7223675784_229cba97a8_b先日、フィリピンマニラに行ったので、APECスクールの見学に行ってきました。

APECスクールとは、フィリピンの大財閥アヤラと教育出版世界首位の英ピアソンが一緒に作った、世界標準の学習内容にもかかわらず、低所得層家庭の子ども向けに作った新しいタイプの学校です。

先日(2015/6/19)付けで、日経の記事にも出ていました。『フィリピンで格安私学教育 アヤラと英ピアソン

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■変わる教育界

今、世界では教育界がとても熱いです。純粋に混乱のこの時代を生き抜くために、教育が改めて見直されているのもありますし、一方で、そうしたブームを背景に、産業として大きなチャンスがあると捉えられている面もあります。

APECスクールは、開校からわずか1年で24校、生徒数もすでに4千人に達しているようで、実際に見学に行ったところも、昨年からクラス数が2倍になっているということでした。

日本でいう中学1年生、2年生を対象としたクラスしかないにも関わらず、入学者は年々増えているようです。

徹底的にコストを切り詰めつつ、良質の教育を提供するスタイルで、格安航空会社(LCC)のビジネスモデルを連想させる「格安学校」だと日経には書かれていました。

個人的には、ファストフードならぬ、ファスト教育という印象でした。

富裕層向けが中心だったアジアの教育ビジネスを変える可能性を秘める点、それをアヤラとピアソンがやっている、ということでビジネス的に教育界に大きな流れを作るのでは?と話題になっているのです。

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■徹底したコスト削減

ピアソンが持っている教育カリキュラムと、アヤラの企業運営力を掛け合わせたようで、事務方と教育方が完全に分かれていました。

理事長は運営面のみ。先生は教育面のみに関わっているということでした。

教科書はなく、教材はすべてオンライン上に。基本的には反転授業のような形で、生徒自らがオンライン上の教材で勉強して、それを先生がフォローするようでした。

建物は、元はオフィスだったビルをそのまま使用。校内に冷房はありません。作りは非常にシンプル。校庭もなければ、もちろん立派な施設も何もありません。

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■世界水準の教育を1日70ペソ(約190円)で

ちょうど授業に居合わせましたが、こうした環境であっても、生徒たちは楽しそうにしていました。

日本と比べると、かなり劣悪な環境(見学に行った学校もスラムのそば)ですが、しかし根本的に授業が受けられる、『学べる』ということが楽しい様子でした。

まさに『学ぶことは楽しいこと』という感じでしょうか。フィリピンには、ろくに学校もいけない子も多いと聞きますが、この学校に来ている生徒の笑顔が非常に印象的でした。実際、金銭的理由で(私立だし)この学校どころか、公立の学校にさえ行かれない子どもたちは大勢おり、ストリートチルドレンもたくさんいます。

ちなみに、ここはフィリピンのカリキュラムをすべて英語で教えるようです。なので、皆、普通にネイティブに近い感じで英語がしゃべれます。

 

ここにいる生徒たちからは、学びに飢えている、という感じを受けました。こういう環境で育った子どもたちが、いずれ世界にも溢れてきて、日本の子どもたちと一緒に仕事をすることにもなるのでしょう。

いまから、15年くらい前に中国に行った時に直感的に「日本は負けるかも…」と感じたのですが、なんとなく、それと同じような印象を受けました。日本との違いは、「学びに対するハングリーさ」でしょうか。

世界の教育は大きく変化しています。こうした視点で日本の教育や、お子さんの教育を考えてみても、面白いかもしれませんね。

Philippe Put