今回もいつも通り、子育ての話です。で、少なくとも最初の見出しくらいまで、離脱せずに読んでみてください。もちろん、つまらなかったら離脱してください。

ということで、先日、オランダで「農業研修」なるものを行いました。日本からの視察団をお連れして、オランダの生産者、研究者、実験施設、企業などなどを周ったのです。

というのも、オランダ、実はアメリカにつぐ世界第2位の農業大国なのです。しかも国土は日本の九州ほどですから、その高効率度が実感できるのではないでしょうか?

ありとあらゆる研究や工夫を重ねて、こうした農業大国になっているのですが、さらにここ最近の流れとして注目なのが「オーガニック」。オーガニックということでは、ヨーロッパではドイツがフロントランナーな感じもしますが、オランダでも近年では、明らかにオーガニックに舵をきっています。

ということで、今回、訪れた中に、オーガニックの土を研究・販売している会社がありました。

そこで聞いた話が、実は子育ても全く同じだな、と思ったので、今回はそのことについて書いてみます。

 

■必要以上に菌を無くしたり、栄養を与えすぎると育たなくなる

オーガニックの土を長年研究している会社のCEOであるPiusさん。きっかは、樹齢200年の樹木の根元の土を分析したことでした。一般的に言われている指標で考えると、明らかに栄養分が不足している土だったそう。そこで、必要とされる栄養をその土に、良かれと思って加えたそうです。すると、みるみるうちに、樹齢200年の大木が枯れてしまった、というのです。

そこでPiusさんが、気づいたのは、植物には自分で生きる力が、我々が考えている以上にある。そして、生命の全ての源は「土」である、ということ。

そこから、長年の研究を重ねて、現在の状態になったそうです。

現在では、完全にオーガニックの土だけで、植物の持っているポテンシャルを十分に引き出せば、どんな土地でも育っていく、ということができているのです。なので、Piusさんの土や、育成の方法を使って、オーガニックの生産物に転換する生産者が増えています。

で、こんな話を聞いた時に思ったのが、これ全く子育てと同じなんではないか?ということでした。(ということで、お待たせしました。ここからやっと子育ってっぽい話に。。。)

 

■子どもはみんな問題児

以前にも、当ブログでご紹介したことがある、『いやいやえん』や『ぐりとぐら』で有名な中川李枝子先生の『子どもはみんな問題児。』(新潮社 2015)

子どもを見守る温かい眼差しに満ち溢れた本ですが、この中にこんな一節があります。

<子どもはみんな、問題児というのが私の持論です。まず自分がそうでしたから。そしておかしなことに、私の周りの大人たちでおよそ自分はいい子だったという人はいません。>

続いて、

<そもそも子どもというのは欠点だらけで、自分なりにいい子になっていこうと悪戦苦闘のまっ最中なのではないでしょうか。だから純情でかわいいのだと私は思います。>

と書かれています。

つまり、そもそも問題があるのが子どもであるけれど、それを克服していく過程が成長過程である。大人になって、やっとそうした問題がなくなっていく。というか、問題がなくなることが大人になる。(もちろん、大人にだって問題をいっぱい抱えたままの人はいっぱいいますよね。はい。他人事ではないです。すいません。)

なので、子どもの時には、逆にいっぱい問題があった方が、それを克服していく過程で、どんどん成長するので、返って良い場合もあるのです。

実際、「子どもの頃はひどかったけど、立派になって…」っていう人、多いですよね?

そして、個人的にはこれは怪我とか、病気などに対しても同じかな?と感じており、あまりにも雑菌を寄せ付けない、除菌・殺菌文化の中で子どもを育ててしまうと、かえって体の弱い子になってしまうのではないか?薬なしでは生きていけない体になってしまうのではないか?と。

ちょっとくらいの怪我や、病気は子どもにはつきものです。それを過剰に防いで、あまりにも清潔環境の中で育ててしまうと、全く抗体が育たない体になってしまうのではないか?と思ったりもします。

また、子どもの時の栄養過多は、大人になってから健康問題の原因になることも多いようです。

こうしたことって、全く植物と同じではないかな?と思ったのです。

 

つまり、野菜だって植物だって、最初はみんなひ弱で問題がある。それがだんだんと大きくなっていくうちに、問題を克服して、立派な野菜になったりするのかな?と。なので、必要過多に栄養をあげすぎない、過保護にしすぎない。もっと植物のポテンシャルを信じる。または、そのポテンシャルを引き出す環境を作る。そんなことが大事だ、という話だったのです。

この上記の文の「野菜」や「植物」を「子ども」に置き変えてみてください。

全く子育てと同じですよね。

そう思うと、農薬漬け、化学肥料漬けだけれど、見た目も形も美しい野菜たち。に、対して、不必要に手をかけられず、形も見た目も不揃いだけど、自然に逞しく育った野菜。

個人的には後者の方が好みで、それが自分の子育てのベースにあるのかな?という気がして、今回のPiusさんの「土」の話には感動すら覚えてしまったのです。

「野菜と子育てを一緒にするな!」というお叱りを受けそうですが、ま、あくまでも個人的な見解なので、ご容赦を。

ちなみに、振り返ると自分もほったらかされて育てられた気がしますので、単純に自分の育った環境を美化しているだけかもしれませんwww ま、おかげで、わりとどこでも生活しているいけるようにはなっています。

photo by Taku