間に、日本への出張があったりしたので、家族と少し離れていました。そこで感じたことがあります。

 

■言葉の習得はなぜ若い方が楽なのか?

約10日ぶりに長男と接してみると、オランダ語が結構、上達しています。オランダ語の学校へ通っているので当たり前ですが、耳から入っていることの方が多いのでしょう。発音が半端なく良いのです。学校の先生が言っている言葉を、そのまま真似しているのでしょう。親が辞書や参考書を見たり、アプリで一生懸命勉強しているのより、はるかに良い発音です。

さらに使う言葉も、実践的というか、普段使う言葉から覚えているので、すでに子どもの方がオランダ語は上達しています。

うちの場合は、勉強というか、新しいことを学ぶのが好きな妻も、熱心にオランダ語を学んでいるので、スーパーやレストランに行っても、書いてある字がすでに少し読めたりします。

さらに、2歳の次男に至っては日本語すらまだ全く喋れないのに、オランダ語と英語と日本語の区別なく単語を発します。もちろん、自分がオランダにいることすら認識してないと思いますので、本人にとっては言葉や環境は全く違和感ないはずです。

良く外国語は若い方が習得が楽と聞きますが、子どもたちの順応性を考えると全くその通りです。

もちろん長男は、まだしゃべれるレベルには達していませんが、(そもそもシャイなので日本語すら、人前ではあまりしゃべらない)おそらく結構、早く上達するかな?と思っています。

子どもにとっては、文法も関係ないし、「G」がなんで、そんな発音なの?という疑問が一切ありません。(オランダ語の「G」とか「V」とかは英語と発音が違う)耳から入ったものを、そのまま口にしているだけです。余分な知識が一切ない分、逆に柔軟で順応性が高いのかなと思います。

 

■遺伝よりもやっぱり環境?

これは言葉に関して感じたことですが、おそらく言葉以外にも五感や、身体で感じていることに対しても、子どもは同じように相当早く順応するのではないかと思います。つまり環境が与える影響は、実は甚大なのではないか?と思うのです。

言葉は、たまたま習得度が分かりやすいので、指標になりやすいだけかな?と思うのです。

環境や社会が子どもに与える影響は、少なくとも自分が思っていたより大きいのではないかと感じました。

教育関係の著書も多い三石由起子さんの著書『珠玉の天才児たち この母を見よ!』には、ワイン専門家の次の言葉があります。

<母なる大地というように、その土地、土壌がお母さん。ぶどうの木がお父さん。そして、その年の気候、環境がものすごく大事で、これがワインの質を決定する。資質と環境という、この2つを考えるときワインの世界では文句なく環境に軍配が上がるのである。>

子どもの成長に、とって「資質(遺伝?)と環境」ということを考えると、ワインと全く同じで、環境がものすごい大事というのです。

ワインでは同じ品種、銘柄、ワイナリーでも「年」(=気候)によって、全く違うワインになりますよね?「このワインの2003年はビンテージです」といった、アレです。

なので、親としては子どもがビンテージになるための環境を作る、与える、というのが、唯一できることではないか?と思ったりするのですが、また、これが子どもによっても違うので難しいんですよね。

個人的には、これを突き詰めると、「子どもは放っておいても勝手に育つ」ということだと思っていますが。

 

ということでオランダに住んでみて、さらに少し家族と離れてみて思うのは、改めて、子どもの語学習得能力の高さと、住む環境というのが、子どもの育ちにはものすごい影響を与える、そして大事なんだな……という、普通の感想でした。

親はもちろん、保育園、幼稚園や小学校や友達といった、子どもを取り巻く、ごく近くの環境だけでなく、住環境、社会、国、時代とか、ありとあらゆることが影響を与えるというのを、改めて感じた次第です。あ、これも普通だ……。

E. Dronkert