今、世界中でコロナをきっかけに多くの問題が噴出している感じがします。人種差別問題、格差問題、国によってはリーダーシップの脆弱さなどなど。世界は今、かなり忙しいです。そして教育においても、休校になったことで、世界中で教育格差の問題が浮き彫りになりました。

日本でも、オンライン に移行したところ、移行出来なかったところ、さらに、その内容に関してもいろいろと課題があったようですね。課題は教育そのものではなく、行政システムの問題だったり、ITリテラシーの問題だったりなどなど。

 

のんびりのオランダ

そんな日本の大騒動を観ていたり、時にこうした問題を話し合うオンライン カンファレンスに参加したりしているのですが、オランダとの比較で言うと、やっぱり日本は真面目だなあと言うこと。なんというか、オランダだともう「なるようにしかならない」というか、「そんなに大騒ぎしなくてもいいよ」というのんびりムードが全体的に漂っています。いや、これは晴れの日が続く気候的な影響かもしれませんし、自分たちの周りだけの問題かもしれませんが…。休校中は、家の周りでは子どもたちが朝からみんなで遊んでおり、もう完全にバカンスモードでした。

まあ、もともと日本と比べると、いわゆる「学力」は圧倒的にオランダのほうが低いと思いますし、なんと言っても、「子どもが世界一幸せな国」だしw、うちの学校なんかは、校長先生が「学校は大人になった時の楽しみを見つける場所」(=勉強する場所じゃないよ)と明確に言ってます。

ということもあって、もうかなりのんびりムード。このままサマーバケーションに突入してもいいくらいの感じです。

もちろん、先生たちはこの休校期間中に、いろいろ大変だったとは思いますが、日本の先生の大変さとはちょっと質が違う感じがします。たとえば、次男のクラスの先生は、休校に入った時に、各生徒の家庭に「花のタネ」を配ってくれました。(そして、学校が始まった今は、ちょうどそれが咲いているのですが)タネを人数分用意して、分けて、各家庭に配り行くとかも大変だと思うんですが、なんか日本の先生の大変さと違う感じがします。もちろん、どっちが良いか悪いか?ってことではないんですが。なんかのんびりしてる感じがします。

 

「見守る」ことの大切さ

ここでうちの学校(イエナプラン)の先生たちの一番良いところを挙げてみると、「見守る」能力の高さです。子どもたちに対して、絶対不必要には干渉しません。これは保育士(一応試験は合格。実務経験なし)の自分から観ても、もっとも高いスキルの一つだと思います。ま、そもそも子どもを信頼しているから出来ることでもあります。それでいて、何か問題があると必ずそれを見ていて、迅速に対応してくれます。

先日、次男が学校で嫌なことをされたようです。学校で泣いていて、先生にも理由を言わなかったようで、すぐに先生からメールがきました。家で、それとなく次男に聞いてみると、どうやら「日本人だからここに来ちゃいけない」というようなことを、ある女の子に言われたようです。

こんな事態は初めてですが、まあ、もしかしたら冒頭に書いたようにコロナによって、いろいろな問題が出てきている一つかもしれません。次男にはしかるべき対応をして先生にも事情を話して、一応、解決したのですが、この時も先生の対応の早さは特筆すべきものでした。

ここで、毎度の故河合隼雄先生の『子どもと学校』(1992 岩波書店)から引用してみます。

<手出しをせずに子どもたちを見守っていると、うーんと感心させられるようなことが起こったり、まったく思いがけないことに発展して、子どもってすごいもんだな、と感心させられたりする。子どもは大人が普通に思っているより、はるかに子ども同士で物事を解決する力を持っているものである。>

<教師の「危険に対する許容度」が高いと、子どもは案外事故を起こさないものである。逆に、何でもかんでも「やめなさい」、「危ないよ」などと連発する教師のもとでは子どもがよく事故を起こすものである。一般的に行って、子どもの自由をきつく制限したがる教師は、自分自身に不安の高い人が多い。したがって何に対しても、「危い」と感じてしまうのだが、そのような態度が子どもを刺激して、かえって不安定さを強くしてしまい、事故が増えるのである。>

と書かれています。

これを読んで感じるのは、今の日本は先生だけでなく、もしかしたら多くの親が「見守る」ことが下手になっているのではないか?ということです。つまり、過保護になってしまっていないか?ということなのです。

確かに、「見守る」ことは大変です。つい口や手を出してしまいたくなります。でも、それは逆に子どもの成長の機会を奪っていることにもなりえます。まして、それが親本人の不安からきているとしたら…。

こんなことをオランダとの比較では感じます。

もちろん、いろいろな考えがあるでしょうし、日本には日本の、オランダにはオランダの事情があることもよく分かります。しかし、この超過保護っぽい傾向は、もしかしたら自分たちが子どもの頃にはなくて、わりと最近の傾向なのかもしれない、と思ったりもします。

コロナ禍において、子どもと一緒に過ごす時間が増えた人も多いと思いますが、「見守る」をちょっと意識しても良いかもしれませんね。

 

ということで、今回は子どもを「見守る」ことの大切さと、難しさでした。